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ある野良魔導士の書斎

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表紙の赤ちゃんがお気に入り(フーレイ、就職前途多難)


 はい、春の陽気に照らされ続けるフーレイです。ベッドの上でまどろみながら「あー、フーレイってHN使っている人間って何人居るんだろな」と考えていました。前になにかの掲示板で僕以外のフーレイを見た事が何度かあるんです。おそらくスラングからきてるんじゃないかな?僕みたいに物語の登場人物から、という人もいるだろうけれど浦川さんが書いた『咲かない花』の主人公からってーのはおそらく僕だけだとは。彼と僕はなんとなく一部分が重なっている気がするんです。まぁ、僕は20歳の時に素敵な?出会いを迎えたわけでもなく、大切な人を失って絶望へと堕ちる事もなかったわけだけれども。可能性の軸では、彼が幸せになっていたはずの選択もあると思うと、物凄く悲しい気分になる。それについてはまた、いつか話そう。

 今回は…おそらく読んだ事がある人が多いかもしれない一品。赤ちゃんが目印で、しかも?が大きいから目立ちやすいんじゃないだろうか?本屋で平積みされていたのを思い出す。この作品は、本屋で見かけたときから読みたくてたまらなかった。けれどお金がなくて変えなかった。ハードカバーは高いぜ(泣)。とにかく紹介します。

『ぶらんでぃっしゅ』 (著:清涼院 流水)
 母親のお腹の中に居たとき、『ぼく』はある声を聞く。それは〈ぶらんでぃっしゅ〉という奇妙な言葉だった。それが生まれたあとも『ぼく』の生活に絡み続け、いつのまにか人との出会いと別れを予感する力に目覚めてしまう。その中で、なぜか死神のようなライダーを見かけ、さらに不思議に思うのだった。人生の中で得て行った『言葉遊び』の仲間たちや恩師。彼らとの交わりや繋がりが、『ぼく』を支え、時に戸惑いながらもしつこく〈ぶらんでぃっしゅ〉は聞こえてきて、それを解いていくのが一つの歯車のようにも。そして、ある日。『ぼく』は連続強盗殺人犯《ブラン・ディッシャー》の存在を知る。
―この姿を見るのは、これが最後だ。
その予感がする度に、相手が死んでしまう。そして、それが自分に覚えたとき、『ぼく』の目の前に《それ》が姿を現した。

って所で。〈ぶらんでぃっしゅ〉って…何?そして、『ぼく』はだれ?「常磐(ときは) ナイト」のインナーアダルトは彼と生きることで何かを見出していく…。

 読者の方には「ネタばれしてるやん」とお怒りの方もいるかもしれませんが、主人公は「ナイト」さんの心の中に入る存在、と見れば読みやすいんじゃないかな?だからあえてこんな感じで書いて見ました。ナイトさんは幼い頃から言葉遊びが好きで、着実に力をつけていきます。そして仲間と共に〈ぶらんでぃっしゅ〉に立ち向かっていくわけですが、色々あるのですよ~。この作品は読み心地がいいです。まるでスナックを食べているような気分で読んでいました。それだけ自然に入ってくるんですよね。こんな事を言っていたら作者である清涼院さんに怒られてしまうかもしれないけれども、すっきりしていて『名は作を現した』作品ではないか、と思いました。読み越しすっきりって言葉はないのだけれども、そんな感じです。すらすら読めましたよ。

 登場人物は結構いい感じで個性派ぞろいです。お気に入りは今田 善(いまだ ぜん)さん。彼は幼少期大人しい少年だったのですが、のちに見事な成長を遂げてくれます。また他にもユニークで魅力的な登場人物がいますよ~。そして、その何人かは常磐 ナイトにかんなり深く関わっていきます。その所にもご注目!ナイトの言葉遊びが広がって影響していく様は見ものですね。そして、遂に現れる謎の存在〈ブラン・デッシャー〉はどんな風に関わるのか…。

 これを既に読んだ方は↓へスクロールし、反転させてみてください。

初めて清涼院さんの小説を読みましたが、こんなに読み心地のいいものは珍しい気がしますね。この方が楽しんで書いた気がしてなりません。後書きにもそれが出ていました。そう思うのはどうでしょうか?また、この物語はどことなくSFと感じていいのでしょうか?珍しく続編が出ないで欲しい、一品ですね(いや、出ないんじゃないか?)。しかも『ぼく』の正体=常磐 ナイト本人という真実もすっ、と飲み込めてよかったですよね?ファン倶楽部、できそうだな…。ナイトに対する…。僕自身も言葉遊びは好きだけれど、ナイトのようなかっこいい物ではなく、くだらない戯れ歌なんですけれどねぇ(爆)。こんな風にかっこよく言葉遊びができて、それで友(または戦友)を得る事が出来た彼を羨ましく思う一方、尊敬します。
by jin-109-mineyuki | 2006-04-19 20:07 | お勧めの本