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ある野良魔導士の書斎

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江戸川乱歩賞受賞してたとは…(フーレイ、気付かなかった)


 はい、フーレイです。今回ご紹介する本は一度二時間ドラマになったものです。もしかしたら記憶にある方もいるかもしれない一品を…。実は『トリビアの泉』でも若干その一場面が登場したんですよ~。二時間ドラマの犯人(役の俳優さん・女優さん)は新聞(テレビ蘭)のどこに掲載されるかで…。覚えている人もいると思いますよ。

『滅びのモノクローム』 (著:三浦 明博)
 二日酔いの朝。広告代理店に勤める日下(くさか) 哲はふらふらと歩いていた。偶然行き着いた骨董市で彼は一本の古い(しかも釣り好きにはお宝の)釣竿と出会う。店主であった女性と交渉し、一万円で購入。そしておまけにスチール缶をもらった…まではいいがその中身はなんと、これまた古い16mmであろうフィルムだった。最初、見てみたいと思い仲間に力を借りるのだが、後にそれが騒動の引き金と化した。一方、骨董市で釣竿を売った女性、月森 花は祖父にその事を告げる。が、祖父は倉の何処から取り出したかを聞き出した。彼女もまた、その瞬間から騒動に引き込まれたことになる。フィルムを狙う影、噂のある政治家、そして…戦争の記憶。果たして哲が手にしてしまった『記憶』とは…?

― 人には、墓場まで持って行きたい『罪』がある。
 それが言えないのは『卑怯者』の証でしょうか…? 


 たしか、元プロボクサーの畑山さんが出演していたような気がしますよ。このドラマ版…。記憶はうっすらとしか残っておりませんが診た事があるような気がします。中心人物は釣竿を買った日下さんと売った月森さんです。が、周りの人物も案外色濃くて面白いですよ。この小説、知っている方も多いでしょうが江戸川乱歩賞受賞作品なんですよね。ドラマ版ではそんな事も知らずに見ておりましたが。図書館でこれを見つけ、初めて知りました。おい、(当時)高校生。これぐらい気付こうよ…(まぁ、僕が読書に目覚めたのは中3でしかもファンタジー中心でしたし)。

 広告代理店に勤める日下さん。彼はフィルムを見つけた次の日、政党のCM作りを頼まれるんですが(本人、嫌がっています。政治家はお嫌いのようで)、それも後から絡んでくるんですよね。で、ある人にも繋がってしまうんですよ。不思議なものですよね、人の縁って(泣)。これを読んでいてしみじみ思いました。その一方技術者の凄さも垣間見れますし、『親子』についてや隠された戦争の記憶なども知る事が出来ます。推理モノというより、人間ドラマの方が濃い気がしますよ、三浦さん。推理小説と聞いて身構えてしまいがちな人もいるかとは思いますが(僕だけ?)、文体は読みやすいと思います。内容はシリアス路線ですが。

 終戦60年。別の言い方をすれば、敗戦60年。気になる方は読んでみることをお勧めします。…あ、もしかしたらカテゴリ初・受賞作品紹介?

おまけ
 ネタバレになりますが、『トリビアの泉』で流れた一場面は恐らくこの本の272・273頁あたりだと思います。
by jin-109-mineyuki | 2005-08-24 10:52 | お勧めの本