ある野良魔導士の書斎

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カテゴリ:冒険者の宿【水繰の剣亭】( 82 )

一週間遅れ・・・(滝汗:アンバー、ちょいと……)



ルーンディア国境・無知の門。
そこにアンバーたち『六珠』と、アンバーの父であるトパーズがソルジャーによって検問を受けていた。
「…それでは、まずお前たちから見せてもらおうか」
男の言葉に、アンバーたちは頷きそれぞれが持つ身分証明書をみせるのであった。

『その魔力が見せる過去』

 身分証明書をみせたあと、一行はとりあえず自由行動にした。トパーズの依頼はルーンディアへついた時点で終了だそうな。それ故だ。
「なら、せっかくですし観光しましょう♪」
オニキスが珍しく提案し、ほかのメンバーも賛成した。そして一緒にみてまわろう、とトパーズは誘ったのだが、アンバー以外のメンバーはそれを丁重に断った。実は、久々に再会した親子二人でのんびりしてもらおう、と皆が画策したことだったのだ。そうとも知らず、アンバーとトパーズの父子は近くのレストランに入った。
「な、なんか気恥ずかしいなぁ」
「そういわない。さぁ、かるく食事を取りましょう」
少し頬を赤くして照れる息子の様子にトパーズはくすくすと笑い、メニューを開く。そして適当に見繕い、ホールスタッフに注文する。運ばれた水を口にしつつアンバーは小さくため息をつきながらあたりを見渡した。いろんな種族の人々が楽しく食事をしている風景は、どこか故郷の村を思わせる。
「いいなぁ、この雰囲気。俺、こういう空気がすきだな」
「私もですよ」
父子でほのぼのとその雰囲気を味わう。誰からも冷たい目を向けられることなく過ごす事が出来る。それが、心からの安息を約束してくれるようだった。暫くのんびりとしていたが、ふと、アンバーは数日前のことを思い出し、表情を曇らせる。
「そういえば……さぁ、親父。この間、冒険者にならないか、と誘ってくれた人に再会したよ」
「ああ、あの方ですか?」
「うん。でもその人……サードニクスとクインベリルとは別れたほうがいいって言ったんだぜ?種族がホムンクルスとヴァンパイアだからって……」
そのどこか苛立ち混じりの声に、トパーズはふむ、と唸る。思わず眉間に皺がよるのは考察を始めた証であり、それがどこか父親らしく思えて彼の口元が僅かに揺るんだ。
「クインベリルがヴァンパイアってのは知ってた。俺も血を飲ませたことがあるし。でも、サードニクスがホムンクルスってのは知らなかったな……」
頬杖をつき、ライムの香りがする水を飲み干しながら続ける。ヴァンパイアが迫害されてきたのはアンバーも知っているし、何よりそういうことに詳しい友人がいろいろ教えてくれたので覚えている。種族にホムンクルスという人工生命体が存在するのも。だが、スラムで拾ったあの少年がまさかソレであるとは、微塵にも思っていなかった。
「私は、なんとなく感じていましたね。あの子の魔力は天然のものとは程遠く、人間が生み出したものに近いですから」
トパーズはそういい、ふと目線をずらす。と、そこには見覚のある冒険者たちがいた。アンバーたちと同じくリューンを拠点とする冒険者チーム【ドルチェーズ】もまた、ルーンディアへ来ていた。彼は、瞳を細めて淡い紫色の髪の人を見つめていた。
「シオンさんたちもここに来ていたんだ」
シオンというのは一見長身な絶世の美女に見えるが、青年だ。その姿からは想像しがたいが、有能な剣士であり、腰には刀が下がっている。トパーズが見ていたのは、どうやら彼らしい。
「とても美しい女性ですねぇ、シオンさんという方は」
「親父。残念ながらシオンさんは男性だ」
アンバーがつっこみつつ言葉を付け加える。
「シオンさんは『静寂の鏡亭』という冒険者の宿に所属している冒険者なんだ。で、【ドルチェーズ】ってチームを率いているんだ」
「ふむ……」
アンバーが説明をしていると、その青年が席を立った。顔を上げた彼もまた、アンバーに気づいたらしい。シオンは徐に歩み寄り、小さく微笑む。
「アンバー……久し、いな」
「シオンさんも元気そうで何よりだよ。ああと、こっちが俺の父です」
アンバーに紹介され、トパーズは一礼する。すると、シオンはにこっ、と笑った。笑いなれていないのか、微妙にぎこちない。しかし、ややあどけなさも見える笑顔だった。
「俺、は…シオン・アーシュレイ、と…いう。アンバー……にはいつ、も、世話に…なっ、て、いる。よろし…く」
そういい、シオンは一礼する。トパーズもまた微笑み返すと、シオンの顔に安堵が浮かんだ。過去に色々あった人間の匂いをトパーズは感じ取っていた。
「シオンさんは幼い頃から傭兵団に育てられていて、剣術はとても強いんだ。『礎の神話亭』のソウキュウさんや『見えざる神の手亭』のバルディッシュさんにも負けないんじゃないかな?」
「よ、よして…く…れ」
シオンが、顔を少し赤くしてとめる。彼は肌が透き通るように白いため、余計に色づいた頬が目立つ。恥ずかしそうにしている彼を見ていると、やはり女性に見えるのだが。
「貴方も一緒にどうですか?」
「そう……した、いが、今…から、依頼、人と……こ、こで、会う……約束、をしてい、る」
シオンは残念そうにそういい、二人も残念に思う。が、依頼ならば仕方がない。
「そうですか。なら、次の機会にでも。私の住む村へ来た時には手作りパスタでもご馳走しましょう」
笑顔でそういうと、シオンは嬉しそうに頷いた。アンバーの村では本当に遊びに来て欲しい人には『手作りの』という言葉を付け加える。アンバーはそれだけ父が興味を持ったのだろう、と思った。シオンがそれでは、と一礼して席を離れる。と、トパーズは静かに瞳を細めた。
「かすかにですが、戦場の匂いがしますね。幼い頃からいたのならば、そうでしょう」
「ん? どうしたんだ?」
不意に呟いた父の言葉に、息子は不思議そうに首をかしげる。が、それを聞かず、トパーズは言葉を紡ぎ続ける。
「貴方は、その為に生まれたのですね」
「お、親父?」
その時、僅かにだがトパーズの体から魔力がもれるのをアンバーは感じていた。それに気づいたのか、彼は慌てて呼吸を沈める。が、反応したのだろう。トパーズと行動を共にする風の精霊が心配そうに寄り添う。
「アンバー。シオンさんはどうやら、貴方が思うよりずっと重い過去を持っているようです。もしかしたら、彼もまた……」
その言葉に、アンバーは息を呑む。一瞬だけ、彼にはその場の空気が張り詰めた気がした。

(終)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
後書き
ども、フーレイっす。
アンバーの父・トパーズですが、魔力が高い上、魔力の分析も出来るので、ああなりました。アンバーのSSにも引っかかるので、今回はこんな感じです。

どうなるのかしら(汗)。

おまけ:それぞれの身分証明書に書かれている住所

トパーズ・ティアーズ
及び
アンバー・ティアーズ
出身:アレトゥーザ・ソレント地方 ロリエル村

オニキス・ル・スターシア
出身:スターシア領内 エーデルワイス

サードニクス・フロレンティア
及び
パール・フレニール
出身:リューン スティード通り 33番

ジャスパー・エスファリア
出身:ラーデック シアン通り

クインベリル・ブレス・エアギアス
出身:ソレイユ領内 ヴェルファイア


サードニクスとパールはジャスパーの師匠である女性が保証人となっているためです。
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by jin-109-mineyuki | 2008-11-08 21:06 | 冒険者の宿【水繰の剣亭】 | Comments(0)

ぼちぼちといろいろ (ジャスパー、少し悶々)


冒険者の宿【水繰の剣亭】:40
(食用?)蛙と特大鼠と魔光都市

 【六珠】の一行はアンバーの父、トパーズの依頼で彼を魔光都市ルーンディアへ向かっていた。アレトューザからルーンディアまでの道のりはやや長く、その間トパーズはアンバーが幼なかった頃の話などをしてくれた(それにアンバーは酷く赤くなったりした)。反対に【六珠】のメンバーは自分たちの体験した話をしていた。
「ああ、そういえば……このあいだ蛙になったな」
ぽつりともらした一言に、オニキスたちは苦笑する。
「蛙に、ですか?何故また貴方が蛙に?」
「実は宿にやってきた老魔術師さんが、魔術の実験をしたいといいまして。それでアンバー
が引き受けたのです」
オニキスはそういいながら思い出し、噴出しそうになる。サードニクスも笑いをこらえているようだった。
「それでおじいさんの魔法によって蛙になったんだよ。それはもう大きな蛙でね、僕の両手ぐらいじゃなかったかなぁ」
「……とりあえず、美味しそうな食用蛙に見えたっ!」
「んだとっ?!」
パールが親指をおったてて笑い、アンバーがにらむ。
「術を解くには口付けが必要だったのよねぇ。確かに昔から術を解くのに有効だとは言い伝えられているお手軽で意味深な方法だわ」
ジャスパーは納得したような顔をするがクインベリルは憮然とした顔になる。
「でも『好きな相手や異性でなくてもOK』ってあたりが美しくありませんっ!」
吟遊詩人としては、そういうのが納得できないらしい。そして、アンバーは小さなため息をついた。
「俺もそこは同感。しかも服が案の定脱げてたな。んー、許婚がいる身で女の子にキスを頼むのは心苦しかったが……」
「困ったときはお互い様だし、しょうがないと思ってよ」
クインベリルはそういって顔を赤くする。そのときはクインベリルがキスをして元に戻したのである。それを見ていたジャスパーは少しだけ面白くないなぁ、と思い出して若干むくれる。
「でも、あの蛙は本当に美味そうだったぜ。手早く捌いてじっくりローストすれば…」
「パール君、それは困りますよ。私の大切な息子なんですから」
トパーズが苦笑して嗜め、オニキスとサードニクスもうんうんと頷いて同意した。オニキスはじっくりと焼いたサラミをなれた手つきでパンにはさみ、トパーズに手渡す。
「うわぁ、美味しそう!」
「まってくださいね。皆の分も出来ますから」
サードニクスが目を輝かせるとオニキスが丁寧に手を動かしながら嗜め、その光景にトパーズとアンバーは瞳を細めた。そうしていると、ジャスパーがイル・マーレを二人に勧める。
「このサラミにはこのワインが合うのよ♪」
「ああ、ありがとう。オニキスさんといい、ジャスパーさんといい、気が利きますね」
「パールやサードニクス、クインベリルだってそうさ」
アンバーの口が、自然と綻ぶ。そのどこか誇らしげにイル・マーレを飲む姿にトパーズもまた微笑を浮かべた。
「その次にいったのが巨大鼠退治でしたね。……案外てこずりました」
オニキスが苦笑しつつパンを口にする。あの時もサラミをはさんだパンを持っていったが、休憩なしだったので洞窟の外で食べた事を思い出しつつ。サードニクスも思い出し、口にしていたのを飲み込んでから口を開く。
「あの時、アンバーが一度休もうって言ってくれたのにパールが大丈夫だって言ってそのまま強行したんだよね?」
「そうそう。その後『運命の歯車』を連発してその内当たったのは2発だっけ?」
「それを言うな。あれはまだ修行中の技なんだよ」
ジャスパーが茶化すように笑い、パールがそっぽ向く。
「アンバーより大きい鼠でしたわ。ボスなんか、パールと同じぐらいだったんですよ?」
「それは相当大きい鼠ですねぇ。一度見たかったものです」
クインベリルが両手を広げて説明し、トパーズも興味深そうに目を輝かせる。
「その上あいつらときたらすばしっこいし。なめた目つきをしやがった」
「まあまあ。でも、倒せたからいいではないですか」
戦闘で攻撃があたりにくかったのを思い出したのか、アンバーが眉間にしわを寄せる。それをオニキスが窘める。側にはサードニクスとクインベリルがおり、二人はお茶をのみながらくすくす笑う。パールとジャスパーも笑顔でその様子を見ていて……。
「ふふ、本当にいい仲間に恵まれましたね……アンバー」
トパーズは、小さく微笑んだ。その目は小さな光で少し濡れていた。

 翌日。一行はルーンディアの入り口である無知の門までくる事が出来た。話には聞いていたが、物々しい雰囲気でソルジャーが入る人々を検査している。
(こういうのが嫌なんだよなぁ)
アンバーが苦々しい顔をしていると、トパーズは小さく微笑んだ。
「どうしたのです、アンバー」
「いや、俺は聖海教徒だろ?噂では『聖海・聖北・聖東教徒は入国禁止で、追い出される』って噂聞いたし……」
「あら、それだったら隠せばいいのよ」
ジャスパーはそういってくすくす笑う。彼女自身、聖北の神官なのだが踊り子のような衣服を纏っている。たまにロザリオを懐から出すぐらいで、愛用の武器である聖槌も一目では宗派がわからない。アンバーはそうか、と手を打って首にしていたロザリオをかばんに直した。
「どうして?」
「元々この国が、それらから迫害されているためなんだ。今も仲が悪いよ」
クインベリルの問にサードニクスが情報を元に答える。オニキスとパールは顔を見合わせると苦笑しあう。
「私も、こういうのは苦手です。でも……しかたないですからね」
トパーズはそういい、小さく苦笑する。と、一行をみたソルジャーが近寄り、止まるように指示をする。職業と出身地を明かさなければならない……らしい。仕方なく、一行はそれぞれ名乗りだすのであった。

(続く)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今回遊んだシナリオ(敬称略)
老魔術師のお戯れ(丸平お園)
鼠の穴(NifQ)
魔光都市ルーンディア(ロキ)

このリプレイ(もどき)は、上記のカードワースシナリオをプレイし、その結果と感想を元に書き上げております。シナリオ本来の著作権は各シナリオ作者さんのものです。また、リプレイに登場したスキルの著作権は、各シナリオの作者さんに既存します。

言い訳的後書き
……しまったーっ?! ルーンディアに入る予定がーっ!?
とか思っていたらどうにかつなぐことが出来ました。フーレイです。
因みに、次の話はこれにかかわるおまけでありますんで、よろしくー。
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by jin-109-mineyuki | 2008-10-25 23:59 | 冒険者の宿【水繰の剣亭】 | Comments(0)

漸く登場したやつがいる (アンバー、多分恥ずかしい)


冒険者の宿【水繰の剣亭】:39
渓谷の鋭利なる乙女(後編)

 パールの一撃を受け、倒れたナパイアスは立ち上がろうとした。が、うまく身体に力が入らず、水面に膝を突く。そして、鋭い目で6人を見つめた。誇り高き渓精はその凛々しい顔に、瞳を細めつつ荒い呼吸を繰り返す。
「あたしの身体も、鈍っちまったかねぇ……」
「いや、相変わらず強いよ。姐さんは」
アンバーの言葉にナパイアスは首を横に振る。冒険者達の目には、彼女が余裕を見せるも無理をしているのが解っており、フライマンバが治癒をほどこそうとしたものの、彼女はそれを止めた。
「やるじゃないか。あんたたちの力は見せてもらったよ。
 流石精霊使いトパーズの倅とその友達ってだけはあるね……」
そういい、彼女はアンバーを見…一同を見る。ふと、アンバーがくすぐったそうな顔をしたのをサードニクスとパールは見逃さず、小さく笑う。
「ナパ姐さんのことだから、ここを動く気ねぇんだろ?」
それとなくアンバーが問うと、彼女は一つ頷く。
「まぁ、ね。でも、これをやるからさ」
と、ナパイアスは一つのカードを渡した。激流を模した絵には美しい彼女の姿も。オニキスは受け取り、それが精霊術である、と確信する。興味深そうにクインベリルが覗き込み、そっと触れる。
「これは……?」
「ああ、あたしを呼び出す媒体さ。これでいつでも呼んでおくれ」
そう言ってにっこりすると……不思議な輝きを持つ瞳で、彼女はオニキスを見た。
「あんた……オニキスだったね」
「ええ。精霊使いとしては未熟ですが……」
そう深く頭を下げる天使族に、ナパイアスは小さく苦笑する。
「そんなに畏まらないでおくれよ。あんたはあたしに勝ったんだ。まぁ、今度来たときにでも立ち寄るといい」
「そうさせていただきます。私は、あなたから色々学べればとおもっていますから」
オニキスはそういい、優しく微笑む。殺伐とした空気は消え、すっかり和やかムードになっていた。アンバーは小さく苦笑する。
「ナパ姐さんは厳しいんだぜ。俺もよく沈められたなぁー」
「さっきみたいに、ずばーんっ……て?」
その言葉にサードニクスが思わず声を上げる。そして、それにあわせるようにくすくすと笑い声が聞こえてきた。若い男性のものだ。
「ナパイアス。相当手荒な歓迎を息子達にしてくれたようだね」
誰も、気配を感じ取ることが出来なかった。気がついたらナパイアスの真横に、一人のエルフが佇んでいた。アンバーと同じ緑がかった海色の瞳が全員の目を引く。
「なんだい、トパーズ。いつから居たんだい?」
ナパイアスの問いに、エルフの男…トパーズはくすくす笑う。
「キミがここへ現れたときに、偶然ね。でも、まさかアンバーが戻ってくるとは思わなかったよ」
「……つまりは、アンバーの…お父さん?!」
ジャスパーは思わず目を見開き、ナパイアスとアンバーは頷く。他のメンバーもまたそのエルフに歩み寄る。健康的にやけた小麦色の肌に緩やかなウェーブをもつ白い髪が、全員の目を引くも、顔はアンバーと凄く似ていた。流石親子である。
「はい。私がアンバーの父であり、精霊術師のトパーズ・ティアーズです。いつも愚息がお世話になっております」
「丁寧すぎるよ、トパーズ。ホント、アンタは変わらないねぇ」
ナパイアスに言われ、トパーズはクセだから、と小さく苦笑する。一同は、くすくすと笑うエルフの男性に、魅入られていた。

 一行は輪になって座り、ナパイアスは水辺の石に腰掛ける。そしてトパーズはにっこりと笑って一同を見る。
「ふふっ、素敵な人たちと出会えましたね、アンバー」
その言葉に照れるアンバーに、ナパイアスもくすくす笑う。
「ホントだよ。戦っていてそうおもう。普段一人でいることが好きなあたしでもいいな、とおもってしまったからねぇ」
「ナパ姐さんまで……。なんか照れちまうよ」
「ふふ、でもまんざらではなさそうですね」
オニキスにも言われ、アンバーは更に顔を赤くする。そんな顔を見ているとなんだか幸せな気持ちになっていた。
「僕らも、アンバーをリーダーにしてよかったって思っているよ」
「時々頼りないと思うときもあるけど」
サードニクスとジャスパーがつなげ、パールとクインベリルも頷きあう。皆が、アンバーを認めているのだ。
「最初に比べて頼りがいが出てきたよなっ、て思う。今じゃかけがえのないやつだよ」
「いざと言う時は決めてくれるし、何より……皆を信じてくれているみたいだから」
仲間たちの言葉が嬉しくて、でも恥ずかしいアンバーはベールで顔を隠す。それにトパーズとナパイアスはそれにくすくすと笑い声を上げ、あとからオニキスたちも加わって益々アンバーの顔は赤くなった。
「……それはいいけど、トパーズ。あんたがここに来たのはどういう風の吹き回しだい?」
ふと、我に返ったナパイアスはトパーズに問う。と、彼は小さく笑いながらアンバーたちをみた。
「風たちが、息子たちのことを教えてくれましてね。それで見に来たのです。もし、無様に負けるようだったら、息子を連れ戻そうとすら思って」
「「!?」」
一瞬だけ、空気が凍る。が、トパーズはやんわりと微笑んで言葉を続けた。
「冗談ですよ。
 本当は依頼を頼むためです。私を魔光都市ルーンディアへ連れて行ってほしい、と」
ルーンディアとは、鉄に囲まれた都市国家であり独特の文化が根付いている場所である。聖北教会から迫害された者たちが集っており、それ故に信者の入国が厳しいらしい。それを思い出しつつアンバーはうなずいた。
「親父の警護か。皆は、どうだ?
 ついでにルーンディア観光ってのもいいと思うけど……」
アンバーの問に、全員が笑顔でうなずいた。
「決まりですね。出発はいつにしましょう?」
オニキスが問いかけると、トパーズは一つ頷いて口を開く。
「明日の昼頃にロリエル村を発とうと思っています。【六珠】の皆さん、よろしくおねがいしますね」
トパーズの言葉に、全員笑顔で頷いた。

 その夜。一行はアンバーの故郷であるロリエル村で一泊した。住人たちはアンバーの帰郷と仲間たちを喜び、美味しいご飯と素敵な音楽でもてなしを受けたのだった。

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今回遊んだシナリオ(敬称略)
碧海の都アレトゥーザ(Mart)

名前のみ登場のシナリオ(敬称略)
魔光都市ルーンディア(ロキ)

このリプレイ(もどき)は、上記のカードワースシナリオをプレイし、その結果と感想を元に書き上げております。シナリオ本来の著作権は各シナリオ作者さんのものです。また、リプレイに登場したスキルの著作権は、各シナリオの作者さんに既存します。

言い訳的後書き
一週間遅れであげておりますフーレイです。
40話からは寄り道な勢いでジャスパーメインの話をと考えたのですが……うーん、どうしよっかなぁ、てな按配です。関連が深い依頼ってそんなにないものだなぁ、と振り返ってみたら。聖北がらみで過去に凄く欝なシナリオもあったからなぁ。

とりあえず、次回はルーンディアへの道中でございます。よろしくね。
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by jin-109-mineyuki | 2008-10-04 23:09 | 冒険者の宿【水繰の剣亭】 | Comments(0)

レッドフロワー編も考えないとなぁ(汗:アンバー、一緒に踊る人は誰?)


冒険者の宿【水繰の剣亭】:38
渓谷の鋭利なる乙女(中編)

目的地に程近い滝を見つけたのは、考察が途切れてからまもなくのことだった。滝の流れから下流へと辿りながら、アンバーはその様子に表情を綻ばせる。
「ああ、あの時のまんまだ。俺が旅立つ前と…」
「そういえば、アンバーはソレントあたりの村出身でしたね」
オニキスはそういい、水に触れた。冷たいそれは火照った頬をほどよく冷やしてくれる。サードニクスたちもまた水を飲んだり、顔を洗ったりしている。
「レナータが言っていたナパイアスは気性が荒い。けど……俺にとっては、姉とも言える存在なんだ」
アンバーの懐かしむ声に、全員が聞き入っていると…空気が僅かに変わった。奇妙な静けさに僅かな流れ。そして、その先にある淀み。いち早く感じ取ったのは精霊使いでもあるオニキスとソレント育ちのアンバーであった。一人の女性が、悠然と水面に浮かんでいる。しかも裸体に近い状態で。悠然と佇むその姿は、彼女の美しさをより引き出していた。しかし、その顔にはどこか鋭さが滲んでいる。
「おおっ、すげぇデンジャラスビューティー!」
パールが思わず歓声を上げると、その女性は冷笑する。しかし、アンバーの姿を見て柔らかな笑顔絵を零した。
「…お、お前はアンバーじゃないか! 最近見ないと思っていたが…」
「ああ、ナパ姐さん。俺、冒険者になるって言っただろ?リューンを拠点にしているんだ」
親しげに走りよるアンバーと、楽しげに話すナパイアス。レナータは「危険な精霊」だと言っていたが、こう楽しげにしている二人をみるとその忠告を忘れそうになる。
「あんたが、渓精ナパイアスだろ?」
パールがそういうと、彼女はふふっ、とミステリアスな笑みを浮かべた。艶やかな肢体に水を纏い、どこか邪気を覚えれども魅入られる瞳で。
「そうさ。そして……このハーフエルフの坊ちゃんとはちょっとした友達でね。で、このあたしに何のようだい?」
ナパイアスは値踏みするような目で一行を見る。それに内心たじろぎつつもクインベリルは口を開いた。
「貴方の力を貸して欲しいのです」
「ふふ、やけに素直じゃないか」
ナパイアスは心なしか、楽しげに微笑む。それにクインベリルたちは僅かに顔を綻ばせるが、アンバーの表情は厳しくなる。それを知りながらも、彼女は口を開いた。
「もっとアンバーと話していたかったが、そういうことならね。
 いいよ。あたしと戦って勝つことが出来たら…力をかしてやってもいい」
「本当!? ありがとう、ナパイアス!それじゃあ、僕たち…一生懸命がんばるね!」
サードニクスは感謝の意を心からあらわした笑顔でナイフを握る。が、ナパイアスはくすっ、と笑った。一瞬にしてざわめく魔力に、オニキスとジャスパーの表情が険しくなる!
「負けたら最後。あんたたちはそろってあたしの昼餉になるんだからねぇっ!」
「そ、それはやめてくれ、ナパ姐さんっ!!」
ナパイアスの前にアンバーが立ちはだかる。彼はグレイブを地面に置き、頭を下げる。
「なんの真似だい、アンバー。あたしの性格はよく知っているだろう?」
「ああ、知っている。だから頼むんだ。
 こいつらは、喰わないでくれ!……喰うなら、俺だけにしてくれないか…?」
「! アンバー…っ?!」
思わぬ一言に、オニキスが声を上げる。土下座するアンバーを見下ろし、ナパイアスは一筋の激流を真横からアンバーに叩きつける!
「っ!」
「バカをおいいでないよ、坊ちゃん。これはあたしが決めたことだ。あんただけでなく、あんたの大切な仲間も…」
誰も、動けなかった。激流に飲まれ、地面に叩きつけられたアンバーはよろよろと立ち上がり、濡れたベールをその場に脱ぎ捨てた。
「…わかったよ、ナパ姐。勝てばいいんだろ…勝てば!」
その言葉に、全員の身体が反応する。オニキスは杖を握り締め、ジャスパーがクロスを人名でして体制を整える。サードニクスがナイフを、パールが槍を、アンバーがグレイブを構え、クインベリルがトランペットを奏で戦いの始まりを告げる。
「絶対に、勝ってやるっ!」
アンバーの叫びが、姿を現さない精霊達を振るわせる。それを感じながらナパイアスは笑った。
「いっておくけど、あんたたちは完全にアウェイ戦だからね。精霊の支配領域で戦うこと…それがどういうことか…骨身に刻んであげるよ!」
ナパイアスの笑いと共に、水の壁が姿を現す。アンバーはやっぱりな、と苦笑しながらグレイブをぎゅっ、と握り締めた。
「いっくらアンバーの知り合いっつーても、そのあたりは手加減できないってか」
パールの一言にナパイアスの手が上がる。と、同時に激流が置き、全員がそれに巻き込まれる。澄んだ水が全員を襲うも、切り裂くように翼が広がった。オニキスは咄嗟にサードニクスとジャスパーを庇い、膝を突いた。
「「オニキスッ!?」」
「これぐらい…平気です」
強がって立ち上がるオニキスの姿に、空気が震える。
「甘いねぇ。そんなんじゃあ制御できないよ」
くすくす混じりにいうナパイアスに、ジャスパーが軽く睨む。手遅れだろうが、フライマンバに治癒を任せ己は魔法の鎧を発動させる。
「ナパ姐さんにはかなわねぇかもしれない。けど、喰われるわけには行かないんだよっ!」
アンバーがグレイブを振り下ろすも、ダメージが跳ね返る。それをどうにか克服し、同時にパール、クインベリル、ジャスパーが壁を攻撃し核を探る。
「消去法しかないけどっ!」
クインベリルの一撃で、空気が震えた。同時にダメージがジャスパーへと跳ね返る。それを堪えている隙にオニキスが雷の矢を飛ばした。
「ここですっ!」
勢いよく刺さる光の矢に、水の壁が震えた。どうやらそこが核らしい。しかし、それはむにゅむにゅと音を立てて移動した。そして一筋の激流が、アンバーを襲うも、グレイブを地面に突き刺して踏みとどまる。
「今度こそ逃がすなっ!」
「わかってるっ!」
パールの声にサードニクスが叫び、マントを翻してナパイアスの隙を突こうとする。が、それでもダメージを跳ね返すらしい。無いに等しいそれをジャスパーが堪え、聖槌を水の壁に叩きつける。同時にアンバーとパールも別の壁へと攻撃を同時に行う。
「ば、バカなっ?!」
僅かにタイムラグを起こして出される攻撃。跳ね返る衝動もなんのその、サードニクスはそれを堪える。ジャスパーの一撃だけが、ダメージを与えた。
「今です、クインベリル!」
「わかったっ!」
オニキスの言葉に少女が頷いて魔法の矢を飛ばす。それが壁を破壊し、ナパイアスは表情を険しくする。
「くっ、こんなの…」
「作らせないっ!」
サードニクスがすかさず襲い掛かる。それを避けるも黒髪から水を滴らせながらアンバーが切りかかる。それも交わした…とおもったとき、碧色の目を研ぎ澄ましたジャスパーが聖槌をたたきつける!思わず水面に膝を突くナパイアス。その身体に、影が迫る!
「油断大敵だぜっ!」
「なっ?!」
休むまもなく、ハルバードに跳ね飛ばされた。最近会得した《運命の歯車》という処刑術が、ナパイアスの魅惑的な肢体を水面へと叩きつける!
(なんだ、こいつら……強いじゃないかっ!)
一瞬だけ、視界が白濁する。ナパイアスは全身の痛みに、少しだけ微笑んだ。
(続く)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今回遊んだシナリオ(敬称略)
碧海の都アレトゥーザ(Mart)

このリプレイ(もどき)は、上記のカードワースシナリオをプレイし、その結果と感想を元に書き上げております。シナリオ本来の著作権は各シナリオ作者さんのものです。また、リプレイに登場したスキルの著作権は、各シナリオの作者さんに既存します。

言い訳的後書き
実を言うと、オニキスの雷の矢が刺さってからターンが変更してすぐ核が移動したのではなく、操作ミスでナパイアスへと(ほぼ全員が)攻撃してしまったが為に核が移動してしまったのでした。編集ですヨ、ようは!(血涙)

ちなみにおねえたま編…こと『渓谷の鋭利なる乙女』編が終わったらより道してジャスパーにスポットライトをあてよっかなぁ…とかおもってます。一応ボチボチパールたちの話も。
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by jin-109-mineyuki | 2008-09-20 23:17 | 冒険者の宿【水繰の剣亭】 | Comments(0)

ミスしました、あははは(フーレイ、実はちょいと)


冒険者の宿【水繰の剣亭】:37
渓谷の鋭利なる乙女(前編)

ソレントへ行く道を、アンバーたち【六珠】は歩いていた。レナータの忠告を守り、歩いていく。不安げな顔をする一同ではあったが、アンバーだけは困惑の顔だった。
(ハーシェさん……なんでそんな事を口にしたんだろう?)
アンバーは少しだけ前の事を思い出しつつも、あたりの気配に気を配った。正しい道を歩いているならば、精霊達は手を出さない。……それでも、念のために。

―2時間前
【悠久の風亭】で思わぬ人物と再会したアンバーは彼に仲間達を紹介した。その時は親しげに接していたのだが、暫くして二人だけで話をしたい、と言われた。それに従い、二人で店の端へと行く。
「アンバー、君はパーティメンバーを変えたほうがいい」
急にそう言われ、アンバーは目をきょとん、とさせた。
「えっ? 何故ですか。バランスが取れているって褒めてくれたじゃないですか」
「たしかにバランスは取れているが…」
彼は僅かに表情を険しくし、アンバーの耳元でそっとこう言った。
「君が仲間としている少女は強力なヴァンパイアだ。そして、君を兄のように慕っている少年は、人工生命体のホムンクルスだそ?」
「……だから、ですか? そんなくだらない事で?」
アンバーの目が刃物になる。一瞬にして炎が胸に灯る。が、彼もまた酷く心配した様子で口を開く。
「ヴァンパイアは信用ならない。いつ裏切られ、襲われるか…。それにホムンクルスは生きる混沌。生命の理に反した存在だぞ。暴走する可能性だってある。あの少年は自分がそうである、と気づいていないが……」
何故だろう、肩を掴む手に力が入っていた。ぎしぎし軋む。その痛みにアンバーは思わず小さく呻いてしまった。
「私は神官だ。あの幼い子供たちが異端だとは信じたくない。が、異端として消さなくてはならない日が来るだろう。目の前で失いたくなかったら、別れることだ」
彼は真剣な声でそういい、きつく肩を握り締める。が、アンバーはそれをぐっ、と跳ね除けようとした。
「!」
「ヴァンパイアだからどうした?ホムンクルスがなんだ?
 俺にとっては大切な仲間だ。……貴方がそんなことをいう人だなんて…」
アンバーは少し傷ついていた。自分をこの世界へ誘ってくれた人だけに、少しでも深い傷が心に出来てしまった。
「アンバー…」
「話がそれだけなら、失礼します」
アンバーはそういい、彼と別れた。

「アンバー、次はどうすればいいの?」
ジャスパーの声で我に返り、アンバーは顔を上げる。そして、あたりを見渡した。道は二手に分かれているが、左からは濃い精霊の力を感じた。
「左へ。そこからは道が細いから気をつけろ」
「うん、わかった」
彼の声にサードニクスが頷く。【六珠】の一行はてくてくと山道を歩き…精霊の力を肌で感じながらその道を歩く。そして、誰もが少し前の事を思い出していた。

― 一ヶ月ほど前
 その日は雨で、【水繰の剣亭】にレナータが遊びに来ていた。アンバーと幼馴染である彼女は時折こうしてアンバーやアメジスト、ネフライトを尋ねてやってくる。
「…その時のネフィといったら、凄く慌ててしまって。私も手助けするのがやっとだったの」
「そうそう。その時俺が手を伸ばして助けたんだっけ?」
こうして思い出話に花を咲かせているとふいに、パールが声をかけてきた。
「なぁ、レナータ。水の精霊術を教えてくれるけどさ、水の精霊ってそれだけなん?」
「いや、水の精霊は世界中のどこにでもいるぜ?」
それに答えたのはアンバーである。彼は精霊術師ではないものの、父親がそうであるが故に知識は多少持っている。
「水の精霊は、どこにでもいます。例えばグラスにつく水滴や、空から降る雨の雫…」
「時には、人の涙にも精霊が宿るとかいいましたね」
その言葉をオニキスがつないで微笑む。精霊術についてあまり知らないジャスパーたちは興味深そうに耳を済ませた。
「…ですが、強力な力を持つ精霊は極僅か。更に人間と交感できる相手となるともっと限られてしまいますね」
「ふぅん……なんか難しいな」
「そういうものなのかしら。みんな使えたら力の均衡が崩れてしまうでしょうしね」
サードニクスは頭をひねり、クインベリルは小さくため息混じりに呟いた。それが何を言いたいのか解ったレナータはそういうものですから、と苦笑する。
「水の精霊術はたくさんあるでしょうが、レナータさんが教えられるのはあれだけでしたね」
「ええ」
オニキスが確認するようにいい、彼女は頷く。
「あとは別の精霊術師から教えを乞うか、あるいは……」
「自分から精霊と交感し、直談判するって父さんから聞いたことがあるぜ」
レナータとアンバーの言葉に、ジャスパーたちはおお、と小さく歓声を上げた。
「なんかそういうのって、突撃取材っぽいっ!」
「いや、そーいうのとはちょっと違うから……。下手したらその精霊に殺されるってこともある危険な行為でもあるってこと、覚えておいてくれよ?」
若干はしゃぐパールをアンバーが窘める。その横でレナータは表情を曇らせていた。
「一人だけ心当たりがあるのですが、それが…まさにアンバーの言うとおりだったりします」
あまりに危険だったから勧めなかったと付け加える彼女に、ジャスパーは目を輝かせる。そういう精霊は興味深い。殺されるのはいやだが、戦う相手に不足は無い。
「アンバーも、その精霊をしっているの?」
クインベリルの言葉に、アンバーも頷く。そして若干苦笑いしつつ問いかける。
「んー、俺の心当たりとレナータの心当たりが一致すればの話。
 まさかと思うけどさ、あの渓流の姐さんじゃねぇだろうなぁ……?」
「そのまさかですよ、アンバー。幼い頃、渓流に沈められた貴方なら、その危険性をしっているでしょう?」
(け、渓流に沈められた?!)
その一言が微妙に怖いのか、サードニクスの顔は若干引きつっている。がレナータは言葉を続ける。
「猛々しく、荒々しい…あの魔の精霊はアレトゥーザの近くに住んでいます。危険を承知で説得へ向かいたいのならば…」
レナータがそこまで言ったとき、アンバーが顔を上げる。一瞬にして、表情が懐かしいものへと変わっていた。
「俺が案内する。俺の故郷はソレント渓谷のすぐ近くにある村なんだ。そこは俺にとって、庭みたいなものさ」
「……そんな危険な場所に住んでいたんですか、貴方は」
オニキスが怪訝そうな顔をするも、アンバーはくすっ、と笑った。
「村はナパイアスの住んでいる場所からやや離れている。だから精霊も襲うことは無かった。第一に、村人の半数は精霊術の心得があったかんな」
そういい、にこやかに笑う姿を、レナータたちは楽しげに見つめていた。

 その時は向かわなかったものの、ある程度用事を済ませた上でアンバーたちはアレトゥーザからソレント渓谷へとむかった。レナータの警告やアンバーの説明を十二分に守った上で向かった一行は、珍しく静かにそこへむかったのだった。

(続く)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今回遊んだシナリオ(敬称略)
碧海の都アレトゥーザ(Mart)

このリプレイ(もどき)は、上記のカードワースシナリオをプレイし、その結果と感想を元に書き上げております。シナリオ本来の著作権は各シナリオ作者さんのものです。また、リプレイに登場したスキルの著作権は、各シナリオの作者さんに既存します。

はい、フーレイです。
実は話数をミスった上に5話ごとに揚げるつもりだったSSも・・・。
とりあえず40話をあげた次の週にはちゃんとSSを乗せますにゃ。
あ、そうそう。タイトルはナパ姐さんのイメージからつくりました。
なまめかしいおねえたま~っ?!(激流に押し流されました)
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by jin-109-mineyuki | 2008-09-13 21:25 | 冒険者の宿【水繰の剣亭】 | Comments(0)

宿の名前の由来です (フーレイ、がんばってみた)


 リューンに近い町の宿屋街。その一角にはちょっと違う宿がそろっていた。
 集う人間は、鎧やローブをまとい、腰には剣を帯びていたりする。
 人々の困りごとを解決する冒険者たちだ。
 場所によっては嫌われ者だったり、救世主だったりする、旅人たち。
 そんな彼らが拠点とする『冒険者の宿』が、そこに集まっていた。
 その中に、どこかほっ、とするような雰囲気のある宿が一軒。
 ドアに飾られた看板には、剣をもっしたガラスがはめられている。
 そして、とても綺麗な書体でこう……刻まれていた。

【水繰の剣亭】

『名前を』

 それは、アンバー、オニキス、サードニクス、ジャスパー、パール、クインベリルが宿に来るすごく前の事だった。いや、今でこそ有名な『黒曜の聖騎士』バルディッシュがリューンへやってくるほんの10年ぐらい前のことだろうか。一人の盗賊が冒険者を辞めた事が始まりだった。盗賊ギルドでは『旋風』という名前で通っている男で、変装も得意としている。彼は念入りに変装すると、一軒の古びた店を見つけた。

 そこはやや古びているが、趣のある店だった。小さい…というほど小さくも無く、大きいというにもなにか物足りないその店を、男は持ち主から買い取ると、早速修理を始めた。彼は盗賊ギルドの仲間に相談し、そこで冒険者の宿をする事にした。

仲間の一人が言った。
「やっぱり、カウンターは必要だろう?」
男は元からあったカウンターをぴかぴかにした。

仲間の一人が言った。
「裏庭はもうちょっと広いほうが剣の稽古にいいだろう」
男は庭の手入れをせっせとし、砂を買って整備をした。

仲間の一人が言った。
「冒険者の宿にするなら、部屋もちゃんとしないと」
男はベッドをあちこちからもらってくると仲間と一緒に修理した。
カーテンも質素だが綺麗なものにし、窓ガラスだってぴかぴかに磨いた。

仲間の一人が言った。
「倉庫にはたんまり酒の樽とか食べ物が置けるといいな。
 冒険者ってのは、なかなか食い意地が張っているからなぁ」
男は地下の倉庫を丁寧に掃除し、棚を設置したり、酒の樽を置く場所を確保した。

来る日も来る日も、そこは仲間たちでにぎわった。冒険者だったときの仲間や盗賊ギルドの仲間と一緒に夢を語らいながら、作業を進め……3ヶ月後には立派な宿が完成した。ようやくできた新しい『冒険者の宿』に、彼らは顔をほころばせた。
「名前はどうしよう?」
「そうだなぁ、なんか印象深い名前がいいなぁ」
不意に、そんな会話が聞こえてくる。男は小さく笑った。
「それは、もう決まっている。看板もできているんだ」
そういいながら、出来上がったばかりの看板を見せる。ガラスのはめ込まれた、おしゃれな看板。いささか冒険者の宿には不釣合いかもしれないが、夕日を受けたそれはとても輝いていた。

 男が冒険者であった時のこと。
 小さな村で一人の女性とであった。
 水を操る巫女であった彼女は、冒険者たちと共に妖魔と戦った。
 そのとき、彼は一本の剣とであった。
 彼女はそれが村の宝であり、水の力を持った魔法の剣だ、と言っていた。
 男はその剣を借受けると、妖魔をばっさりと切り倒した。
 
 村を離れる日、男は剣を返した。
 巫女は男たちに例を述べ、男にだけ小さな声で
 「この村に残ってくれないか」と頼み込んだ。
 でも、男はそれを断った。そして、仲間と村を去った。
 巫女はその前に、あの剣を男に渡した。
 男は、その剣も返し…巫女の手を引いて仲間の元に戻った。

 巫女は冒険者となり、男と夫婦になった。
 二人は互いに力をあわせて依頼をこなした。
 けれど結婚してから5年後、巫女はあっけなく死んでしまった。
 仕掛けられた罠にかかり、それが原因でだ。
 男は大切なものを失った。 そして、冒険者である意味を失った。

 男の脳裏には、優しく微笑む妻の顔が浮かんでいた。

「水繰の剣亭にするさ。これが、宿の名前だ」
男は小さく微笑んだ。

(おわり)

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後書き
 なんか、脳内に浮かんでいた設定がかなり変わっていると思うんですがフーレイです。そして、宿の成り立ちはこんなかんじです。
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by jin-109-mineyuki | 2008-09-07 14:13 | 冒険者の宿【水繰の剣亭】 | Comments(0)

グリフォンは、好きです (アンバー、ちょっと・・・どきっ?!)


冒険者の宿【水繰の剣亭】:36
風と指輪と思わぬ人

 いつものように賑やかな六珠のメンバーは、アレトゥーザに立ち寄っていた。前に受けた依頼の品を、デオタドに渡すためである。【悠久の風亭】の女将さん、ラウラは一行の顔を見るとにっこりしてくれた。
「ああ、いらっしゃい! 元気そうでなによりだよ!」
「ラウラさんも。レナータも元気にしてますよ。ほら!」
アンバーはラウラへ手紙を渡す。幼馴染に頼まれた手紙にはリューンの町並みが描かれたカードも同封されていた。
「……まずは、一安心だね」
そう安堵の息をもらした彼女は一行にいつもの席かと問いかける。アンバーが頷くと席を勧めてくれた。その間に、サードニクスがデオタドをつれてくる。
「久しぶりだね、『六珠』の皆! 例の物を持ってきてくれたんだって?」
「ええ。この通り。オロフたちもいいと言ってくれました」
オニキスはそう言って一つのリングをデオタドに手渡した。デオタドは研ぎ澄まされた目でリングを鑑定し、小さく微笑む。
「有難う。これでチーニのドワーフたちと商売が出来るよ。
 そうそう、折角久しぶりに会ったんだ。冒険の話を聞かせてはくれないか?」
「そうだねぇ、あたしにも聞かせておくれよ。やっぱり、贔屓にしてくれる冒険者たちのことは気になるんでね」
ラウラも注文された料理を運びながら笑い、その問いに、全員が笑顔で頷いた。

「この間、グリフォン退治に行ってきたよ! たしかワールウィンドって異名があったんだ」
サードニクスが楽しげに語り始める。体格もよく、頭も回るグリフォンに少年はとてもわくわくして戦いに望んでいた事をオニキスは思い出し、小さく微笑む。その隣で、イル・マーレに口をつけていたジャスパーが口元を綻ばせる。
「運がいいことにグリフォン退治の依頼も出されるところだったのよね。指輪を取り戻してグリフォンも退治すればさらに儲かるってわけ。危険だけど魅力的でついつい結んじゃったわ」
まぁ、困っている人を見逃せないのもあるんだけど…と付け加えるジャスパー。
「風をつかった仕掛けを操作するのは楽しかったな。うん、夏にはもってこいの遺跡だ!」
「でも、突然出てきたこうもりに尻尾の毛を逆立てさせたのはだれなの?」
風を思い出してにこにこのパールに突っ込むクインベリル。そのやり取りにデオタドとラウラだけでなくいつの間にか集まった客人やマスターも楽しげである。
「相変わらずだな、パールは」
「るせぇやぃ!」
笑うデオタドにパールが少しむくれるも、それをラウラがこれでも食べて、と嗜めるように料理を出す。
「しかし、相手は異名を持つほどのグリフォンだったんだろう?よく無事だったねぇ」
感心するようなラウラの言葉に一同は苦笑する。
「ワールウィンドの急降下は喰らうと相当痛いですよ。パールが一撃で意識を失いましたから。フライマンバのお陰でどうにかなったのです」
「あの時パールが庇ってくれなかったら、僕は指輪を探すことが出来なかったよ」
オニキスとサードニクスが顔を見合わせてため息をつき、ジャスパーはカウンターに出されたカナッペを食べながらあきれたような表情を浮かべる。
「ワールウィンドとの戦いは確かにはらはらして楽しかったわ。でも……のろけは見たくなかった。なんか思い出すだけでどっかりきちゃう」
「依頼人のキャトラクトは商人としてもダメダメだし、既に婚約者のカレンさんのかわいいお尻に敷かれているのよ。どうしてあんなにかわいいカレンさんがあんなキャトラクトのお嫁さんになるのかしら?」
クインベリルは二人のやり取りを思い出しながら小さくため息をつく。夢見る年頃である少女にはキャトラクトはそう見えたらしい。その様子に、ラウラはくすっ、と笑う。
「あなたも大きくなればわかるわよ」
「そういうものかなぁ?」
いちゃつきだした二人に突っ込みを入れたサードニクスが声を上げる。サードニクスとクインベリルは顔を見合わせて首をかしげる。それに、大人たちは楽しげな笑顔を向けるのだった。
「今回もみんなお疲れさん♪ とりあえず今はゆっくりしようよ」
アンバーはそういい、次がれたイル・マーレをゆっくりと口にした。

 『六珠』のメンバーがデオタドたちと話をしている間、アンバーは一人物思いにふけっていた。冒険者になって結構経つが、恩人については情報がつかめていない。
(たしか、あの人はいつも旅をしているらしいからな)
自分を冒険者へと導いてくれた神官は、どこでなにをしているのだろう?ぜひ、自分の仲間達を紹介したい。アンバーはそんなことを考えながら一人パスタを食べていた。
「あーあ、いつになったら会えるのかな……」
「今、ここにいるじゃないか」
ふと、呟きに答える声。顔を上げると、隣に見覚えのある青年がいた。故郷の村にやってきた聖北の神官でアンバーを冒険者に誘った張本人だ。
「あ……あなたはっ!」
「久しぶりだね、アンバー」
彼…ハーシェ・ヴィア…は優しい笑顔で頷いた。彼は紅茶を飲みつつ小さく微笑む。
「元気そうで何よりです、ハーシェさん。なんか、夢見たいだなぁ……!」
アンバーが喜びで顔をほころばせていると、彼もやさしく眼を細めた。

このとき、アンバーは知らなかった。
ハーシェが、思わぬことを言い出すとは……。

(つづく)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今回遊んだシナリオ(敬称略)
駆け抜ける風(タナカケイタ)
碧海の都アレトゥーザ(Mart)

今回参考になったシナリオ(敬称略)
銀斧のジハード(Mart)

このリプレイ(もどき)は、上記のカードワースシナリオをプレイし、その結果と感想を元に書き上げております。シナリオ本来の著作権は各シナリオ作者さんのものです。また、リプレイに登場したスキルの著作権は、各シナリオの作者さんに既存します。

あとがき
最近手抜きばかりですんまそんっ!
フーレイです。とりあえず……後日執筆予定のSSのプロローグ的に。
とりあえず、無計画ながらぼちぼちとがんばっていきますんでよろしゅう!
36からはまたアレトゥーザミニイベントからやる予定ですが……もしかしたら変更になるかもしれない。現在はレベル調整として全員レベル5にしているんですよ(汗)。レベル5の状態でやってみてダメだったらレベル6でやり、それでもダメだったらもうちょい伸ばします。一応アンバーの故郷に程近いソレントで楽しいことになります。

ジャスパー、クインベリル、サードニクス、パールの過去もなんとかせんと(をい

おまけ
銀斧リプレイ及び後日談SSはぼちぼちでお願いします。
惨劇の記憶の後日談もね。
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by jin-109-mineyuki | 2008-08-30 21:32 | 冒険者の宿【水繰の剣亭】 | Comments(0)

酒は飲んでも飲まれるな (子供たち、今回は出番なしですまん)

冒険者の宿【水繰の剣亭】:35
無礼講で、
「うぅ…」
低いうめき声がした。ここは【水繰の剣亭】の2階。冒険者達の私室である。
「あ、頭が…割れる…」
そう言いながら狐の耳を振るわせるアメジスト。実を言うと昨夜仕事の打ち上げとして飲み会をやったのだが、酷く痛む…らしい。
「あんだけ騒げばそうなりますって…」
と、言ってきたのはヒスイ。あくびをかみ殺し、ベッドに横たわった状態の彼はどうやら大丈夫らしい。しかし、隣の部屋からもうめき声が色々聞こえてきているあたり、成人冒険者たちはほぼ二日酔いと言っていいだろう。
「そういやぁ、トルマリンが旦那の愚痴を言ったときは驚いたな…」
「なんか貴族の裏をみたような気分です」
アメジストとヒスイは互いに顔を見合わせる。そして苦笑するとヒスイはもう一度眠ることに下らしく、タオルケットをばっ、と頭まで被った。アメジストは水を貰いに1階へ降りる。と、そこではオニキスとコーラルが掃除をしていた。
「ん? お前らだけで掃除か?」
そう声をかけると、コーラルは顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。彼女に代わってオニキスが説明する。
「ええ。他のみなさんは酷い二日酔いみたいでしたので。比較的軽い私たちでやっているのです。まぁ、迷惑を一番かけてしまったのは尾恥ずかしながら、私ですから」
苦笑するオニキス。彼は酒に酔うとたまに拳が疼くらしい。その所為で偶然宿にやってきてコーラルをはやし立てるチンピラを殴り飛ばして喧嘩に発展した。その時、丁度酔っていたネフライトも混ざって相当凄いことになったのだ。目撃していたアメジストは、己の妹の強さに平行したほどである。一方、コーラルは何故真っ赤になってうつむいているかというと……酔って服を脱ぐクセを披露してしまったためだろう。
「いや、一番酷かったのはネフライトだろ? 派手にやったからな。
 で、その張本人はどうしたんだ?」
真面目な妹のことだから、そうじをしている、と思ったアメジストの目に、その姿は無い。フシギソウにしている彼を見、オニキスとコーラルは顔を見合わせてくすくす笑った。
「ああ、あの二人ならまだベッドっすよ~」
そう言ったのは手で額を押さえたパール。その隣にはトルマリンの姿が。二人は綺麗にした食器類を棚に直していた。
「ふふっ、二人とも互いに想い合っているというのに気づいていないのよ。
 でも、酔うとつい本音が出るものよ? 今頃もしかしたら……うふふっ」
トルマリンがやけに嬉しそうにそう言って厨房の奥へと消える。若干その言葉に複雑そうな表情を浮かべるアメジストを、パールたちはくすくすと笑うのだった。

 そんなアンバーとネフライトはというと、同じベッドの上だった。頭痛で目を覚ましたのか、苦々しい表情のアンバーであったが、控えめすぎる確かな感触に耳まで赤くなった。酔った勢いで何時の間にやら、一緒に眠ったらしい。衣服は着ているところから、深いことにはなっていないようだが…。
(ど、どうしよう…?)
ネフライトもまた、目覚めてはいるのだが腕には一見眠っているように見えるアンバー。確か暴れているのをアンバーにとめられ、なだめられて部屋へ連れて行かれた…のは覚えているのだが、そこから先は記憶に無い。
(な、なんか…気まずすぎるけど…)

((もうすこし、このままで…いいよね?))

二人とも、そう思いながらぎゅっ、と優しく抱きしめあった。今はただ、寝ぼけたままこうしていたかった。

(続く)

※この世界では15歳あたりから成人という設定でいっております。
 ご了承ください。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今回遊んだシナリオ(敬称略)
無礼講!という事で(Dr.タカミネ)

このリプレイ(もどき)は、上記のカードワースシナリオをプレイし、その結果と感想を元に書き上げております。シナリオ本来の著作権は各シナリオ作者さんのものです。また、リプレイに登場したスキルの著作権は、各シナリオの作者さんに既存します。

後書き
ども、フーレイっす。
とりあえず、えちぃ展開ではありません。微妙です。
まぁ、アンバーとネフライトの恋に今後も注目ってことで。
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by jin-109-mineyuki | 2008-08-23 23:23 | 冒険者の宿【水繰の剣亭】 | Comments(0)

あ、タイトルに毎度の事ながら深い意味などないです (サードニクス、首をかしげ…)


冒険者の宿【水繰の剣亭】:34
墓地と聖水と秘密のご褒美

「やああああっ!!」
槍が、勢いよく振り落とされる。そして、銀の嘶きは、あっ、という間に用意された人形を切り裂いた。
「おみごとです」
そういいながらぱちぱちと拍手する者が一人。白い髪とオッドアイが目立つ、黒いローブ姿の青年(?)だ。彼(ということにしよう)は、槍を振るっていた青年に微笑みかける。
「ありがと。これで『運命の歯車』、習得させてもらったぜ」
青年はにこっ、と笑う。髪から覗いた猫の耳がどこか嬉しそうに動いた。

いま、パールが仲間達と共に来ているのはリューン共同墓地。
処刑スキルに興味を持ったパールはこの墓守からその術を学んでいたのだ。
「そいじゃ、ありがとう…墓守君」
本当は名前で呼びたいところだが、それを教えてもらっていないパールはそういう。墓守はにこっ、と笑って頷いた。
「いえ、こっちもちゃんと貰うものは貰っていますから」
そういうと、彼は小さな声で厳かな歌を歌い始めた。この美しい歌声のお陰か、ここの死者たちは安らいでいるのではないだろうか。パールはそう思いながらその場を後にした。

「あ、パール!こっちだ」
パールが教会へ足を踏み入れると、アンバーが手を振って出迎える。オニキスは司祭となにやら話している。ジャスパー、サードニクス、クインベリルの三人は用意された紅茶をのんで一休みしていた。
「ん? どーしたのさ」
「実は、聖水用の水を汲んできて欲しいと頼まれましてね」
司祭と話し終わったのか、オニキスが眼鏡をかけなおしながら答える。黒髪の司祭はジャスパーとなにやら話している。
「この綺麗な瓶に入れて来るんだよ」
サードニクスが嬉しそうに見せた瓶は、本当に美しい。それに見入っていると、クインベリルがくすくす笑う。普段は食べ物のことや冒険のことで頭が一杯の彼が、そういうものを見つめている、という光景が面白いらしい。それに若干むっ、としているとクインベリルは苦笑した。
「まぁ、全員そろいましたし…出発しませんこと?」
と、話題を変えようとそんな事を言う。ジャスパーもまたそれに頷いた。
「司祭さまに場所は聞いているわ。さぁ、行きましょう!」

 上流の水は清らかで、聖水をつくるのには丁度いいらしい。ジャスパーから説明を受けた一行は綺麗な瓶にその水を汲み、ぽてぽてと教会へ向かっていた。
「そう言えば、クインベリルもそろそろ新しいスキルが欲しいって言ってなかったか?」
不意に、アンバーが口を開く。と、クインベリルはどこか楽しげに笑う。
「この間、グラートへ遊びに行ったよね?
 その時にこっそりあの吟遊詩人さんにおしえてもらってたのよ」
「そういえば、可愛い歌声が聞こえるっておもいましたが…貴女だったのですね?」
オニキスがふむ、と眼鏡を正す。彼の言葉で全員が、なんとなくそれを思い出した。『吟遊詩人』であるクインベリルの歌声は、最近リューンでも評判である。宿でアンバーが踊り彼女が歌うことで儲かっているらしい(事実、ツケの大半はそれでチャラになっている)。
「で、買い物はあらかた終わったか」
パールは一人納得して頷いたものの、ジャスパーは首を横に振った。そして、彼の耳元でこっそりとささやく。その様子に首をかしげるサードニクスが若干気になったが。
「この間の依頼でお手柄だったサードニクスに、ご褒美を買うのよ。これはあの子以外が知っていることなのだけれども、ね」
「ふむふむ……。確かに、あいつの一撃がなかったら、拙かったな」
彼らの言うとおり、サードニクスはチーニ城攻略にかなり貢献した。そのため、アンバーたちは何かご褒美を上げよう、という事になった。
「あー、その時俺、眠ってたわぁ」
「だから、知らなかったんだよ。まぁ、司祭さんに水を渡したらあの店へいくぞ~」
頭を抱えるパールに苦笑しつつアンバーは言う。オニキスとジャスパー、クインベリルもにこにこし、サードニクスは理由もわからずつられて笑う。アンバーはその様子を見つつ小さく口元を綻ばせた。

そして…教会を出て一行はある店へ向かった。
そこは武器屋である『夕日の鉄撃』
そこで、サードニクスは前々から欲しかった『漆黒マント』を買ってもらえたのだった。

(続く)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今回遊んだシナリオ(敬称略)
リューン共同墓地(マルコキエル)
自由都市グラート(F太)
夕日の鉄撃(SIG)

このリプレイ(もどき)は、上記のカードワースシナリオをプレイし、その結果と感想を元に書き上げております。シナリオ本来の著作権は各シナリオ作者さんのものです。また、リプレイに登場したスキルの著作権は、各シナリオの作者さんに既存します。

後書き
…ぐだぐだ抜けない(汗)
でも書いちゃうフーレイです。今回はお買い物メイン(+ミニイベント)。
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by jin-109-mineyuki | 2008-08-09 23:50 | 冒険者の宿【水繰の剣亭】 | Comments(0)

夏ですね (アメジスト、夏バテ中)


冒険者の宿【水繰の剣亭】:33
夏だッ!海だッ!精霊だッ?!

青い海、輝く太陽。そして……
「眩しい女性陣の水着ッ!」
「大声で叫ぶなそんな事」
拳を固めて叫ぶパールに、アンバーが軽くどつきながら突っ込む。ここはアレトゥーザの海岸で、比較的遊泳に優れた場所。【水繰の剣亭】に所属する冒険者パーティ【六珠】と【珠華】は気分転換に海水浴に来ていた。
「泳ぐぞーっ!」
「そういえば泳ぐのは久しぶりだね。うんと準備運動しなきゃ」
「ついでにお魚とか見つけたらいいよねぇ」
クインベリル、サードニクス、タイガーアイが口々にそういい、楽しそうに準備運動を進める。その様子を遠くで見ている者がいる。
「子供たちはめちゃくちゃ元気だな」
面倒くさそうに木陰で寛ぎながらアメジストが呟き、その傍らでは「おばさんの水着姿なんてみたくないでしょ?」と言って紫外線対策ばっちりな服装のトルマリンが微笑んでいる。
「ふふ、いいことですわ」
そんな二人に苦笑しながら、ネフライトとジャスパー、コーラルもまた準備体操をする。ネフライトはちらりと二人を見つつ内心ため息をついた。比較的胸が小さい……と、いうより、平面に近い。それに比べジャスパーとコーラルはかなりぽよんっ、としているのだ。
(タイガーアイも…案外あるし、どーして私は発育しなかったかなぁ)
思わずアンバーを見てしまうが、彼はというとはしゃぐパールを窘めている。
「どーしたの? なんかちょっと暗いわよ?」
「……うん。ネフィ、心配事?」
「なんでもないよ」
そっけなく言うものの、近くに胸の大きな仲間がいるとやっぱり内心妬いてしまうネフィ。それに対し、様子を見ていたヒスイが肩を竦める。
「あの戦闘種ハーフエルフのお嬢さんも、女の子らしい悩みを持っていたとはね」
「それ、なんとなく拙い一言だと思う」
パールがとりあえず嗜めるが、傍らのアンバーは憮然としている。そしてぼそっ、と……
「女は胸じゃねぇよ」
と呟いた。
「って、あれ? オニキスは?」
アンバーの問いに、全員が首を横に振った。

 一方、オニキスはというと1人岩場に来ていた。そして呼吸を整えていると精霊術師の徴が僅かに熱を帯びる。
「さあ、おいでなさい……《ネレイデス》!」
水が巻き起こり、すぐに乙女達の姿へと変わっていく。乙女達はオニキスの姿を見るなり、嬉々として揺れながらやってくる。
『マスターッ!』
『今日は全員呼び出してくれたのですね♪』
乙女たちは全員で11人。全員が10代から20代前半だろう。彼女たちは笑顔でオニキスを見つめている。
『今日は大規模な戦闘なのですか、マスター?』
眼鏡をかけたような、おさげの乙女が聞いてくるが彼は首を横に振る。
「いいえ。
 今日はあなたたちと遊ぶためですよ」
『えっ、ホント!?』
『にぃに、ありがとぉ♪』
双子にみえる乙女ふたりが、嬉しさのあまり彼にじゃれつく。それを嗜めるのは最年長であろう乙女。
『ほらほら、マスターが濡れてしまいますよ』
「いいのですよ。今日はそのための水着ですし」
オニキスはそういって苦笑する。彼もアンバーたち同様水着だ。
「仲間たちも、そろそろ精霊たちを解放するころでしょう。さぁ、行きましょうか」
彼の言葉に、乙女たちは頷く。そして、同じように他の水の精霊たちが一斉に姿を現したのだった。

 オニキスたちがやってくると、アンバーが手を振って出迎える。既にサードニクスたちは泳いでおり、楽しげな声を上げている。
「おーい、オニキス! 早く来いよ~っ♪」
『そうだぞ、オニキス殿。 皆が待ちかねている!』
アンバーの側では、風の精霊であるゼファーが手を振っている。よく見ると木陰ではアメジストは霜の精霊を呼び出し、周りを冷やしている。
「ええ、勿論!」
オニキスが頷き、走り出す。精霊達も追いかけ、仲間たちが歓声を上げる。
「いいんじゃねぇの、たまにこういうのも」
フライマンバもまた、潮風に乗って踊るように飛ぶ。精霊と共に遊ぶ冒険者達は、思いっきり夏を満喫していた。

(続く)

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今回ヒントになったシナリオ(敬称略)
碧海の都アレトゥーザ(Mart)

このリプレイもどきは、上記のカードワースシナリオからの妄想を元に書き上げております。シナリオ本来の著作権は各シナリオ作者さんのものです。また、リプレイに登場したスキルの著作権は、各シナリオの作者さんに既存します。

まず一言。
先週は更新せず、ごめんなさい(忙しくてリプレイサボりました:汗)
そして今週は若干?手抜きつーか、アレトゥーザで海水浴という前々から暖めたネタでございます。絶対、海水浴場があってもおかしくない。中世に海水浴という風習があったかはさておき、俺が海水浴にいけない鬱憤をここで晴らさせていただきます。

あとアイドルマスターのファンのみなさんへ。
ごめんなさい(土下座)。
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by jin-109-mineyuki | 2008-08-02 23:56 | 冒険者の宿【水繰の剣亭】 | Comments(0)