ある野良魔導士の書斎

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『むげファン参加者に30のお題』より 21:君が君であるために


今までは、そばにいるだけで幸せだった。
でも今は、それだけでは不安になる。
本当に大切な人たちだからこそ、『護る』力を欲するようになった。

『君がであるために』

ある日。私は、友達の一言に目を丸くしました。ナビアでディアブロと戦わないか、という誘いが着たのです。まぁ、その場にいた仲間全員への誘いだったのですが。
(ナビアのクエスト……。行ってみたいですね)
私は二つ返事で参加表明をしました。見たこともない種族と戦うことに興味を持ち、己の力を試したくなったからです。それと同時に、私はこのクエストがいくつもの意味を持つようになるのではないか、と思いました。ディアブロについては知らないことばかりです。霊査もできませんし、だからとて霊査士を連れて行くわけにもいきません。
(この戦いで、霊査出来るものを得ることが出来れば)
そんなことを思いつつ私と同じように参加表明をした冒険者を見ました。皆、気の置けない人たちで、私にとっては頼もしい面々です。その殆どが私より腕利きの……。足を引っ張らないようにしなくては……。
(噂では、敗走し戻ってきた仲間もいるようですね。このクエストはなんとしても、成功させなければ……)
思えば思うほど、力が入ります。私は、血気にはやりそうになる自分自身を抑えながら会議に参加しました。

 ナビアを歩きつつ、私は辺りの景色を見ながらその事を思い出しました。どんな相手がいるのか、どんな行動を取ってくるのか。それは今の私たちにはわかりません。それでも、私たちは戦うことを選び、こうしてナビアへ赴いているのです。
(誰一人として、失うことはない)
これだけは、守りたい。それが、私の願いでした。皆でまたランドアースへ戻り、いつものように過ごす。戦争ではないけれど、今回は少し、いつも以上に真剣でした。

大切な仲間だから、誰一人失うことはない。
そのために、私には何が出来る?

不意に沸き起こった疑問を、私は首を振って払いました。

何、馬鹿なことを私は考えたのだろう。
仲間が仲間であるために、生き残るためにできること。
それは、この拳で、手にした獲物で、身に着けた技で……守ること。

私1人では、絶対に出来ないことも、仲間がいればできる。だから、先ほどの問いは、愚問でした。皆が頑張れば、それでいいのです。
「私は、守ってみせる」
小さく呟いて、私は手にしたアクスに唇を寄せました。この獲物で、身につけた技で、仲間を守ってみせる。その誓いを篭めて。

―キィーンッ!

不意に、金属音が耳に響きました。どうやら、近くで戦いが起こっているようです。暫くしてその音が止み、私たちはその方向へ進みました。音の発生源であろう場所にはいくつもの死霊兵の残骸が転がっていました。
(……始まる……)
戦いになれた私の体内で、血が徐々に熱を帯び始めます。目を凝らすと、木々の合間に人影を見つけました。恐らくはディアブロの冒険者でしょう。あの人たちが、死霊兵を倒したのだと思われます。私は、自然と口元が綻んでいることに気づきました。ディアブロと戦えることを、喜んでいるのです。しかし、同時に頭の奥が澄み渡るような感覚を覚えました。
―守る。
その覚悟が、鐘のように響いていく……そんな気がしました。

君が君であるために、私は、戦う。
その命がもっと輝くために。
生き残るために。

(終わり)

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後書き
なんか微妙に力入れてしまいました。「君が君であるために」というお題にそぐわないかもしれませんけれど、今回はこんな感じで。実はカレルさんが「ナビアクエスト」の参加者を募っていたのでそれに参加させてもらいました。その際にひらめいたのでそのまま書いてみたのですよ。くわー。因みに書き終わった頃はまだリプレイが来ていませんでした。リプレイが戻ってきていたならばもう少し違ったかもね(汗)。ちなみに結果は『ニルギンの部屋』にて記された記録のタイトルから見ることが出来るので興味がありましたら

使用お題
『むげファン参加者に30のお題』(すみません、製作者は誰ですか:汗)
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by jin-109-mineyuki | 2008-10-24 20:37 | 無限銀雨図書館 | Comments(0)