ある野良魔導士の書斎

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レッドフロワー編も考えないとなぁ(汗:アンバー、一緒に踊る人は誰?)


冒険者の宿【水繰の剣亭】:38
渓谷の鋭利なる乙女(中編)

目的地に程近い滝を見つけたのは、考察が途切れてからまもなくのことだった。滝の流れから下流へと辿りながら、アンバーはその様子に表情を綻ばせる。
「ああ、あの時のまんまだ。俺が旅立つ前と…」
「そういえば、アンバーはソレントあたりの村出身でしたね」
オニキスはそういい、水に触れた。冷たいそれは火照った頬をほどよく冷やしてくれる。サードニクスたちもまた水を飲んだり、顔を洗ったりしている。
「レナータが言っていたナパイアスは気性が荒い。けど……俺にとっては、姉とも言える存在なんだ」
アンバーの懐かしむ声に、全員が聞き入っていると…空気が僅かに変わった。奇妙な静けさに僅かな流れ。そして、その先にある淀み。いち早く感じ取ったのは精霊使いでもあるオニキスとソレント育ちのアンバーであった。一人の女性が、悠然と水面に浮かんでいる。しかも裸体に近い状態で。悠然と佇むその姿は、彼女の美しさをより引き出していた。しかし、その顔にはどこか鋭さが滲んでいる。
「おおっ、すげぇデンジャラスビューティー!」
パールが思わず歓声を上げると、その女性は冷笑する。しかし、アンバーの姿を見て柔らかな笑顔絵を零した。
「…お、お前はアンバーじゃないか! 最近見ないと思っていたが…」
「ああ、ナパ姐さん。俺、冒険者になるって言っただろ?リューンを拠点にしているんだ」
親しげに走りよるアンバーと、楽しげに話すナパイアス。レナータは「危険な精霊」だと言っていたが、こう楽しげにしている二人をみるとその忠告を忘れそうになる。
「あんたが、渓精ナパイアスだろ?」
パールがそういうと、彼女はふふっ、とミステリアスな笑みを浮かべた。艶やかな肢体に水を纏い、どこか邪気を覚えれども魅入られる瞳で。
「そうさ。そして……このハーフエルフの坊ちゃんとはちょっとした友達でね。で、このあたしに何のようだい?」
ナパイアスは値踏みするような目で一行を見る。それに内心たじろぎつつもクインベリルは口を開いた。
「貴方の力を貸して欲しいのです」
「ふふ、やけに素直じゃないか」
ナパイアスは心なしか、楽しげに微笑む。それにクインベリルたちは僅かに顔を綻ばせるが、アンバーの表情は厳しくなる。それを知りながらも、彼女は口を開いた。
「もっとアンバーと話していたかったが、そういうことならね。
 いいよ。あたしと戦って勝つことが出来たら…力をかしてやってもいい」
「本当!? ありがとう、ナパイアス!それじゃあ、僕たち…一生懸命がんばるね!」
サードニクスは感謝の意を心からあらわした笑顔でナイフを握る。が、ナパイアスはくすっ、と笑った。一瞬にしてざわめく魔力に、オニキスとジャスパーの表情が険しくなる!
「負けたら最後。あんたたちはそろってあたしの昼餉になるんだからねぇっ!」
「そ、それはやめてくれ、ナパ姐さんっ!!」
ナパイアスの前にアンバーが立ちはだかる。彼はグレイブを地面に置き、頭を下げる。
「なんの真似だい、アンバー。あたしの性格はよく知っているだろう?」
「ああ、知っている。だから頼むんだ。
 こいつらは、喰わないでくれ!……喰うなら、俺だけにしてくれないか…?」
「! アンバー…っ?!」
思わぬ一言に、オニキスが声を上げる。土下座するアンバーを見下ろし、ナパイアスは一筋の激流を真横からアンバーに叩きつける!
「っ!」
「バカをおいいでないよ、坊ちゃん。これはあたしが決めたことだ。あんただけでなく、あんたの大切な仲間も…」
誰も、動けなかった。激流に飲まれ、地面に叩きつけられたアンバーはよろよろと立ち上がり、濡れたベールをその場に脱ぎ捨てた。
「…わかったよ、ナパ姐。勝てばいいんだろ…勝てば!」
その言葉に、全員の身体が反応する。オニキスは杖を握り締め、ジャスパーがクロスを人名でして体制を整える。サードニクスがナイフを、パールが槍を、アンバーがグレイブを構え、クインベリルがトランペットを奏で戦いの始まりを告げる。
「絶対に、勝ってやるっ!」
アンバーの叫びが、姿を現さない精霊達を振るわせる。それを感じながらナパイアスは笑った。
「いっておくけど、あんたたちは完全にアウェイ戦だからね。精霊の支配領域で戦うこと…それがどういうことか…骨身に刻んであげるよ!」
ナパイアスの笑いと共に、水の壁が姿を現す。アンバーはやっぱりな、と苦笑しながらグレイブをぎゅっ、と握り締めた。
「いっくらアンバーの知り合いっつーても、そのあたりは手加減できないってか」
パールの一言にナパイアスの手が上がる。と、同時に激流が置き、全員がそれに巻き込まれる。澄んだ水が全員を襲うも、切り裂くように翼が広がった。オニキスは咄嗟にサードニクスとジャスパーを庇い、膝を突いた。
「「オニキスッ!?」」
「これぐらい…平気です」
強がって立ち上がるオニキスの姿に、空気が震える。
「甘いねぇ。そんなんじゃあ制御できないよ」
くすくす混じりにいうナパイアスに、ジャスパーが軽く睨む。手遅れだろうが、フライマンバに治癒を任せ己は魔法の鎧を発動させる。
「ナパ姐さんにはかなわねぇかもしれない。けど、喰われるわけには行かないんだよっ!」
アンバーがグレイブを振り下ろすも、ダメージが跳ね返る。それをどうにか克服し、同時にパール、クインベリル、ジャスパーが壁を攻撃し核を探る。
「消去法しかないけどっ!」
クインベリルの一撃で、空気が震えた。同時にダメージがジャスパーへと跳ね返る。それを堪えている隙にオニキスが雷の矢を飛ばした。
「ここですっ!」
勢いよく刺さる光の矢に、水の壁が震えた。どうやらそこが核らしい。しかし、それはむにゅむにゅと音を立てて移動した。そして一筋の激流が、アンバーを襲うも、グレイブを地面に突き刺して踏みとどまる。
「今度こそ逃がすなっ!」
「わかってるっ!」
パールの声にサードニクスが叫び、マントを翻してナパイアスの隙を突こうとする。が、それでもダメージを跳ね返すらしい。無いに等しいそれをジャスパーが堪え、聖槌を水の壁に叩きつける。同時にアンバーとパールも別の壁へと攻撃を同時に行う。
「ば、バカなっ?!」
僅かにタイムラグを起こして出される攻撃。跳ね返る衝動もなんのその、サードニクスはそれを堪える。ジャスパーの一撃だけが、ダメージを与えた。
「今です、クインベリル!」
「わかったっ!」
オニキスの言葉に少女が頷いて魔法の矢を飛ばす。それが壁を破壊し、ナパイアスは表情を険しくする。
「くっ、こんなの…」
「作らせないっ!」
サードニクスがすかさず襲い掛かる。それを避けるも黒髪から水を滴らせながらアンバーが切りかかる。それも交わした…とおもったとき、碧色の目を研ぎ澄ましたジャスパーが聖槌をたたきつける!思わず水面に膝を突くナパイアス。その身体に、影が迫る!
「油断大敵だぜっ!」
「なっ?!」
休むまもなく、ハルバードに跳ね飛ばされた。最近会得した《運命の歯車》という処刑術が、ナパイアスの魅惑的な肢体を水面へと叩きつける!
(なんだ、こいつら……強いじゃないかっ!)
一瞬だけ、視界が白濁する。ナパイアスは全身の痛みに、少しだけ微笑んだ。
(続く)

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今回遊んだシナリオ(敬称略)
碧海の都アレトゥーザ(Mart)

このリプレイ(もどき)は、上記のカードワースシナリオをプレイし、その結果と感想を元に書き上げております。シナリオ本来の著作権は各シナリオ作者さんのものです。また、リプレイに登場したスキルの著作権は、各シナリオの作者さんに既存します。

言い訳的後書き
実を言うと、オニキスの雷の矢が刺さってからターンが変更してすぐ核が移動したのではなく、操作ミスでナパイアスへと(ほぼ全員が)攻撃してしまったが為に核が移動してしまったのでした。編集ですヨ、ようは!(血涙)

ちなみにおねえたま編…こと『渓谷の鋭利なる乙女』編が終わったらより道してジャスパーにスポットライトをあてよっかなぁ…とかおもってます。一応ボチボチパールたちの話も。
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by jin-109-mineyuki | 2008-09-20 23:17 | 冒険者の宿【水繰の剣亭】 | Comments(0)