ある野良魔導士の書斎

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『むげファン参加者に30のお題』より 25:歩いていこう


希望のグリモアの近くに、ある旅団があった。
そこが、今ディートが拠点としている場所のひとつである。

『歩いてこう』

「いい天気だよぉ」
ある日。ディートは空を見上げて頷いた。特に依頼も無く、ノソリンたちもいつものようにはもはもと草を食んでいる。風も穏やかで、柔らかい。
「ちょっと散歩をしようっと」
背中の翼をパタパタさせ、少年は歩き出す。ふわふわと白い髪を靡かせて、楽しそうに。灰色の瞳をキラキラさせ、テクテクと歩き出す。目指すは、希望のグリモア。少年の足でいけば、そんなにかからないだろう。
(ドラゴンウォリアーの力があれば、確かに空を飛べる。けれど……)
ゆっくりと流れる景色を眺めながら、瞳を細める。歩くような速さで変わっていく季節を感じながら、踏みしめていく道。この道は確か、冒険者になるために踏みしめた道だ。その道だからこそ、歩こうと思った。

ギアに囚われたことがある。
その悔しさがきっかけで、冒険者になることを決めた。
確か、ザウス戦からあまり時間がたっていなかったと思う。
騒がしい中、この道を一人辿っていた。

(もうすぐ、1年が経つんだ……)
ディートの瞳が、ふっ、と細くなる。視線の先には、グリモアへの道が続いている。あの時は右も左もわからなくて、ただただ早く冒険者になりたい一身で歩いたのを覚えている。それから間も無くしてドラゴンが姿を現し、力に目覚め、ダークネスクロークのモノローグと出会い……本当にいろんなことがあった。
「本当にいろいろあったんだよぉ」
そっと呟き、少年は顔を上げる。この先もずっと、冒険者としての道を歩いていこう。そんな思いを胸に、グリモアへ向かう。一つの決意を固めるために。もっと頑張るために。みんなの笑顔の為に。

-ずっと、歩いていこう。
  冒険者としての、長い長い道を。

「それが、僕の生きる道だから……」
ディートは、小さく微笑んで歩き続いた。

(終)

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後書き

……あれ?

何気なくしんみりしたような雰囲気だなぁ、このSS。ディートだからこそなんかおこちゃまらしいものを書きたいのにぃ~。まぁ、お題がお題だからか?当初はノソリンを連れてグリモア参りとかも考えていたのですが、なんか違うような雰囲気だったので変更しました。どっちにしろグリモアへいくのは変わらないけれどね~。

使用お題
『むげファン参加者に30のお題』(すみません、製作者は誰ですか:汗)
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by jin-109-mineyuki | 2008-05-28 15:10 | 無限銀雨図書館 | Comments(0)