ある野良魔導士の書斎

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スズキ、鳥でも飲酒(ソウキュウ、下心ありそう:待)


シュウが率いる【碧風と共に歩む者】やラムーナが所属する【風を纏う者】はスズキたち【スズキ組】と同期といえる。彼ら二組の活躍を時折耳にするが、なかなか好評らしい。スズキたちはというと目立った活躍はないものの、好んで彼らに仕事を頼む人々もいた。

「頼むよ、スズキ。俺とお前の仲じゃないか」
「って言ってもねぇ~。俺の一存ではなぁ。一応リーダーを務めてはいるが、皆で話し合って受けるか否かをだなぁ……」
冒険者の宿『白銀の剣亭』にほど近い酒場『銀雨の降る庭』で、スズキは知り合いであり現マスターであるシアに言われて頭を抱えるようなそぶりを見せる。この青年、シア・スティードもまた5年前まで活躍していた冒険者だ。いまでこそ酒場のマスターではあるが、凄腕の魔導士で引退の際は色々な研究機関が彼を欲したという。しかし、彼は趣味の料理を活かせる酒場のマスターを選んだのである。
「とりあえず、アーシウムの赤を5本と白を10本。で、そのうち白5本を『踊るトナカイ亭』マスターに届ける。……ってお使いかい」
スズキの苦笑に、シアはたのむよ、と両手を合わせた。

カードワース・プライベートショートショート
『ほの甘い黄昏・

「おう、スズキじゃねーか。お前も飲みにきたのか?」
そう、声をかけるものがいる。パーティメンバーの一人で、淡い緑色の瞳と髪が特徴的な若い男だ。若干優男っぽくも見えるがよく見るとその体は鍛え上げられている。腰にバスタードソードっぽい鉄の塊を下げた彼に、スズキが翼を上げて
「ドリアッドにしては珍しく鉄塊をぶんまわすソウキュウか」
「仲間にそんな言い草かよ、鳥」
青年が、拳を握って翼とあわせる。こうやって軽口を叩き合う二人をほほえましく思いつつシアは1羽と1人に軽食を与える。
「スズキには水、ソウキュウには蜜酒だっけ?まぁ、これでも飲みつつ考えてくれよ」
その言葉に、1羽と1人は頷いた。

*   *   *   *   *  *

「仲間、か」
不意に、ダイラは呟いた。戦場と化した王都で彼は小さくため息を吐きつつ額の血を拭う。彼の脳裏には『裏切り者』の顔と殺された仲間の顔が浮かんでいた。
(くっ、何で一番側にいたはずの俺が見抜けなかったんだ)
手を握り締め、壁を殴りつける。何度も、何度も。そうしているうちに血がにじみ、壁をも赤く染めていた。
ぐっ!
ふと、腕が抱きとめられる。細い手と僅かに覚える柔らかな感触。その正体にダイラの表情が曇り、力なく振り払う。
「……バリアスか」
弟子は今にも泣きそうな顔で、彼を見上げていた。その後ろには幾人かの仲間も。その顔ぶれに、彼は苦笑した。

 あの夕方、キアラと共に城へ戻った二人が聞いたのは、仲間の一人が聞いてしまったクーデターの予言だった。それが切欠で色々調べていたのだが……その途中、治癒術を得意とする女性がクーデターの首謀者により罠に嵌められ、監禁されてしまった。
―それが切欠で、歯車は狂う。
クーデターは止められず、仲間の救助に向かった者は死亡した。
その囚われた仲間もまた……。
生き残ったメンバーで部下を率いてどうにかクーデターを収めようと、騎士と協力するものの、今は被害の拡大を抑える程度しかできなかった。

「……シェニエル、アイビー、リーシェ、カタパルト。お前達の無念は、必ず……」
黒いローブを纏った男が、一人呟く。そして、生き残った者達はそれに頷き、彼は向き直った。
「今から、逃げ遅れた住人達を非難させる。あの男の事だ。多分見せしめとして王都の住人にも手をかけるだろう」
「あと、せめてあの裏切り者どもを血祭りに上げたいな」
赤い髪の男がにや、と笑ってそういう。
「とにかく、まず町へ。
 そこで何人かに分かれて住人の非難を」
ローブの男の言葉に、全員頷き行動を始める。バリアスはダイラと共に走り出した。
「……俺についてくるのか?」
「うん。やることはなんとなくわかるからね」
ダイラの問いに、バリアスは笑顔を向けた。そして、呟く。
「僕には、貴方しかいないんだから」

*   *   *   *   *   *   *

(……なんだかな)
スズキが何気なく水を見つめていると、ソウキュウは暫くしてシアに蜜酒を頼む。そして、鳥でも飲みやすいようにしてくれた。
「ん? 鳥酔わせてついに食う気になったか」
そんなことをからから笑いながら言うスズキに、ソウキュウは阿呆か、と返す。
「猛禽類なんて喰える肉が少ないだろうが。こいつは奢りだよ。いつもリーダー、おつかれさーん、ってな」
「お前の奢り~? 明日は多分豪雨だな」
普段女の子とのデートなどでお金を使いリーダーのスズキや他のメンバーに「奢ってくれ」という事が多い彼が、こうするのは珍しい。それで思わず冗談が漏れる。照れ隠しに毛づくろいをしつつも、スズキはありがと、といって蜜酒を口にした。
なぜだろう、その酒はあまり甘くなかった。

・・・・・・・・・・・
後書きと書いてせつめいと読む。
ども、フーレイです。今回はシグルトさん率いるチーム&シュウさん率いるチームの名前が登場。Y2つさんのリプレイにはシュウさんたちも出ているんでよろしく。シオンとかアンバーたちはまだ登場していませんけれど、楽しみにしております。

 【風を纏う者】はY2つさんのブログで語られるカードワースリプレイに登場する冒険者パーティで【碧風と共に歩む者】は龍使いさんのブログで語られるカードワースリプレイに登場する冒険者パーティ。天才ぞろいなので凄いなぁ……。それに引き換え【スズキ組】をはじめとする僕がリプレイに登場させるパーティは普通の存在です(まぁ、種族や過去は特殊ですけど、型は普通なのよ:笑)。

 最近書いているこのスズキメイン(だと思う)SSは【スズキ組】・【風を纏う者】・【碧風と共に歩む者】の3チームが活動しだしてちょっとは名が売れてきた頃を想定して書いております。そういうことにしておいてください(滝汗)。

あ、シオンとのリンク忘れてた(大汗)。
シオン率いる【ドルチェーズ】が活動を始めたのはこの三つのチームが冒険を始めて半年ぐらい後なので、なんかリンクを結ぼうと考えていたのにね(笑)。

あと、ドリアッドですが……『無限のファンタジア』のドリアッドと似ているけど多少違います。花が咲くものもいれば、ソウキュウのように咲かない者もいます。あと、髪の毛には葉緑素があるので水があれば生きていけるのです(笑)。あと、血に(媚薬であれ毒であれ)薬効成分があったり、恋愛にたいして個体で観念が違いすぎるゆえに結婚の概念がかーなーり薄かったり。このソウキュウは女好きでのちに3人の妻を持ちます(ヒント:全員人間じゃないよ)。あだ名で【孟宗竹】とかとも呼ばれていたり(をい)。

最後に。
ドリアッドは実を言うと精霊にごく近いため鉄を嫌う奴らが多いんです。あと、ソウキュウの鉄塊はのちにロキが持ったと言われるアレになります。

……今回は長っ?!。
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by jin-109-mineyuki | 2008-05-13 13:36 | 札世界図書館 | Comments(0)