ある野良魔導士の書斎

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戦闘、一度負けました(【六珠】、譲れない意地がある)


冒険者の宿【水繰の剣亭】:23
踊り手達の存在証明(転:前)

目の前に並ぶジョゾたちを睨み付け、アデイがアンバーに囁く。
「あいつらは見た目よりも強いわよ。心していかないと……」
「わかってるって。俺たちに任せて……」
アンバーはにっこりする。そして……首に下げたペンダントに一度触れた。
(ユリンだってがんばってるんだ。ここで俺たちが負けちゃ……あわせる顔がねぇぜ)
風が変わる。どこからともなく、戦場の匂いを運んできたそれが、一瞬にして張り詰める。……アデイは思わず目を見張った。と、いうのも仮面をつけた敵が軽やかにステップを踏んでいたからである。それが何なのか、彼女とアンバーにはわかっていた。
「あれは…たしか【幻惑の蝶】ですよね…」
「くっ、闘舞術を使う相手もいるとは……」
「回避の効果を上げる舞だったよな……ちっ、面倒だぜ」
パールが牙をむき、その毛並みを逆立てる。と、ジョゾ側からどこか悦楽の混じる吐息が聞こえてきた。
「これだよ…この高揚感こそ生きる快楽ッ!……さあ、お前達も楽しもうぜぇ?」
蒼い髪の男…たしかバドゥーリがどこか恍惚とした表情で叫ぶ。その間にもヒギンが魔法の鎧を唱え、仲間達にかけ準備を整える。
「やるしかねぇぜ!…受けて立つ!」
アンバーがグレイブを振るい、その間にオニキスが精霊を召還する。ジャスパーは神の奇跡を求め、他のメンバーも襲い掛かる敵を迎え撃つ。金属音が、打撃音が、いつもならば聞こえてくる潮騒をかき消した。
「うらああっ!」
「この、猫風情があっ!」
白猫が飛び掛り、バドゥーリに爪を立てる。が、軽々と跳ね飛ばされる。その怪我をフライマンバが素早く治療する。その側でアンバーがステップを踏んだ。グレイブを手にしっかり握り、しなやかに敵を切りつける。
(さすがアンバーさんね。【連捷の蜂】がキチンとマスターされている。注意点が…)
アデイは思わず息を呑んだ。目の前では教え子が軽やかに地を踏みしめ、グレイブをザハに向かってそれを振るうが、彼は無駄のない動きでそれを回避する。
(アノ青年ハ……)
ザハは仮面の奥で目を細め、小さく口元を綻ばせた。

暫く戦うものの、陣はなかなか崩れない。チームワークができているからこその守りに、一行は息巻いた。
「……貴方が居なかったら確実にもう死んでるわよ」
ジャスパーの言葉に、フライマンバが鼻を鳴らす。
「バカ言うんじゃねぇ。今は戦いに集中しろ」
そんなやり取りに全員が苦笑しつつも、彼の存在に感謝していた。
「あのザハという人が曲者ですね」
オニキスが眼鏡を正しながらいう。彼の呼び起こした波の乙女ネレイデスたちの全体攻撃もそのチームワークとザハのフットワークでジョドたちに届かない。
「うわー、クインベリル!しっかりしろよー!!」
フライマンバが急いで倒れた少女を治療する。敵たちも傷薬で回復しあい、なかなか陣を崩せない。ヒギンの魔術によって今度はパールが倒れ、フライマンバが慌てて治療する。
「ザハを倒さないと後ろにいる魔法使いや神官を倒せない。厄介だね」
サードニクスがナイフを握り締めて悔しがる。半魚の戦士モルーハの攻撃もザハに止められたのだ。傷だらけの状態でも【六珠】は奴らを倒さずにはいられなかった。ぎりぎりの所で全滅しかけても、どうにかつなげて立ち向かっていた。オニキスが呼び出した風の乙女ルサリィに助けられ、フライマンバやジャスパーの治癒術、クインベリルの歌に助けられて。しかし、それも間に合わず、一人、また一人と戦闘不能に陥る。
「くっ、しぶといですね。ただの流れ者風情が…」
「そう言っていられるのも今のうちだぜ…っ」
パールの一撃が鉄壁の一人を倒すものの、満身創痍だった。なかなか手ごわい。体中が軋み、ロネが倒れようとしたオニキスを蹴り飛ばす。
「ぐっ?!」
「まだ、足掻くか……」
全員が、しっかりと立つことができない。サードニクスも、ジャスパーも、地面に膝を付いている。クインベリルにいたっては、意識が若干朦朧としていた。ジョドは業とらしくゆっくりと歩み寄り、グレイブを支えに立ち上がろうとするアンバーを軽く小突く。そして無様に倒れ、グレイブから手を離し前のめりとなったところで、その手をぐっ、と踏み付けた。
「……っ!」
「…そんなにぼろぼろで、倒せるのですか?所詮屑でしかない貴方たちが、私たちに勝てるわけがないのですよ」
力つきかけるアンバーの手をぐいぐいと踏み続け、ジョドがいう。しかし、彼は振り払うとしっかりと地面を踏みしめる。
「口ほどにも無い。それで私を倒そうと?…全く」
「ふんっ…ちょっと油断しただけさ」
アンバーが呟き、静かに手を上げる。そして、何かを呟きパチン、と指を鳴らす。すると側に一人の精霊が現れる。風を巻き起こし、恭しく一礼する美青年。それにアンバーが小さく微笑んだ。風の貴公子ゼファーが召還されたのだ。
「勝負はこれからだ。……覚悟しろッ!」

(続く)
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今回遊んだシナリオ(敬称略)
碧海の都アレトゥーザ(Mart)

ども、フーレイ(疲労)です。
まだまだ続く『私は踊り続ける』のリプレイッ!!なんですけれども・・・・プレイ中物凄くピンチでした。イベント前に精霊召還しておきゃよかったと物凄く(笑)。しかしそれを逆手にとりました。つっこむと最初からそれを使え、といわれてしまえばそうなんすけど、まあ……ね(血涙)。

シグルドさんたちやシュウさんたちとクロスオーバーさせたいですが、未だタイミングが(汗)。とりあえず、がんばろう!!自分でやっている他宿はけっこうクロスさせてますけれどもね(笑)。

将来的には一度アンバーを含む冒険者パーティのリーダー及びシュウさん、シグルドさんが登場するショートショート(しては長い予定)を描く所存であります。主人公は実を言うとシオンなんだけれどもね(滝汗)。

ちなみに精霊達は全員名前持ちだったり(ぇ)
ネレイデス、実を言うとアイドルマスターのアイドル達から名前を貰おうとか考えております。
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by jin-109-mineyuki | 2008-05-03 20:56 | 冒険者の宿【水繰の剣亭】 | Comments(0)