ある野良魔導士の書斎

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『むげファン参加者に30のお題』より 26:なにごと?


――急に聞こえる破戒音。
誰もが振り返るほどの、大きなそれは……

『なにご?』

「これは失敗だなぁ~ん……」
もくもくと黒い煙が上がり、その中から現れたのは黒い耳と尻尾のヒトノソリン。元々白いであろう肌を煤だらけにし、けほけほと咽ている。取り出したものは丸こげとなった塊。……妙にでかいが、微妙にノソリンの形をしている。
「せっかくノソリンパンを作ろうとしたけれど……なぁ~ん」
釜の火力が悪かったのか、それとも生地か……ヒトノソリンは煤だらけとなったエプロンを見つめ、ちょっと苦笑した。身に纏っているメイド服は黒だが、若干埋もれるような色合いになっている。
「友達に食べてもらう予定だったのになぁ~ん」
ギーエルはカフェのオープン記念に配ろうと思ったパン(試作品)……の残骸を見つめ、小さくため息をついた。が、

――ごごごごごごごごごっ

なんて聞こえてきたから慌てて庭へ出る。今は、井戸掘りの真っ最中であったはず。父親であるリリシャールを初め親戚の男衆総出で井戸掘りをしてくれているのである。
「ど、どうしたなぁ~ん?!」
店を出た途端見える、明らかに湯柱っぽいもの。それにぎょっ、となっていると井戸掘りをしていた親戚(ほぼヒトノソリン)もまためっちゃくちゃ嬉しそうである。
「ギーエル、喜ぶなぁ~ん!!温泉を掘り当てたなぁ~ん!!」
上半身裸にねじり鉢巻タオル+ジーンズという井出達(しかも土まみれ)のパパ、リリシャールがにこやかにそういい、後ろを指差す。とりあえず、店を出た時点で見えているから判っているけれども、はっきり言ってとんでもないような気がした。
「すごいなぁ~ん!温泉だなぁ~ん!!」
「何でも、同盟の冒険者は温泉が好きだと聞いたなぁ~ん」
ギーエルが喜んでいると、若干筋肉質な若いヒトノソリンが肩をぽん、と叩く。
「ギーエルの旅団にも素敵な温泉ができるなぁ~ん!」
「早速温泉作りなぁ~ん!!」
別のヒトノソリンが大喜びで手を上げるものの、リリシャールに似た大柄なヒトノソリンと小柄なヒトノソリンが酒瓶を持ち上げて叫ぶ。
「その前に前祝で飲むなぁ~ん!!」
「祭りだなぁ~ん!!」
そんなこんなで、その日はずっとお酒を飲んでいたカンツバキ家であった。

……それが『カフェ・ナ・ノソリン』に温泉がある理由である。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 
後書き。
フーレイっす。
ギーエルの旅団『カフェ・ナ・ノソリン』はカフェなのに何故温泉があるのか、という話題が出たことがあるので、このネタに走りました。
カンツバキ家、酒盛り好きです。

使用お題
『むげファン参加者に30のお題』(すみません、製作者は誰ですか:汗)
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by jin-109-mineyuki | 2008-04-23 00:11 | 無限銀雨図書館 | Comments(0)