ある野良魔導士の書斎

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えー、何?この……(略:フーレイ、ちょいと色々)


 赤々と燃え上がる街
 逃げ惑う人々
 襲い掛かる魔獣
 これは、一つの……国が死んでいく光景。

「……くそっ」
一人の男が、レンガの壁を殴りつける。そして、燃え盛る街を見つめた。彼の後ろには避難させた住民達の姿があった。短く切った黒髪の切っ先からも汗が滴り、その場に崩れる。
「あの宰相、何時の間に隣国と手を組んで……」
「先生…いや、ダイラ…」
一人の少女が、彼の肩に触れる。小麦色の手はローブ同様煤まみれで、指先は何かでやけどしたであろう痛々しい跡が残っていた。

カードワース・プライベートショートショート
『苦イ夢・

「…バリアス、避難経路は?」
「確保できています。あと5分で転送術が発動し、住民は碧落の森へと逃れられます」
男…ダイラはバリアスと呼んだ少女の報告に頷き、立ち上がった。そして軽く瞳を閉ざす。刹那、素早く呪文を唱えて敵を探す。…敵意は燃え盛る街からしか感知せず、今のところは安全であった。
「…上手くいっているかな…キアラたちは」
「ええ、きっと、彼らならば」
バリアスはその問いに頷きつつも…内心は不安であった。
相手は戦争に関して右に出るものが居ない、とまで言われる大国。宰相は魔導士と魔導技術をそこへ与えるために裏切り、今の状態を生んだのだ。
脳裏に移る、既に居ない仲間達のことが、胸をかきむしる。我慢しようにも、その緑の瞳からぽろぽろと涙がこぼれた。
「泣くな」
ダイラはそれだけ言って、バリアスを抱きしめる。己の軋む心を押さえつけるように、力強く、ぐっと……。少女は少しだけ顔を挙げ、ぬれた瞳で男を見上げる。
「戻らないものは戻らない。お前は生きて、そいつらの夢をかなえてやれ」
その言葉に、少女は首を横に振る。
「嫌だ」
「!」
バリアスはダイラの胸を突き飛ばし、猛禽類のごとき鋭い目で叫ぶ。
「……皆が死ぬなら僕も死ぬ。
 魔導士として戦って、魔導士として……
 フォレストイージスの雪鴉翼十三柱の一柱として…!」
「バカ言うんじゃねぇっ!!」
ダイラが叫び、バリアスを抱き寄せ……言葉を続ける。それがどこか崩れ、涙交じりなのは弟子だからか…それとも…仲間だからか…あるいは……。
「忘れたのか?
 役目を終えたら、旅をしよう…。そう、皆で約束しただろう?」
「でも……」
バリアスの言葉は、柔らかく暖かいもので閉ざされた。

*   *   *   *   *   *   *   *   *

 天気のよい朝。リューンに程近い冒険者の宿『礎の神話亭』の一角。2段ベッドが二つあり、その近くにひとつの鳥かごがおしゃれな柱に引っかかっている。そこには一羽の猛禽類がいて、目覚め一発の毛づくろいをしていた。
「ふー、目覚めの悪い日は何もしないでささみでも…」
「そう言っている暇があるなら、仕事を探してくださいよ、リーダー」
猛禽類が人の言葉を話したのにも驚かず、緑色のローブを纏った女性が苦笑する。まぁ、この宿では当たり前の光景なので誰も気にしないのだ。リーダーと呼ばれた猛禽類ははいはい、と頷いた。
「ところで、目覚めが悪いといいましたけれど…」
「ああ。ちょいと昔をね」
女性の問いに鳥はそう答え、また毛づくろいをはじめた。そして、顔を上げて窓の外を見つめた。透き通った空色が、妙に目にしみる。
「……………わかってるよ……みんな」
その呟きを、女性はあえて聞かなかったことにした。
そして鳥は、嘴で器用に戸を開け、宿内へと翼を広げる。
こうして、一日が始まっていった。

―貴方が愛した空は、今日も真っ青です。

鳥は、内心で呟いた。

(終?)

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
あとがき
わけわかんねー!と思われてもしょうがないフーレイです。
一応過去話ですが、鳥って言えば判りますよね。
奴の過去はダークだ(シオンほどじゃないと思うけど)!
あと、実年齢は○○歳なのに若者クーポンなのは半分魔族の血を引いているからであったりする。
次回は、発展でけたらそれを書きます。脳力が持てばの話ですが!
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by jin-109-mineyuki | 2008-04-22 14:06 | 札世界図書館 | Comments(0)