ある野良魔導士の書斎

fureinet.exblog.jp
ブログトップ

今回は二週間でいくとおもったんだけど(リプレイ、案外……)

(けれど、何かがおかしい)
全ては終わった。それなのに、6人…特にフランベルジェは何か奇妙な感覚を覚えていた。1人気が晴れず、夜の村を歩いていく。
(なんだろうな、この予感……あー…苛々するな)
罠は上手く作動し、戦闘も素早く終わった。円満解決のはずだ。それなのに…。
『この村…そういえばお年寄り…の方を見かけませんね』
ふと、パルチザンが呟いたのを思い出す。そうだ。自分もそう思っていたのだ。真っ先に食事を終えた彼は己の領域たる闇夜へと足を踏み入れ、頭を冷やそうとした。
(お年寄りが居ない村…、謎の魔物…。なんか絡みそうな…)

『山間の村』(作:机庭球)より ※敬称略
『真実を掴む手は幼くも』 中篇 (著:天空 仁)


彼は墓場で霊を倒すと自然と…山との狭間に来ていた。村人の1人が笑顔で手を上げる。
「よう。こんな遅くまで見回りかい?」
「違うんだ。…ちょっとね」
フランベルジェは苦笑したが…青年は首を横に振る。そして、肩をぽんっ、と叩く。
「お前…もしかしてさ、この村の”事情”気づいたんじゃないのか?」
「……だったら、どうなの?僕に全て、話してくれるっていうのかい?
 貴方の身も危ないよ?」
フランベルジェはまぶたを閉ざしたまま、若干つん、とした勢いで言う。青年は明らかに苦笑し、少年の頭を撫でた。
「そう怒らないでくれよ。そして、これは秘密だ。
 知りたかったら倉庫に言ってみるといい。詳しくはいえないけれどな」
そしてくれぐれも俺が言った、とは言わないように…と念を押した。
「ありがとう、おじさん」
少年は一礼してそこを離れる。その背中を見送り…小さく手を振った。

 倉庫の地下から、楽しげな談笑が聞こえる。眼が見えない分、耳はすこぶるいいのだ。フランベルジェがそこにそっと降りる。と、少女と老女が楽しげに話していた。
(そういうことだったのか……)
少年は一歩踏み出した。案の定見つかって怒られるけれど、少年は迷わずに口にする。
「隠れているんですよね、貴女は。
 この村には1人もお年寄りの人が居ない。
 貴女のおばあさんだけここにいるってことは」
「だったらそれを村長代理にいうの?」
「そのつもりはないけど?」
少女が噛み付くようにいい、フランベルジェは呆れたように肩をすくめる。そうしていると老女が「感情的になるな」と少女を諌めた。そして、全てを話し…その上で考えてほしい、と言った。
「ばあちゃん、この子眼が見えないんだよ?それにやせっぽっちだし…」
「ジュリア、人を見た目で判断してはいけないよ」
不満げな少女に、老婆はそっと諭すように口を開く。そのやり取りを聞きながら、フランベルジェは小さく微笑んだ。
「でも…それでも…」
ジュリアと呼ばれた少女は目に涙をため、不安そうに祖母の袖を引っ張る。
「それでは…話していただけませんか?」
少年の問いに、彼女は静かに語りだした。

 この村はムサック村、エルザ村と合わせて一つの領土。村人たちはそこを納める領主に税を払って生活しているが、他二つの村に比べレイト村は収入がはるかに少なかった。エルザには遊牧の民が作る手織物が、ムサックには観光資源がある。
しかし、レイト村にはそれがなかった。
故に領主は怒り、一ヶ月前に自分の息子、ゼル・ヴァルディを村長にするよう命じた。彼は貴婦人相手に野菜を売り始めたが、収入はなかなか増えない。そこで、村長と一緒にきたエリックが「一番の無駄は老人だ」と言い放った。村長はそれに怒り、エリックと衝突していたものの一週間前姿を消した。
「村長は…あの男に殺されたのよ…」
ジュリアは声を押し殺し、苛立ち混じりにそう言った。
…一週間前に姥捨てが始まった。少女はそれが嫌で祖母を隠した。
その事が、フランベルジェの胸に引っかかる。盲目の少年は息を飲み込み、唇を噛む。
そして、深く眼を閉ざし…思考を続けた。
(おかしい。ゴブリンっぽいやつの大量発生と重なってる。絶対…裏がある)
少年には見えないが、目に涙を溜めて「祖母の事をエリックにいうならまず自分を殺せ」とジュリアは叫ぶ。フランベルジェは小さく首を横に振った。
「口だけは、達者ですね。…ま、エリック達にいう必要はないよ。契約は終わってるし」
「だったら…あたしがあんた達を雇うことは出来るの?」
「うん。出来るよ」
ジュリアの問いに、フランベルジェは一つ頷く。少女は盲目の少年の手を取り、ぎゅっ、と握った。
「だったら雇うわっ!あの村長代理を殺して!皆解ってるの!本当は…あいつが…っ!」
「ジュリア、いい加減におし!」
老婆が諌めるが、フランベルジェは静かにこう言った。
「…僕は、その心算です。けれど…報酬の話がありますよ。何をくれますか?」
少女は若干うなりつつ、ワインを1樽くれる約束をした。
そして、同時に仲間たちが姿を現した。一番に飛び出したのはパルチザンだった。
「やっぱり、きみらしい決断ですね。
 本当は優しいきみだから、僕はきみを信頼してるんです」
その言葉に、フランベルジェは苦笑した。
まずはあの山を調査し、裏を探る。ジュリアは協力してくれる人…与太郎と言っていた…に話をつけておく、と言っていた。
「それじゃ、いこうか…」
テッセンが促すが、フランベルジェはちょっとまって、と皆を止める。そして、老女の方をむいた。
「僕の推測だけど…ゼル・ヴァルディが来る前はおばあさんが村長だったんですよね?村全体のお酒を護るならば、村の中でも由緒正しい家になるはずだもの。そして、ここは…ゼルがくるまで特に管理人を定めていなかった。強いて言うならば、村長家であったトランジスタ家が一番頻繁に出入りしていた可能性がある。…だよね」
少年の言葉に、老女は優しい笑顔でうなずき、そっと頭を撫でる。そして、他の子供たちの頭もそっと撫でて、おやすみ、ぼうやたち…と言った。

「あんたたちなら…メリッサ村長…ジュリアのおばあちゃんを助けられるとおもってね」
山への入り口にいた青年は元冒険者の勘で、といいつつフランベルジェたちを迎え入れた。太陽もまだ昇らないうちなので、彼が付き添ってくれたのである。
「まぁ、姥捨ての際もジュリアと話し合ってあの酒蔵に隠したんだけど」
「…ばれた時の事は考えなかったの?」
不思議に思いエペが問いかけるが、彼は肩をすくめ首を横に振った。
「けれど、メリッサ村長は俺の恩人でね。頭が上がらないんだよ」
そういう彼の笑顔を見て、パルチザンも顔をほころばせる。
「本当に、メリッサさんの事を慕っているのですね」
「ああ、そうそう。なんでお兄さんは与太郎って呼ばれているの?」
今度はテッセンが問う。青年はうーん、と首を傾げる。
「ここの辺りを見張っていたりしているだけなんだけれどねぇ。何でかな?
 まぁ、暇って言ったら暇だけど…」
「…そ、それはそういわれてもしかたないかもしれない」
「ちょ、エイデン…それ、酷い…」
エイデンが小さく苦笑して呟き、クレイモアが突っ込みを入れる。そんな面々にエペは苦笑し
「そろそろ行こうよ。あたし、すっごく楽しみなんだから」
という。フランベルジェはそれに頷き、一行は歩き始めた。 
(たのんだぜ、子供連合…)
青年は小さく手を振って一行を見送る。…が、その時、彼は人の気配を感じたような気がした。少年たちとは違う、大人の気配を…。

 パルチザンとフランベルジェが主に道を調べ、一行は順調にゴブリンたちの通った後を辿ることが出来た。その先にあったのは一つの廃墟である。
「……魔力の匂いがする」
テッセンが眉を顰めて呟く。それにフランベルジェも頷きつつ廃墟へ潜入する。と、そこには紅いリザードマンが3体存在していた。動く気配はない。
「…紅い…?」
エイデンたちはそれに息を呑む。
(…この魔力の質…)
瞬間、テッセンとフランベルジュの表情が曇る。闇の眷属と人魚族の二人は魔力が高いのだ。
(あのゴブリンたちと……似ている!?)
「ど、どうしたの?」
エペが小声で問いかけるが、二人は何も言わない。そして、リザードマンも身動き一つしない。
「これもまた……亜種なんでしょうか?」
パルチザンが呟きつつ檻を見ていたその時、急に人の気配がした。
「そうよ」
「!!」
6人が顔を上げると、そこには1人の女性が佇んでいた。露出の多い衣服を身に纏い、子供たちを見下ろしている。

(つづく)

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
多分、後書きじゃないけど後書きらしいもの。

くぁー。
あははははははははははは(壊)!

……またもや三週にわたっての模様でス。
丁度よい文章量ってどんぐらいなのでフか?

フーレイ
[PR]
by jin-109-mineyuki | 2008-04-08 18:02 | 札世界図書館 | Comments(0)