ある野良魔導士の書斎

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散歩がてら、という雰囲気ではない(例の二人、また事件に)


「…ここが…」
ふいに、少年は口を開いた。
風が吹き、立ち止まった5人の目に映ったのは、一つの村だった。
もう1人いるが、彼は盲目なので耳で村を感じている。
「そう、依頼の舞台だよ」
先頭を歩いていた白い髪の少年は小さく微笑み、傍らにいた少年の肩をそっと叩く。
「うん…故郷に似てる…」
小さく微笑む少年の、どこかほっとしたような声に、彼は一つ頷いた。
今回の依頼は、簡単なはずだ。休暇代わりになり、仲間を励ませるかも。
そう、おもっていた。

-しかし、この後…6人はトラブルに巻き込まれる。

『山間の村』(作:机庭球)より ※敬称略
『真実を掴む手は幼くも』 前編 (著:天空 仁)

 冒険者の宿『見えざる神の手亭』に所属する冒険者チーム、『子供連合』のメンバーはある依頼を受けて小さな村へとやってきた。そこは美味しい野菜で有名な所らしい。
「そういえば、グレイシーさんも…こういうとこ、好きだって言ってたな」
白い髪の少年はそういい、小さく苦笑する。嘗て世話になっていた…そして、ある意味恨みにも近い感情を抱かざる負えなくなった先輩冒険者の名前に、メンバーは苦笑を禁じえない。傍らにいた少年は狼の耳を一度震わせ、一つ頷いて口を開いた。
「フランベルジュ、行きましょう」
そう呼ばれた少年は、ああ、と応じると再び歩き始める。
「パルチザン、ごめんな…」
フランベルジェの言葉に、今度はそう呼ばれた人狼の少年が首を横に振る。
「気にしないで」
そういい、少年は目の見えないフランベルジェの手を引いた。その後を他のメンバーが続いていく。
「そういえば……エイデンの故郷に似てる気がする」
そう言ったのはフランベルジェのすぐ後ろを歩いていたテッセンである。エイデンと呼ばれた少年は彼女の横でそうだね、と僅かに瞳を細める。
「出遅れ感は否めないけれど……まぁ、こういうのも悪くないわ」
一番後ろを歩き、黒髪の少女が呟く。彼女は僅かに唇を綻ばせるとふと、足を止める。新鮮な緑の匂いが混じる風を本当に楽しんでいるようだった。
「エペ…、呼んできて」
パルチザンは茶色い眼の少女に頼む。エペと呼ばれた少女は一つ頷くと彼女を引っ張る。
「クレイモア、早くいくよ~」
「わかってる。わかってるわよ」
黒髪の少女はばつが悪そうな顔で駆け出した。

「…報酬600sp以上で比較的ローリスク。そして近場…ある物ですね」
仲間のうちの1人がぼやいた呟きに、フランベルジュが苦笑する。が、彼の指はそれを見つけていた。そして、今その場に到着したのだ。
「山に巣食ったモンスターが夜に暴れるから倒せ、だっけ?」
「そうでしたね。恐らくゴブリンやコボルトだと推測しますが…」
エペの言葉にエイデンは少し考えてそういう。その間にもパルチザンたちは村長の家を探している。
(レイト村の事、調べていて正解だな。前に話に聞いていたパルチザンの故郷に似ている気がする。心なしか、軽やかですねぇ…彼の足取り)
これを選んだ理由の一つが、落ち込んでしまったパルチザンを励ますためだった。彼の故郷に似ているだろうレイト村に行けば少しはリフレッシュしてくれるかも知れない。
「こっちみたいだよ、村長さんの家。行ってみよう!」
パルチザンの声がする。フランベルジェたちは頷いて彼の後に続いた。

 依頼を出したのは村長の秘書であるエリック・クライスラーという若者だった。村長の名で依頼を出したのは村長から名前を使う事を許可されているから、と、やはり村長代理では格好がつかないから、だそうな。彼の話によるとゴブリンの亜種だろう、橙色の肌と青い眼の魔物が夜にやってくるので退治してほしいらしい。
(ふむ……)
フランベルジェは話を聞きながら
「40体ぐらいか……」
「正攻法じゃ、難しいよね。日中の奇襲も考えるけどあの数だったら…」
クレイモアの呟きにパルチザンも考える。
「いや、夜行性と考えるのは危険かな?」
彼の問いに、エリックは困ったような顔で
「何処に潜んでいるのかが…わからないのですよ」
と返す。
「どうするの、フランベルジェ?」
テッセンの問いに、盲目の少年は小さく頷いた。
「ここはやっぱり罠かな。数も減らせる上に錯乱も望める」
「そこを叩けばいいな。よし…っ!」
クレイモアは気合十分といった顔で手を打った。と、同時に扉が開く。そして鎧を纏った、エリックに瓜二つの青年が外から入ってくる。
(金属の匂い…。そして戦いの匂い…)
フランベルジェにはそれをはっきりと感じ取ることが出来る。
「剣士なんだね」
テッセンがぽつりと呟きつつ彼の右手を見た。剣を持つ人間の手だ。ごつごつとしたそれは仲間であるクレイモアと同じ手である。
「双子なんですね」
エイデンの言葉にエリックは頷く。彼の話によるとエディといい、村長のボディーガードだという。
(双子か…)
フランベルジェは小さくふむ、と頷きながら話を聞いていた。

 エディとエリックの計らいで、冒険者6人は村人たちから色々罠に使えそうなものを貰うことが出来た。…が。
「それにしても、エディが挑発してきたのには…驚いたなぁ」
そういいながらパルチザンが苦笑する。
「でも、私たちは私たちのやり方で戦う。……そうだろう?」
クレイモアは楽しげに笑い、エペが頷く。
「でも、倉庫の地下室であった女の子にも驚かされたなぁ。いきなり怒鳴るんだもん」
「しょうがないですよ。勝手に入っちゃった僕たちが悪いんですから」
エイデンは肩をすくめつつも樽を転がしていく。テッセンは揃った道具と地図を見比べ楽しげに声を上げる。
「ええと罠が仕掛けられる所をもう一度チェックしよう。
 で、あとは話し合った通りに仕掛けるよ!」
「けっこう色々あるから、楽しくなりそうだよね。よし、がんばろうっ!」
フランベルジェも頷き、皆が彼の声に笑顔を向ける。こうして一行はわいわいと罠を仕掛けはじめた。

…そして、その夜。それらは上手く作動し、戦闘も楽に終わった。

エリックとエディに腕を認められ、報酬も貰うことが出来た。
労を労ってくれた二人は一行を食事に誘った。

(続く)
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後書きと書いて…(略)。
 ども、フーレイです。いやぁ、4月になりましたねぇ。なんとなくこのシナリオが今の季節のような気がしております。机庭玉さんの『山間の村』リプレイでありますが、…そこ、手抜き言わなーい(汗)。作者さんにはリプレイを送っておりますが、これはそれを加筆修正してアップしています(ほとんどしてない気もするけど)。

今後なにか「このチームでリプレイを」とかありましたらこのカテゴリのどこかに書き込んでいただけたら嬉しいかな?

とりあえず、二度に分けますわ。
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by jin-109-mineyuki | 2008-04-01 15:01 | 札世界図書館 | Comments(0)