ある野良魔導士の書斎

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いつになったら、パールは元に戻るんだろう(ぇ/水繰の剣亭、ひそかに後輩冒険者がいたり)


冒険者の宿【水繰の剣亭】:17
猫と惨劇と魔剣工房…あと聖樹館

 穏やかな日差しが差し込む中、【六珠】一行は若干熱い場所にいた。ここはフォーチュン=ベル近郊にあるブレッセンの工房。今日は10日ほど前に打ち直しを頼んでいたパールの槍を受け取りに来たのである。
「…受け取りに来たか。ほれ、このとおりだ」
「ありがとよ、ブレッセン!」
パールは嬉々としてゲイボルグを受け取る。ただの鉄塊でしかなかったゲイボルグはちゃんとしたハルバードとなっていた。
「猫のお前でも使えるようにしてある。ま、元の姿になればその姿で使えるようにしてやるさ」
「お気遣い、ありがとうございます…マイスター・ブレッセン」
ブレッセンの言葉にオニキスも思わず笑みを溢して頭を下げるも、彼は苦笑する。
「マイスターだなんざむずがゆい言葉はやめてくれ、オニキス。…それにしてもアーシウムの赤は旨い!」
匠の手に握られているのはアーシウムの赤。過去の依頼で入手し、美味しかったので御礼に、とオニキスがサードニクスに頼んでアーシウムまで買いに行かせたらしい。ブレッセンも昔はよく買いに行った、とからから笑った。

その帰り、アンバーたちはカフェテリアである聖樹館へ立ち寄ることにした。冒険のあとに立ち寄ることも少なくないここは、冒険者の間では案外有名である。今も別の冒険者らしき一行がケーキを食べつつ会話に興じている。その様子を横目で見つつもサードニクスはメニューを広げ、おのおの注文をした。店主の聖樹が奥へ行ったのを見つつアンバーが口を開く。
「そういえば、…猫を捕まえに行ったな」
と、苦笑しながらそういいひざの上のパールを撫でる。パールは仕方ないな、という顔で撫でられている。
「下水にもぐって鈴とって、それを首に結わえて歩くってどーよ?俺がいくら猫だからって…」
「ま、飼い猫ですし丁度いい鈴でしたよ。案外似合っていただけに残念です」
オニキスはくすくすと笑いながらそう言った。ジャスパーたちも、店員である聖弥や聖花も笑いをこらえ切れない様子である。それにパールは不機嫌になる。
「くすくす……でも、凄く可愛かったですよ、パールさん。それにしても、その鈴が原因で下水道に猫が集まってしまったんですね」
サードニクスはそう言いながらホットミルクを飲みながら呟き、ジャスパーも頷く。
「ダーマちゃんたちの役に立ったんだし、ジェーンから依頼代は上乗せされたし、邪術士っぽい顔のおっさんからもお金を入手できたし、いいんじゃない?」
お金の管理を任されている彼女としては、結果的に黒字となったから別にどうも思っていないらしい。あとはあの猫達を売るだけねぇー、とか考えている。
「あの猫、売っちゃうの?一匹欲しいなぁ」
「猫はきまぐれだからな。それに付き合えないと駄目だね」
クインベリルがちょっとしょんぼりしているとアンバーはそういいつつもふと、別のことを考えた。
(ユリンに一匹やろうかな。元気付けにはなるかもしれない)
そう思いつつ窓を見る。丁度あの村の方向だった。どこと無く寂しげな表情を浮かべる青年に、オニキスは小さく微笑んだ。
「気になるのですか? あの子の事が……」
「えっ?」
彼の言葉に、アンバーは少し驚く。その様子がおかしかったのだろう。今度はパールがくくく、と笑う。それは他のメンバーも同じらしい。
「僕も気になるもの。でも…大丈夫だよ。アンバーの言葉もあるし」
サードニクスが小さく微笑んでそういう。彼もまた、アンバーに助けられた1人で…そのときのことを思い出すと頬が熱くなる。
(捨てられた僕を拾ってくれた。生きる力を分けてくれた。アンバーの言葉がなかったら僕はきっと……)
そんなことを思うそばで、ジャスパーが紅茶を口にしながら瞳を細める。ルネス村産の紅茶は香りがよく、彼女の心を和らげる。同時に、村での事件も思い起こさせていた。
「本当に、御伽噺のような事件だったわね。血と炎の海にしすめられた村、一人だけ生き残った女の子、怖いモンスターにゴブリンたち……」
「忘却の毒を飲まされたお姫様に、救いの手を差し伸べた冒険者。よそ者に運命を託させるあたり、相当の悪だったよなぁ……アイツは」
パールが言葉を続け、クインベリルはココアに目を落としてそうねぇ……と相槌を打つ。
「なんか、奴の掌の上で踊らされていたように思えるわ。でも…結局ユリンは…」
そこで、ふと言葉をとめられる。ジャスパーは何も言わず頷き、そうだね、とクインベリルもまた頷いた。二人の様子を尻目に、サードニクスはミルクスープをスプーンでかき回しながらどこかぼんやりと外を見る。空は快晴で、なんだかほっとした。
(こんなのんびりした日も……たまにはいいよね…)
ミルクスープを口にすると、ちょっと冷めていたがとても美味しかった。そして、それをアンバーにも教えようとしたが…肝心の彼はいなかった。不思議そうに首を傾げているとパールが言う。「アイツなら、外だぜ」

「ユリン……俺達もがんばるから」
アンバーは一人席を立ち、外に出ていた。そして、首にかけたペンダントを握り…空を見上げる。

(続く)
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今回遊んだシナリオ(敬称略)
魔剣工房(Djinn)
ジェーンの三毛猫狂想曲(じぇんつ)
惨劇の記憶(きしりとおる)
Cafeteria聖樹館(魔王ゆゆう)

ふぅ、僕が気に入っているシナリオ『惨劇の記憶』がここでリプレイに。もっと詳しく書こうとも思っておりますが……気力があれば…かなぁ(遠い目)。因みに、あの聖槌はどうしよっかなぁ~ん。個人的にはそろそろパールが……。
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by jin-109-mineyuki | 2008-03-08 23:58 | 冒険者の宿【水繰の剣亭】 | Comments(0)