ある野良魔導士の書斎

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意外なことが判明(アンバー、実は特技はピザ作り)


冒険者の宿【水繰の剣亭】:16
買い物と碧海からの客人

 賑やかな【水繰の剣亭】の様子に、レナータは苦笑する。訳あってリューンへやってきた彼女はアンバーから昼食に誘われており、そのためにそこを訪れたのだが…
「よぉ、レナータ!待ってたぜ!」
アンバーがにこやかに手を上げ、それで気づいた他のメンバーたちもそれぞれ声をかけてくる。よく見るとみんなが食事の準備をしていたらしく、エプロンをしていた。
「今日は誘ってくれて、ありがとう。それにしても…何を…」
レナータは一礼し、テーブルの上に並ぶものを見た。美味しそうなピザが湯気を立てている。アレトゥーザでよく見られるタイプで、トマトソースとバジルの香りが鼻を擽る。オニキスは優雅なしぐさでレナータをエスコートする。
「アンバーがどうしても貴女にピザを振舞いたいと…」
「故郷の味はたまーに食べたくなるでしょ?」
彼とサードニクスの言葉にアンバーが顔を赤くする。そんな様子にくすくす笑いながらジャスパーはレナータに紅茶を注ぎ、その間にクインベリルがアンバーと一緒にピザを切り分ける。
「早く食べようぜぇー。俺、腹ペコなんだよ」
パールが苛々とした様子でアンバーに言うがぺしっ、と頭を叩く。器用にピザを切り分けて皿に盛るとクインベリルはとくに美味しそうな一切れをレナータに渡した。
「はい、どうぞ。アンバー手製ご自慢のピザだよっ!」

 紅茶とピザでの昼食はなかなかのものであった。アンバーのピザは確かに上手い。オニキスはそれをちょっと誇りに思いつつも……ちょっと自慢げなアンバーには苦笑してしまう。
「そういえば…あの鉄扇をつかった術、興味深かったなぁー。でも精霊とはあんましそりがあわないんだ。そこがなぁ……」
不意にこぼれた言葉に、オニキスは肩を竦める。内心呆れつつも舞踏に熱を上げる彼を見ているとなんか楽しく思える。だから、ぽん、と肩を叩いて
「きっといずれ丁度いい技が見つかりますよ。元気だしなさい」
その隣ではレナータがサードニクスから最近のことを聞いていた。
「リューンの共同墓地で、怖い魔術を教えてくれる人にあったよ。でも、いい人っぽいし信用できると思う。教会もなかなか綺麗だし、また行きたいな。墓守さんがすっごく優しそうなひとなんだ。僕、友達になりたい」
「どんな人でしょう?私も会ってみたいですね…」
レナータも興味を持ったらしくにっこりと笑う。ジャスパーはそうね、と思い出しながら口を開いた。
「私は大人しそうで弱々しく見えるわ。けれど案外意志は強いかもしれない。ああいう子は好みよ」
「性別もわかんねぇのに好みも何もねぇだろ?」
パールがふん、と鼻を鳴らしてピザにがっつく。口の周りをトマトソースだらけにして夢中になって食べるも、内心では「元の姿に戻りてぇーっ!」と思っているのだ。
(そして、俺様のかっこいい姿をレナータやジャスパーや娘さんに見てもらうんだ!きっと黄色い声を上げてくれるぜ!)
なんて思っていたりする。
「そうそう、昨日行ったお店にも東方っぽい雰囲気のスキルがいっぱいあったよ」
クインベリルが思い出したようにそういい、ちょっとだけうっとりしたような顔で虚空を見つめる。その様子を心配したレナータだが、アンバーがいつものことだから、と苦笑した。
「確かに、『花散里』のスキルは雅やかな雰囲気だよなー。なんか他の店と雰囲気がぜんぜん違うぜ」
彼の相槌に、オニキスが続けて口を開く。
「あの店主も興味深いものを揃えていますね。何かの機会に行ってみるといいですよ」
「見てみるだけでも面白いかもしれない……」
レナータは頷きながらみんなの様子を見た。出来立てのピザを頬張りながら、楽しく買い物の話しをする。こんな日常を過ごせるのは、なんか懐かしい。アットホームな雰囲気がする。けれどアンバーたちは冒険者だ。戦に巻き込まれ血路を開かなくてはならなかったり、想定外の敵と対峙しなくてはならないときも出てくるだろう。道の途中で死ぬ可能性すら高い。
(……けれど)
顔を上げる。サードニクスが空になった彼女のカップに紅茶を注ぎ、小さく微笑みかける。そばにはパールが猫特有ののんびりした笑みでそばに寄り添っている。
「どうしたの、レナータ。顔が暗いわよ?」
ジャスパーに言われ、なんでもない、と首を横に振る。そして紅茶を口にした。今は、この穏やかさを…どこかアレトゥーザを思わせるこの場所を、静かに味わっていたかった。

(多分、続く)
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今回遊んだシナリオ(敬称略)
伝承の舞(rui)
リューン共同墓地(マルコキエル)
花散里(sue)
碧海の都アレトゥーザ(Mart)

本当は詳しくやりたいアレトゥーザ編。精霊使いの父をもつアンバーとしても『碧海の魔女』は意味深いシナリオですから。しかし、ちょいと事情があるので本当は書きたいのに書けないんですわ(汗)。ただし『私は踊り続ける』と『ナパイアス様とバトった話』はやります。つか、やらないと…アンバーとオニキスの話が…!

若干こじつけ感が否めないのはなぜだ、俺!
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by jin-109-mineyuki | 2008-03-01 20:20 | 冒険者の宿【水繰の剣亭】 | Comments(0)