ある野良魔導士の書斎

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第二夜:白銀の光編


-白銀の

白妙ともいえよう、慈愛の竜の騎士。
その鎧受け継ぎしは、月の血を濃く引きし姫の息子。
祈るその背中に、宿命の光が降り注ぐ。

 風が吹き、木漏れ日が優しく地面にかぶさる。大樹にもたれる青年はその中で穏やかな寝息を立てていた。しかし、周りの喧騒で目覚めたのだろう。瞼が震え、ゆっくりと開かれた。誰かが、自分を呼んでいる。そんな気がする。けれども誰が呼んでいるか解からない。しかし、細胞単位で誰かが自分を呼んでいる気がして、ならなかった。と、その時。何かに気がつき、彼は身を起こす。紅いリボンが近くに落ちており、それが片割れのであると、すぐに解かった。ココからだったらまだそんな遠くには行っていないだろう。彼はくすっ、と笑って拾い上げた。

青年の名はディオ。セレスの村で生まれ育った素朴な青年だ。嘗て傭兵であった村長を父に持ち、双子の姉には、元気一杯なレニがいる。母親は穏やかな女性で、面倒見のいい彼も母親に似た、とよく言われていた。

 ディオは身支度を整え、白銀の宝珠を懐へしまうと急いでベールへと向かった。双子の姉・レニは母親の使いでベールへと向かっている。本来、ディオは争い事を嫌うが身を守る為、レイピアを持っていた。今も腰に下がっている。ふと、赤いリボンを見る。レニは父親から貰ったそれを大切にしていて、本気になるとそれを額に巻く。嘗て傭兵だった父も額に紅いバンダナを巻いていたという。そんな事を考えていると、レニの背中が見えた。
「あ、レニ!リボン、忘れてるよ!!」
レニが振り返り、ぱっ、と目を輝かせて駆け寄る。元気な笑顔が好きだった。愛しい片割れが、ずっと傍で笑っていればそれでいい。だから守り合いたい。
「ありがと、ディオ!何か忘れていると思ったら…」
「全く、おっちょこちょいだなぁ」
鞄から櫛を出し、レニをその場に座らせる。そして、髪を結いなおしてリボンを結ぼうとした時。背筋にぴりっ、と何かが走る。瞬間、頭が痛くなり、思わずレニに捕まってしまった。
「ねぇ、…どうしたの?」
レニは振り返る。と、片割れの瞳が金色に輝いている。何故だろう、戦士としての勘が二人の危機を察知していた。
「ディオ、敵が…モンスターが来る!」
ディオと共に立ち上がったとき、そこに一匹のモンスターが現れた。しかし、何かが違う。巨大なアサシンコックが、二人に向かって襲い掛かってきた。双子は己の得物を抜き、身構える。嫌な予感が、ディオの中で疼く。何故だろう、何かの悪意が、モンスターを巨大化させたように思えたのだ。
「行くよッ!」
レニが、片割れから貰ったリボンを額に巻きながらて叫ぶ。ディオは頷いて共に駆け出した。

 普段ならば梃子摺らない筈の、たやすい敵。けれどそれは巨大化し、二人に襲い掛かった。父親から仕込まれた術をもってしても、二人は追い詰められていく。だいぶ体力は削った、と思う。しかし、それは自分たちもである。次はどうしようか、と考えていると、隙を突かれた。羽で弾き飛ばされ、うわっ、と悲鳴を上げる間もなく転がるディオ。それに気付いたレニが背後を襲い、やっとの思いで切り倒す物の、血の臭いを嗅ぎ付けてもう一羽が既に襲い掛かってきていた。
(もう、駄目なのか?)
そう思ったとき、真紅と白銀の光が瞬いた。そして、みなぎる力と共に不思議な鎧を纏う。その後のことは、あんまり…覚えていない。気がついた時、モンスターは倒れていたのだから。
「レニ…、あの鎧ってなんだったんだろうね」
ディオは気絶したレニに膝を貸しつつ、懐から宝珠を取り出した。あの鎧と同じ白銀の、優しい光を帯びている。一方、レニの宝珠も鎧と同じ紅蓮の、力強い光。
「何故だろうね。私達は、なにやら大きなうねりに飲まれたような気がする…」

 モンスターの体にあった、白い欠片。その正体を知ったとき、ディオは両親の過去と僅かな繋がりを覚えた。しかし、それと同時に…レニと共にドラグーンとしての宿命を歩き出した事も知った。一つの覚悟と共に、ディオはゆっくりと立ち上がる。

―レニを守るのはこの私だ。

(終)

お題:いまだにレジェドラが好きだという、小粋な人へ捧ぐお題
   出題者は三角 勇気さま。HP『碧緑翠』にお題はあります。
著:天空 仁(フーレイ)

 レニに続き第二段で、双子の弟・ディオです。若干シスコンっぽいよーな気もしますが…。これで二人とも竜騎士の道を歩き出したんですよね。あと、彼の得物が弓ではなくレイピアな理由は後ほど紹介しますんで…。

※毎週土曜更新のルールだったんですが(汗)。
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by jin-109-mineyuki | 2006-02-17 22:17 | 閑人閑話図書館 | Trackback
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