ある野良魔導士の書斎

fureinet.exblog.jp
ブログトップ

頑張ってみたが、いかがなものか(フーレイ、攻略本とお友達)

レジェンド・オブ・ドラグーン ショート?ノベル
『引っかかり』(後編)    著:天空 仁(フーレイ)

 食事が済み、それぞれが自由行動出る。と、言っても宿からは出ない。ロゼは僅かなワインを飲みながらあたりに目をやった。ダートとメルはシェーナと何か話している。ハッシェルは他の宿泊客と将棋を打っていた。丁度娯楽施設としてあったらしい。
「…ダートって誰かに似ているのよね」
「どうしました、ロゼ?」
不意に呟いていると、アルバートが声をかけた。彼は一度席を離れた物の、本を持って戻ってきたらしい。なんでもない、とロゼは返したものの、仲間が持っていた本に眼がいった。
「…は、『俳句』?」
「ええ。旅先の古本屋で見つけたので。ココでは嗜まれている風ではありませんが、遠い東の国では季節にあった言葉などを盛り込んで、短い唄を作る風習があるそうなんです。その一種ですね。面白いですよ?」
アルバートがにっこりと言ったが、ロゼは断った。彼女は文学的な事はあまり興味が無い。しかし小さな動物などは好きだった。
(ダートは本当に、誰かに似ているのよ。…それが解かればいいんだけれども)
もう一度考えるが、誰に似ているのか、思い出せない。なんか…それが気持ち悪くてしょうがない。
「そういえば、中々思い出せないことってあるわよね」
「ん?いきなりどうしたんです」
今度は不意にロゼが問う。彼女から平凡な会話が出るのは珍しいので、アルバートは不思議に思う。が、彼女はちょっとね、と言った上で言葉を続けた。
「実は繰り返し考えてしまうことがあって。なんだか気持ち悪いのよね」
「あー、解かります、解かります!思い出したい歌があるけれど、同じフレーズで引っかかるっていうのと!!」
「そうなのよ。それで、誰かに似ている気がして、それが誰なのか思い出せなくて」
相槌を打つアルバートに、ロゼは苦笑して答えた。もう一度ダートを見るが、やっぱり誰なのか解からない。それを見て、彼はなるほど、と頷いた。
「でも、ちょっとした拍子に思い出すかもしれませんよ。そういう事、多いですから」
紅茶を一口のみ、言葉を紡ぐアルバート。宿屋酒場の喧騒が、僅かに引いた気がした。同時にロゼの表情も少し和らいだように思える。ほんのちょっとだけ、胸が軋んだ。が、我に返ってワインを口にする。
―ほろ苦い。
ロゼはそ一口を噛み締めるように飲み込むと、アルバートを見やった。彼は不思議そうに、それでいて心配そうに彼女を見ていた。軋みを振り払うように、不敵な笑みを零し、
「貴方も、友達に似ているわ。知的好奇心が旺盛な所が」
「そ、そうなんですか?」
アルバートがちょっと嬉しそうに笑う。その笑みが、嘗てのあの人に似て。また、軋む。それでも彼女は言霊を紡いだ。
「何と無く、思い出せそうよ。…ありがとう、アルバート」
そういうと彼女は席を立つ。後に残された空のグラスが、ランプに照らされて僅かに光を零す。一人残された若き旅の王は、立ち去った黒髪の女戦士を目で追い、僅かに呟く。
「役に立てたのなら、嬉しいですが」

 ロゼは思い出していた。嘗ての友人…いや、戦友-しかも、当時の碧緑竜の騎士-を。彼もまた、アルバートと同じような所が多々あった。彼には恋愛感情を抱かなかったが、話していて楽しかったことを思い出す。しかし、何故だろう。アルバートの笑顔を見ていて、僅かに思い出した存在がいる。
「なんで、思い出したんだろう」
不思議だった。何故、彼にあの人の面影を覚えたのか。違う、あの人と同じ優しさを宿した笑顔だ。そして、連鎖して思い出す。ダートがあんなふうに、シェーナに微笑んだときの顔を。そして、彼女の中で一つの考察が頭をめぐって行き、鎖を作る。

あるばーとのえがお、おなじような、あのひとのえがお、だーとのえがお、やさしい、あたたかい、あたたかい、やわらかい、やさしい、やさしい、あたたかい、えがお、あのひと、だーと、あるばーと、えがお、やさしい、やさしい、やさしい、あたたかい、あたたかい、いたい、いたい、いたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたい・いたい・いたいいたいいたい
…こいしい、あのひと、あのひと、だーと…

あのひと、と、だーと、は、にている

 それから、幾つかの日が過ぎた。ダートは無事に魔眼を取り戻し、とりあえず事件が解決し、メルが蒼海竜のドラグーンという事が発覚した。しかし、現在。彼女とダートは二人っきりだった。焚き火の炎がはせ、夢から醒めたロゼは溜息をついた。
「そんなはず、ないわよ。何故ジークとダートの影が…」
ロゼは途惑った。嘗て将来を約した存在、ジークがダートとそっくりなのが不思議だった。これは一体、どういう事なんだろう。

それが解かるとき、彼女は深い胸の痛みを覚え…この世界と時空を呪いたくなった。

けれども、もう一つ。
「アルバート、貴方には感謝している。貴方のお陰で、私は…」
ロゼはくすり、と笑う。あの時のように。彼女はほんの少しだけ、彼をかわいいと思った。もしジークに出会っていなければ、この時代に生まれていれば、彼に恋心を少し持ったかもしれない、と思ったのだった。
(終)

あとがき
三角さんへのお礼として書いたSS第二段の後編です。決してロゼアルではないですがロゼ→アルのノリではあります(爆)。ロゼファン、アルバートファンの皆さん大変ごめんなさい。個人的にはひらがなの部分が気に入っています。因みに最後の場面は勿論あの幽霊船後のです。ダートがロゼに膝枕してもらっているあの焚き火のシーンです。僕はまだ其処にいっていないのですが、攻略本で知っています。あれはゲームが出来なかった頃、小説を読む感覚で読んでいたのです。時折色々読んでおります。…アディショナルの研究にも役に立っています。

 アルバートとロゼはお気に入りなので小説にも出してしまいました。が、実は裏ではハッシェルが賭け将棋に勝ってお金をもうけていたり、シェーナとメルの会話にダートが付き合ったりしているんです。想像していただければ、僕は嬉しいですがね。

それでは、今回はこれで。因みに三角さんのみお持ち帰り可です。
どさくさに紛れてですがペリドートさんとハルモニアのイラスト、お持ち帰りしました。現在、デスクトップです。連絡が遅くなってすみません。
[PR]
by jin-109-mineyuki | 2006-02-07 01:05 | 趣味の話 | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://fureinet.exblog.jp/tb/3491311
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。