ある野良魔導士の書斎

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今度はディスク二枚目の初め辺りです(フーレイ、めげずに)


レジェンド・オブ・ドラグーン ショート?ノベル
『引っかかり』(前編)    著:天空 仁(フーレイ)


 ティベロアの王都・フレッツ。黄昏時の小さな宿屋酒場。穏やかな空気と、楽しげな喧騒の中で一人だけ考え込んでいる者がいた。その仲間であろう紅いバンダナの青年が声をかける。が、彼女は首を横に振って答える。最年少であろう踊り子の少女は目の前に座る穏やかな青年が少々困っているのを見て笑いをこらえ、最年長であろう壮年の男性は目の前に座る少女になにやら話しかけていた。この六人は『ドラグーン』一行であり、まとめ役は紅いバンダナが特徴的なダートという若者だ。彼の前に座っているのが黒い目と髪の美女、ロゼ。彼女の隣に座っているのが元気少女、メルでその前に座っているのが緑色のマントを纏っているアルバート。そして彼の隣に居る壮年…実は初老の男性はハッシェル。そして、彼の目前に座っている、手足が細い少女がシェーナだ。彼らは現在、とある銀髪の男性を追っている…のだが、その途中で色々と騒動があり、重力崩壊の谷へと行く事になっていた。そこへ向かうには通行所が必要なのでこのフレッツへ戻ってきたのだが、モンスターと何度も戦闘を繰り返していた為に到着が夕暮れ時となってしまった。その為、今日はこの宿に泊まっている。

「うーん……」
一人考え続けるロゼは先ほどから食が進んでいない。やはり気になるのだろうが、ダートは何も言えずに居る。
「一人で考えたいときもあるって。気にしない、気にしない」
メルがそんな彼に笑いかける。それにシェーナ達も頷いた。
「そう、だな。それじゃあ、食事後は自由行動でいいかな?」
「それでよかろう」
ハッシェルの一言で次の行動が決まり、それぞれ食事を続ける。が、メルはふとアルバートの皿にトマトが残っているのに気がついた。
「あれぇ、王さま。それ食べないの?」
「え、ええ…。少し食欲がないもので」
僅かに苦笑して答えるアルバート。メルはジト目で彼を見やり、それに気付いたのだろう、ロゼは僅かにくすり、と笑った。因みに誰も気付いていない。
「だめだよ、王さま!好き嫌いしてちゃ、大きくなれないんだぞ!」
「め、メルちゃん…アルバートにそれはちょっと…」
シェーナがおもわずつっこむ(アルバートの方が年上である筈だから)。ダートやハッシェル、ロゼも思わず頷きかけた。が、ハッシェルが皿を取り上げた。
「これからも戦いが続くんじゃ。体力の為に出来るだけ食べておいたほうがいい。ま、要らないんじゃったら貰うがの」
そういい、彼はぺろり、と残っていたトマトを食べてしまった。苦笑を浮かべたままのアルバートだったが、内心ではほっとしている。彼はトマトが苦手なのだ。
(アルバートは王として、立派な器をもっているわ。けれど何処か時々ぬけてる所があるのよね。ラヴィッツもそう言う所のフォロー、大変だったでしょうね)
ロゼは食事を再開しつつ、横目でアルバートを見た。彼はバージル公国の若き王ではあるが今は身分を捨てて旅に出ている。聡明な部分とおちゃめ(で夢見がち)な部分を持ち合わせる青年だ。エミル姫の荒々しさに眩暈を覚えた事もあるが、普段はパーティのブレーンとなっている。そんな彼にこんな弱点があったとは。彼女は内心でまたくすっ、と笑った。

(後編に続く)
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 三角さんへのお礼SS第二段です。本当は中島 敦さんが書いた『悟浄歎異』(ごじょうたんい)というストーリーをベースにロゼがパーティの面々をどう考えているか、というストーリーに使用かと思っていたんですが、纏まらず、こんな風になりました。後編もお楽しみに。

※三角さん、もしよければお持ち帰りください(ifノベル含め)。
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by jin-109-mineyuki | 2006-02-06 14:45 | 趣味の話 | Trackback | Comments(0)
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