ある野良魔導士の書斎

fureinet.exblog.jp
ブログトップ

アンオフィじゃない事を祈る(汗:弦、遠い記憶)

―神酒の海 Mare Nectaris

そこに人知れず栄える小さな国が、嘗てあった。
それはどこか古めかしさと懐かしさの混ざり合った中世日本を思わせた。

宮の庭先に、趣の有る梅が一本植えられていた。
その花を見つめ、1人の少年が溜め息を付く。
「漸く、かいな……」
彼がほっ、とした様子で目を細めていると、後ろから1人の老女がやってきた。
白髪を丁寧に梳き、髷を結っており、背筋が伸びてとても利発そうだった。
「陛下、お体に毒ですよ。
 そろそろ宮中へお戻りください」
「おおきに、安須乃(あずの)。けどな、もう少しだけ……ええかな?」
そう言いながら、陛下と呼ばれた少年は小さく微笑んだ。

『幼き手に握るは』 (著:フーレイ)

梅の香りが仄かに漂う宮中を、帝が歩いていく。
傍らには彼の右腕である老女が付き添う。

帝の名は、弦。
この柚子乃国の幼き帝であった。

「親父が財産を使い込んだお陰で、苦労続きやったな」
そういいながら、弦はあたりを見渡す。女官たちも、兵士たちもきちんと働いて
いる。しかし、彼の父親の代では娯楽に重点を置きすぎた為か、さぼる者も数
多く居た。弦の父親は地球への侵攻をさせないように、と財を使って民に贅沢と
娯楽を与えていたが、その為に色々と問題も起っていた。

国民へも負担がかかるようになる。
その事を見越し、弦の兄は父親を帝の座から降りるよう説得し、状況に青ざめた
父親は帝の地位を退いた。本来ならば兄が帝になるはずであったが、元来心臓
が悪かったが故、自ら弟である弦を帝においた。

その兄も、昨年流行り病で世を去った。
人間とはあっけないもので、父親もまた同じ病で亡くなっている。

「陛下が頑張られたお陰で、人々も活気とやる気を取り戻したのです。
 自信を持ってください」
安須乃に言われ、弦は小さく頷く。そして、顔を上げると窓から見えるものがあった。

青々と輝く、1つの惑星。
人々はそれを地球と呼ぶ。
そして、多くの月帝姫たちが進軍している場所。

弦も1度だけ、友軍の後方支援をするために降りた事がある。
その時に見た青い空と、青い海に酷く心惹かれている。
そして、触れ合った地球の人々の優しさにも……。
それ以来、進軍はしていない。

「……いつか」
「?」
「いつか、地球に……和平を求めに行きたいわ。
 あの場をわいのモノにするんやのうて、地球の人々と仲良くしたい」
そういいながら、ずっと地球を見つめている。
父が、兄が、母が……。
家族が皆焦がれた惑星。
そこへいつか、和平のために行けることを信じ、弦は瞳を細めた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

あの日からどれだけ経過しただろうか?

その数日後、地球は大規模な〈世界結界〉を張る。
そして、弦は眠りに付いた。
力を暴走させないための、静かな眠りに。生きるために。

それから目覚めた時、彼の青い瞳に映ったのは1人の女性だった。
柔らかな気をまとう、優しい女性だった。
彼女は地球からやってきた、という。

先に目覚めていた同胞と彼女から話を聞き、弦は多いに驚いた。
なんと、地球からの使者は『銀誓館学園』という所の『理事長』という、
とても重要な存在らしい。そんな人間が、命がけで月までやってきたのだ。

(時代は、変わったんやなぁ)
説明を聞いていくうち、弦の胸の中には希望が溢れていた。
彼女は月で眠り続けている数多の月帝姫たちを迎えに来てくれた。
その真実だけで、弦は幸せになり、眠り続けていた身体が解れていった。

「よぉし、わいもひと働きするでっ!
 なぁ、安須乃!わいの狩衣を………」
そこまでいい、弦はふりかえろうとするのをやめた。
彼を支えた安須乃は、もう、いないのだ。
(そうやったな。わいが眠る前日に……)
首を振ると、弦は気を取り直して腕をまくり、地球へ向う準備に取り掛かった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

そして、今。
地球へ向おうとした月帝姫たちを殺そうと妖狐の少年、巨門がロケットに飛びついて
いる。弦は小さく笑って手にした武器を握り締めた。
「はんっ。
 わいらの邪魔する気ぃやな、あの餓鬼狐は」
そういうお前も餓鬼じゃないか、と誰かが言ったが、弦は言葉を続ける。
「あの狐以外にも仰山邪魔者がおりますな。
 ……しゃーない、わいも覚悟きめまひょか?」
と、不敵な笑みを浮かべる。振り返ると多くの仲間たちが戦う意志を見せていた。
「そいじゃま、やりましょか。
 わいら月帝姫の力……おもいしらせてやるでっ!」

( 終 )


。。。。。。。。。。。。。。。。。。
はい、どーも。
設定がメチャクチャですみません、フーレイです。

頭にあった事をかいてみました。
ぐだぐだですが、まぁ、こんなかんじです。
[PR]
by jin-109-mineyuki | 2011-09-22 12:00 | 無限銀雨図書館 | Comments(0)