ある野良魔導士の書斎

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先週は忘れていたよ!? (カシアス、とりあえず…?)


「っしゃ、行くぞ。どんな敵でも押し通すだけだぜ」
そう言い、一行は洞窟の外に出た……は、いいが全員思わず身を縮めて叫んだ。

「「寒っ!!?」」

「な、なんなんだこの冷気は?! なんか、かつてないくらい嫌な予感がするぞ!」
バムの言葉にベイジルは冷静な目で向かってくるものを見つめる。
「私はそれほどではないけれど。…ふふっ、またずいぶんと醜いのがきましたわね」
「あれはまさか…」
プネウマもまた三角帽子のつばをあげつつ、向かってくるものを見る。青っぽい肌になんか機械
っぽいものをつけた、でかい生物だ。

カードワースシナリオ『眠れる狂気』(作:a-system)より
『俺らと奴と狂気の使者』:9(著:天空 仁)

「な、なんすか、あれ……」
ジンジャーの言葉に、プネウマは息を呑んだ。紫色の瞳が、猛禽類のそれとなる。
「セリオンよ……。気をつけて。奴らの邪悪な気には武器が一切きかないわ」
「……どないせーと」
思わずぐちるハッカ。心なしかやってきたリスが怯えている。
「抑える方法はあるはずよ」
プネウマはそういい、一同に開戦の合図を送る。と、ミントはぎゅっ、と首から提げたメダイを握り締めた。
「これだったら、きっと…っ!」
「くっ、こんな輩に負けてたまりますか!」
マルパッチョも気合十分に身構え、セリオンと呼ばれたでかいものは、こう、言った。

-ミナゴロシニ、シテヤル

瞬間。
『いやーですのーっ!!』
その声を残し、メルーナーが消されてしまう。
「め、メルーナー!?」
「くそ、リスたちも逃げちまった!……当たり前か」
ハッカが呼び出していたリスも逃げ、あらかじめかけていた魔法も解けてしまう。
「させるわけにはいかないの!!」
ミントがそういい、メダイを掲げる。……と、一瞬、時が止まった…かと思えた。目の前のセリオンが、動きを止めたのだ。
「?! おい……やっぱ効いてるぞ」
バムが指を鳴らし、一同の顔にも笑みがこぼれる。セリオンはぐががががが、と苦しそうに声を上げ、喉をかきむしりながら消える。
「やっぱり、効果があったわっ!」
ミントが声をあげ、仲間たちも抱き合って喜ぶ。が、プネウマはきっ、とそこをにらみつける。
「まだよ!……何かがおかしい」
「簡単には終わらせてくれないか」
カモミールが妖刀を手に身構えなおし、一行も構えなおす。が、ベイジルが胸を押さえた。
「なんか……体が重い……」
「ベイジル?!」
カモミールに抱きかかえられ、ベイジルが顔をしかめる。プネウマは唇をかんだ。
「くっ、化け物が魔力を吸い始めている!?……まずい、このままだと…」
「巻き添えを食らいますね」
喘ぎながらもベイジルが呟き、ゆっくりたちあがる。
「大丈夫か?」
カモミールの言葉に、彼女は苦笑する。
「勿論よ。ただ……魔族である私にとってはちょっと力をとられただけ……」
「でも……」
マルパッチョが駆け寄るも、空気が一気に固まる!

-オマエラモ、ミチヅレニシテ……

その時だった。一同に強烈な眠気が訪れる。が、ベイジルだけはその人物をはっきりと見ていた。
「来ていたのね…貴方」
ぼんやりと毀れた言葉に、その人は小さく微笑む。そして、ゆっくりと呼吸をし、化け物に囁いた。
「フィータス!! もう理性も残されてないとは……哀れな」
(カシアス…?! やっぱり、この力はカシアスだったんだ)
マルパッチョが思うそばで、スリーピングマッドネスの効果は踊り続ける。カシアスのパートナーともいえる機械人形が、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「カクニン。戦闘数値62パーセント以下ノ霊的生命タイヲホソク。コノ霊的生命ヲ「いれいず」ジッコウシマス」
瞬間、光が全てを覆った。……僅かな静寂のあと、すっ、とカモミールたちは眠りから覚める。そして、夕暮れよりも赤い髪の青年、カシアスがそこにいた。
「…カシアス! カシアス=ベイス!!」
プネウマが叫び、青年をにらみつける。バムもまた目を見開いていた。
「こ、こいつがGFの暗殺者……」
「何故、俺たちを助けた」
カモミールが不思議そうに問いかける。カシアスは何も言わず、ただカモミールを見つめる。
「……お前も、あいつらの仲間じゃないのか?それとも、失敗作の始末をしに着たのか?」
「そのとおりです。別にあなた方を助けたわけではない、ということですよ。自分の力に溺れ、見境なく他者を排除するのは美学に反します」
一つ、ゆっくりと伏目がちに頷くカシアスはそうおもいませんか、と問いかける。が、一同は何も答えない。ただ1人同感なのかベイジルが頷いている。傍らではプネウマが肩をすくめていた。
「へぇ、腕だけじゃなく言うことも立派になったわね。でも……」
そこで言葉を止め、彼女は三角帽子を整えつつ冷静にカシアスと瞳を合わせる。
「やっていることはたいして変わりない」
それに、カシアスは僅かに微笑む。
「そうかもしれませんね。現に私は今迷っていますから。貴方の連れを生かして帰すか否かを……」
そういい、彼は指を鳴らそうとした。が、それよりも早くジンジャーが口を開いた。
「変わり者だな、あんた。暗殺者は迷ったりしないんだぜ?」
「ふふ、変わり者ですか。褒め言葉として受け取っておきましょう」
カシアスはそういうと静かに一礼し、一同から一歩身を引いた。
「皆さん、ごきげんよう。置き土産に、一つ悪い知らせを伝えておきます」
彼はそういい、一呼吸おいて、こう、言った。

-フィータスを殺した貴方たちを、恐らくプリンスは許さないでしょう。
 次は第二実行委員長である彼がくると思います。


プネウマはその言葉に、小さく微笑んだ。
「最後まで、生き残るわ。負ける気はないわ。首の根を洗って待っているようにプリンスに伝えておいて頂戴」
それに、カシアスは小さく頷いて姿を消した。

(続く)
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いよいよ次で最後ですっ!
さぁ、どんな風になるかおたのしみにーっ!!

えーっと、念のために。これは『六珠』が活動を始めるちょっと前頃だと今さらながら推定。
『怪刀を帯びし者』カモミールをリーダーとする『カモミール小隊』は今日も元気にリューン侵略を目論みつつも(ぇ)、冒険者家業に精を出しております。
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by jin-109-mineyuki | 2009-08-19 16:54 | 札世界図書館 | Comments(0)