ある野良魔導士の書斎

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実を言うと、カモミールたちはシオンたちの1年ほど先輩 (ジンジャー、実は盗賊兼舞踏家)


「だーっ!! ベイジル!!茶をくれーっ!!」
「この間パプリカに色目をつかった罰ですわ」
「違う!誤解だ!!だから極北茶じゃなくて普通のお茶をくれーっ!!」
カモミールとベイジルが小声で言い合いながらも、一行はルーラルに到着した。最初に異変を感じ取ったのはマルパッチョである。
「あれ? なんかおかしいよ……」
「たしか、ルーラル祭が行われている筈だ。その割には静かだよな」
ハッカもまた、辺りの静けさに怪訝な顔つきになる。バムもまた、表情を曇らせた。
「ぬぅ……なにか物凄くいやな予感がするぞ。 何か、あったな」
そうこうしているうちに、1人の男が近寄ってきた。白銀の鎧に、十字を光らせた盾……どうやら聖騎士らしくみえるが。

カードワースシナリオ『眠れる狂気』(作:a-system)より
『俺らと奴と狂気の使者』:5(著:天空 仁)

「お前ら、見かけない顔だな。ルーラルの街に何のようだ?」
「お前は一体どこの兵士だ?ルーラルの自警団か?」
バムが問うが、ジンジャーが引き止める。
「バムさん、よく見るんだ! 彼は北方十字軍騎士団の騎士だっ」
「そのとおりだ。自警団ごときと一緒にするな」
ジンジャーの言葉に、その騎士は一つ偉そうに頷いてみせる。その仕草に全員がむっ、となった。が、とりあえず平静を保つ。
「そうか。それでその騎士様が何故このような田舎町にいらっしゃるので?」
「答える必要はない。お前らこそ、何故この町に来たのだ」
バムの問いに答えず、騎士が問いかける。それにさらにむっ、としつつもカモミールは顔をあげ
「ちょっと人を探しに着たんです。申し訳ありませんが、急いでいるので通させていただけませんか?」
と、丁寧にいった。……が。
「貴様ら、町長殺しの犯人だな!」
「はっ?!」
いきなりの言葉に、口があんぐりと開いてしまう。
「ひっ捕らえろ!町長殺しの下手人だーっ!」
「ちょいまて!!何かの誤解だ!!」
「てか、言い方が時代劇!!」
ハッカが叫び、ジンジャーが突っ込み、その間にも笛が吹き鳴らされてわらわらと騎士たちが集まってくる!
「ちっ、騎士相手じゃたちが悪い…」
バムが小さく舌打ちし、カモミールもため息をつく。
「…ここは、大人しくしておいたほうが賢明かな?」
「つべこべ言わず、縛につけ!!」
騎士がそういい、手早く縄をかける。結局7人はなすすべもなく捕まり、監獄へと入れられてしまったのだった。

「で。騎士曰く処分は明日発表とのこと。十中八九濡れ衣で斬首か?そう思うと、なーんか腹立たしいな……」
監獄の中で、ジンジャーが呟いた。
「くっそー!何もしてないのに何でこんなとこに閉じ込められてんだ?」
カモミールが苛々と呟き、バムもまいったな、と肩をすくめる。当然監獄の扉には鍵がかかっており、このまま手を拱いていると暗殺者が来る。
(なんとか開錠できないかな……)
カモミールはちらっ、とジンジャーを見、彼もまた頷いた。
「とりあえず……って痛っ…」
「魔法による防御か。…賢者の目ぐらい大目にみろってんだ…」
カモミールが手早く癒身の法を使い、傷を癒す。それに礼を述べるとジンジャーは早速愛用の針金で鍵をいじり始めた。普段ならばあっという間に開けてしまうのだが、今回はそうもいかなかったらしい。小さくため息をつき、針金を引き抜くと小さく舌打ちした。
「…何十にもロックされてる。こじ開けている間に見張りが来るな、これは」
「見た感じからそうだな。俺でも開けるのには苦労しそうだ」
バムもまた小さくため息をつく。が、彼はおもむろに扉へと歩み寄った。そしてジンジャー
へかわるように言う。
「えっ?」
「お前らじゃ、荷が重そうだから、俺が開けるとするか。ただし、騎士団から追われる羽目になるが……それでもいいか?」
「バムさん、これ……あけられるの?」
メダイを握り締めていたミントが問いかける。彼は小さく微笑んで見せた。
「まぁやってみないとわからないが。…あけちゃっていいか?」
「うん。あけてもらえるとたすかるわ」
彼の問いにミントが丁寧に答え……それに全員が頷いていた。バムはにっ、と笑う。そして開けるぞ、と言ったとたん右手の指が飛んだ。おもわず口を開くハッカ。
「その義手、まさかと思うがいろんな機能が満載……てか?」
「そのとおりよ。昔いろいろあって失った際に仕込んでもらったのさ。じゃ、はじめるぞ!」
バムはその右手を使い、素早く鍵を開ける。後にジンジャーは語るが、自分がやるより数倍も早いらしい。
「うわぁ、バムさんすごーいっ!!開いたよっ!」
「早くしないと奴らが来るぞ、マルパッチョ」
思わず抱きつくマルパッチョの頭をなで、バムは苦笑する。そして一行にそっと囁く。
「それじゃあ、なるべくばれないように静かにいくぞ」
「おお」
全員頷き、7人はそろーりと静かに牢獄を抜け出した。こういうことには実を言うとオーベルトゥーレからきた侵略者たちにとって朝飯前であった。彼らは母国では有能な軍人として一応名をはせているのである。階段の付近まで彼らは悟られずに行動できた。
「…一応言っておく。奴らは腐っても権力だ。手を出した時点で死刑が確定すると思え」
バムの言葉に、全員頷く。一応、知識としては知っていることだ。
「手を出すな。時間稼ぎさえすればいい」
「せっかく『裏紫苑』で欲望でもさらさせようと思ったのに」
「それが出来たらまだ楽だよな」
カモミールとハッカは顔を見合わせて苦笑する。そして、彼らはとりあえず階段を上り、静かに廊下を突き進む。すると見張りたちも気がついたようだ。
「だ、脱獄だっ!逃がすな!!」
「意地でも……逃げてやるぜ!」
カモミールはにやりと笑い、その場へと踏み出す。一行もまた襲い掛かる騎士たちの攻撃をただひたすら避けたり、見切ったりする。
「……やはり死刑が怖いか」
「まーな。こっちも色々あるんでねっ」
騎士の一撃をどうにかさけつつ、ハッカが笑う。本当はその顔面に拳を叩き付けたいが、我慢しなくてはならない。
「バム、まだなのか!」
「もう少しだ。もう少しでセッティングが完了する!」
ハッカの問いにバムが答える。それが、一行の内心も明るくする。あと少し気を引けば……。全員がそう思った時、バンッ、と何かが爆発した。飛び散る光に、騎士たちが慌てふためく!
「ぬおっ?! なんだ、こりゃあっ!!」
「今のうちだ、逃げるぞ!!」
バムが先導し、カモミールたちは必死に走った。走って走って、どうにか森の中へと入りこむ。どうにか追手はないようだが、それでも7人は走り続けた。

(続く)
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このリプレイ(もどき)はカードワースシナリオ『眠れる狂気』(作:a-system)をプレイした感想なども混ぜて書いております。

……くあぁ、『蛇の王』…プレイが最初からだわぁ(吐血)。

『ヘイトマシーン』→『眠れる狂気』→『蛇の王』→『水晶の姫』(上・中・下)→『ブルーラインズ』→(秘密)→オリジナルSSという風にする所存ではありますが回想という形でも伊達さんの『異形の心』もやりたいと思っています。いやぁ、ちょっと改編する予定ではありますが……。

因みにオリジナルSSは若干カードワースの世界とは違う雰囲気です。
いや、『ケロロ』がモデルにしている割にラボとかメカとかでないカードワースクオリティなんで、そこはまぁ、カオス風味で楽しんでいただこうと計画中。

おまけ
Y2つさん所ではカードワース世界で『聖暦』を使用しています。
ので、僕もそれを適応させていただいております。カモミールたちの設定は「聖暦1372年 7月半ば頃結成」という風になっています。つまりは…スズキ組やドルチェーズ、六珠よりか先輩なのです。
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by jin-109-mineyuki | 2009-07-08 23:06 | 札世界図書館 | Comments(0)