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ある野良魔導士の書斎

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よく考えたら何か月ぶり? (シオン、拳が唸る)

四周年目突入お遊び企画:ザ・もしも!
『ルイズさんがフーレイのPBM等のPCを呼び出した模様です』

注意
フーレイは『ゼロの使い魔』の本編を触り程度にしか読んでおりません。
つか、あるサイトでの二次作品が主で知識を変な偏りでつけています。
違うところはありますがとりあえずそこは無視の方向で海の如く広い心で
ごらんくだざい。

楽しんで書きますので、がんばって読んでください。
以上。

テイク2:シオンの場合 その3
※:脱走直後をチョイス。

「諸君!決闘だ!!」
そんな声が、広場に響く。金髪の少年は薔薇の造花を手に、シオンに笑いかけた。シオンははじめきょとん、とした顔で彼を見ていたが……次の瞬間、その瞳を研ぎ澄ました。
「……戦い…を、…知ら……ない、子供、が……な、に…を、言う…」
そのどこか鋭い眼光を見た生徒たち(少年含む)はとんでもない存在を敵に回した、とこの時瞬時に悟っていた。
―ただ一人、遅れてきたちょっとぽっちゃりした少年を除いて。

ちょっと前にさかのぼる
 シオンは使用人さんたちとご飯を食べることにした。はじめ、ルイズと一緒にご飯を食べていたものの(もちろんスープとパンだけという質素すぎるものだが)、妙に居心地が悪いのだ。
「……ルイズ様、俺、は…使用人、さん、たちと、食べる…」
「ど、どうして?」
ルイズが不思議そうに問うとシオンはあたりを指した。
「俺、は…君、と…違…う。俺、は…見た目、貴族、じゃ、ない…だろう?」
まぁ、マルコルヌのように彼を「使い魔の代わりに連れてきた平民」と思う生徒も多い。その為だろうか。何か言いたそうなルイズに、シオンは一つだけ礼をし、空になった皿をもって消えていった。

 シオンが食堂を出ると、偶然にもシエスタに出会った。そして、使用人たちがいる場所へと案内された。料理長マルトーをはじめとする彼らはシオンを歓迎してくれた。
「さぁさ、シオンさん!スープとパンだけでは足りないでしょう?」
「ありがとう」
シオンは一礼し、シチューを食べ始めた。施設では特に味のしない栄養剤を飲まされ、あまりおいしくもない栄養ブロック(カロ○ーメイトににている)を食べさせられてきたシオンにとって、ルイズから与えられたスープとパンだけでも「まとも」なご飯であり、感謝して食べていたのだが、それよりもこのシチューはおいしかった。一口食べただけで、なんか電撃が体中に走ったような感覚がした。その様子に、シエスタが心配する。
「ど、どうしたんですか??」
「こ、故郷…で、は…こ、んな…ものはとって、いなかった。
 これ…が、味…?これ…が、食……事?……おいしい、とは、このこと??」
小さな声でなにか呟くシオン。だが、マルトー達に聞こえたのは、「おいしい」というところだけだったようだ。
「そうか、よかった!まだあるぞ」
「よかったらこっちのムニエルも…」
と、まぁ、賑やかな食事となった。

「誰かに助けてもらったら、お礼を言う事よ!」
ルイズはシオンにそう教えた。シオンはこういうときに、だな、と思いシエスタたちに心から感謝し、礼を述べた。そして、そのままケーキを配るお手伝いをすることにした。
「なかなか似合うじゃない」
「……そう、か?」
ルイズに言われ、シオンはどことなく嬉しそうな顔をする。短期間ではあるが、ここでの経験がシオンの乏しかった表情を増やしていく。それが、ルイズには嬉しかった。影ながら見守っているコルベールも喜んでいるのは知らないが。そんなときである。シオンが香水の瓶を拾い、ギーシュ・ド・グラモンと対決する羽目になったのは。

「二股、いくない」
その一言が爆弾となったのはここだけの話。

で、時を戻す。
「……ぼ、僕はメイジだから、魔法を使う。いいね?」
「ああ。……俺、は、魔法、はできん。……この身が、武器、だ」
ギーシュはがたがた震えていた。目の前にはどう考えても勝てない敵がいる。あの目だけで彼は悟っていた。
―この男は、ただの平民ではない!
空気は凍りついていた。が、ギーシュのプライドがようやく薔薇の造花を動かし、3、4体のワルキューレを生みだす。
「い、行け!!」
彼の号令に、シオンも反応する。そして、それは風のように巻き起こる。誰もが…ルイズやシエスタでさえ魅入られた。
「見え、る」
シオンは無造作にワルキューレから剣を奪う。と、バランスを崩したそれを払いのけ、横から来たワルキューレにぶつける。手に握った剣を振るえば、的確に人間の急所を切りつける。泣き別れになったワルキューレと、ほんのりと輝くシオンのルーン。そして……それ以上に光る紫の瞳。
「ルイズ様…が、…言って、いた。二股、は、礼儀知らず…だ、と」
(そ、そんなこと教えてないわよ!!)
ルイズは顔を赤くして叫びたいのをぐっとこらえた。本当はマルトーだったりするんだがそれは彼から内緒にするように言われたのでこうなった、のである。
「詫び、ろ。…2人の、少女、に……。そうす……れば、ルイズ様、もおゆる、し、に、なる、だろう」
その淡々と告げられた言葉に、ギーシュはただただ頷き、土下座するしかなかった。

……が。

「ギーシュ、情けないな!こんな平民にやられるなんて!!」
空気を読んでいないマルコルヌが、声を張り上げる。見ていたものは皆、顔を青ざめさせた。彼はシオンの威圧的な何かに気づいていないのか?!
「よぉし、その根性…僕がただしてあげようじゃないか『ゼロ』のルイズ!」
ざわっ!!!
マルコルヌの言葉に、さらに周りがざわめいた。シオンの表情が、一気に険しくなったからだ。そして、起こるべくして……その鈍い打撃音は、おこった。

「見事に、歯が折れているわ……」
「…シオン、やりすぎよ!」
モンモランシーが倒れたマルコルヌの治療をする。『ゼロ』とマルコルヌがルイズを罵倒した。その瞬間、シオンが彼の顔面に透き通るような白い拳を叩きこんだのである。ルイズに叱られ、シオンはうなだれたまま正座していた。
「だが、ルイズ様。奴は…ルイズ様、を…罵っ…た。震え…ながら、戦っ、た、ギーシュ、ですら、貴方、を…『ゼロ』と言わなかった…のに。奴は、ギーシュ、も、嘲笑っ…た」
「だからって……」
モンモランシーが僅かに身を震わせる。マルコルヌを殴った時のシオンを思い出すと、鳥肌がたった。凍りついた紫の瞳に、『嫌悪』に彩られた白い美貌。その気になれば全てを『殺戮』しつくせるような存在が……。

(続く)

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すまん、マルコルヌ。君には痛い目を見てもらった。 ごめん。
ファンのみなさん、すみません。
ギーシュはまだ軍人の家の子なので殺気とかには反応しやすい、とさせたかったんです。

次はシオンの成長日記風味(?)。
by jin-109-mineyuki | 2009-07-05 13:50 | 詩/俳句