ある野良魔導士の書斎

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マイスター・ブレッセンは渋くて好きです (パール、オニキスが『マイスター』と呼ぶ理由を実感)


冒険者の宿【水繰の剣亭】:56
招かざる客と打ちなおされた槍

「なかなか腕が立つじゃないか」
そういいながら匠はほっほ、と笑った。ここは魔剣工房。そしてその主ブレッセンは六珠のメンバーとともにサンディの手料理を頬張っていた。
「まぁ、向こうもドジだったかんな」
苦笑しながらアンバーが魚のムニエルを口にし、隣ではオニキスがサンディからオムレツのお代わりをもらっている。
「本当にありがとう。助かったわ」
「いえ、それだけ盗賊たちにも垂涎ものなのでしょう」
くすくす笑い合い、ブレッセンもまんざらではないという顔でその話を聞いていた。が、傍らのサードニクスが口の周りにいっぱいミートソースをつけている姿を見ていると小さく苦笑する。
「ほれ」
「あ、ありがとう」
手渡されたナプキンに小柄な盗賊は恥ずかしそうにして口元を拭く。こうして食事をしている姿は外見の年齢よりやや幼く見える。が、ブレッセンはこの少年が有能な盗賊である事を知っている。傍らで葡萄酒に口を付けていたパールの口元も緩んでいる。
「こうしてみるとごく普通の男の子なんだけどな。普段はそんなそぶりを全く見せないし」
「それって敵を油断させるのにはちょうどいいと思うわよ?」
ジャスパーが相槌をうちつつラザニアを口にする。サンディさんお手製のそれはチーズがとろとろで実においしかった。
「そういえば、パールの槍が出来たと聞いたので今回は来たのですが……」
クンベリルの言葉に、ブレッセンはそうだった、と手をぽん、と打つ。まぁ、盗賊の登場もあってそれどころではなかった、のかもしれない。ブレッセンはふむ、と言うと手元のナプキンで口を拭い、パールを見た。
「食事の後、出来上がった槍を渡す。その感触を確かめてみろ」
「は、はいっ!!」
パールはものすごくうれしそうな顔で頷いた。

 一方その頃。アンバーたち『六珠』にのされたハリーたち盗賊達は傷だらけの体を引きずって撤退していた。
「…最近ちょっと噂を耳にする『六珠』っていう連中でしたね」
「うむ。あのベールをかぶった男女?女男?んー、どっちでもいい!あいつがリーダーのアンバーだったか?」
手下の呟きに、ハリーが記憶をたどる。手下たちをほぼ槍1本で往なしたのは白い髪の猫耳青年。そして、リーダーの青年が連れていたのは……風の精霊でゼファーだった。その疾風で自分を除くすべての者が膝をついたのを覚えており、自身は彼の一撃に……。
「それにしても聖北の神官っぽいような踊り子のような姉ちゃんは色っぽかったっすね。あの吟遊詩人のおちびちゃんも将来有望っす!」
「てか……あの盗賊のガキは見た目によらず強いというかなんというか。天使族の兄さんは下手に怒らせない方がいいな。特に水辺で…(精霊使い的な意味で)」
部下たちの言葉を聞き、ハリーは小さく鼻を鳴らす。面白くなってきた。噂どおりの連中は、やっぱり面白みがある。
「『黄昏の踊影(たそがれのようえい)』アンバー率いる『六珠』…この噂は結構売れるかもしれん」

 工房の前で待機しておくように言われた一行は、ブレッセンが出てくるのを待った。しばらくして、匠は一本の槍をもって工房から姿を現した。今まで見慣れていた槍とは違う、どこか強い意志を覚え……パールは脊椎あたりがぴりぴりとして思わず姿勢をただした。
「ほれ、完成品じゃ。ここまでよく使いこんでくれたな、パール」
「あ、ありがとうございます!」
早速受け取り、パールは軽く奮ってみる。と、どことなく力がみなぎるような感じがした。手にすんなりなじみ、体と1つになったような感じがした。
「ん。いい感じじゃん!!
 あー、でも驕らないようにしねぇとなぁ。こいつをちゃんと使いこなしてみせる!!」
そう意気込むパールにブレッセンが何処となく楽しげな笑みを浮かべる。そしてばんっ、と背中を思いっきり叩くのだった。その様子を見ながら、アンバーたちも笑いを堪え切れず、笑ってしまう。
「本当に仲がいいのね、うふふ♪」
サンディはそんな様子に笑みを浮かべ、眩しげに一行とブレッセンを見つめる。いつになく夫が上機嫌なのは酒だけではない。
(これからも、よろしくね……みなさん)

(続く)

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今回遊んだシナリオ(敬称略)
魔剣工房(Djinn)

このリプレイ(もどき)は、上記のカードワースシナリオをプレイし、その結果と感想を元に書き上げております。シナリオ本来の著作権は各シナリオ作者さんのものです。また、リプレイに登場したスキルの著作権は、各シナリオの作者さんに既存します。

後書き
ついにゲイボルグへと進化っつーか成長したパールの槍。これを手にますます大暴れです。あと、何気にアンバーの二つ名が。前に出したのとは違いますが、ちゃんとしたアンバーの二つ名です。まぁ、勢いで完成しました。あ、ダンスの仕込むの忘れていた(汗)。

 この調子でマイペースに今後もやっていきます。そして、この後ですが……ちょいとの間【六珠】と【珠華】をシャッフルしてみようかと思っています。どんな話かは……まぁ、お楽しみに!
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by jin-109-mineyuki | 2009-07-04 20:23 | 冒険者の宿【水繰の剣亭】 | Comments(0)