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ある野良魔導士の書斎

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即興! でも、ネタはあったのさ… (アメジスト、ハッスる!?)


 薄らと夜が明けていくそんな中、1人目覚める者がいた。彼は寝ぐせだらけとなった黒髪を撫でつつも、腕に抱いた女の子を愛しげに見つめていた。僅かにあどけなさの残るその顔は、どこか嬉しそうな、恥ずかしそうな寝顔を見せている。
(もう、自分の気持ちを疑わないよ。素直に思いを出していこう。……俺の大切な人だから)
自分より背が高く、ちょっとしっかりした体。今はそれがちょっとだけ儚く思う。確かに腕っ節では負けてしまうかもしれないが、背中は守りたかった。
(ネフィ……)
ぎゅっ、と軽く抱きしめる。体温と心音が重なり、それだけでちょっと心が落ち着いていく。思わず顔がほ込んで、幸せな気分に浸っていると……むき出しの胸板に、僅かな吐息が触れた。
(目が覚めたかな?)
ぱちり、と開いた双眸二組が、重なり合う。と、同時になんだか恥ずかしくなり、二人ともそっぽを向いた。
「だ、大丈夫か?」
青年の問いに

「もう一回は無理ですぅ……」

………。
青年-アンバー・ティアーズ-は、一気に紅潮した。

カードワース シナリオ後日談
『甘い夢から目覚めた後に』(著:天空 仁)

事の発端。
1:アンバーは許嫁のネフライトと一緒にリューンの森へ依頼で出かけた。
  近郊でゴブリンを見かけたらしい。
2:仕事内容は「目撃証言の確認」
  自警団は大雨の後始末で手一杯だった。
3:予想に反しての長雨で調査が難航。あと、めっちゃ寒い。
  1日目は徒労に終わる。
4:2日目にゴブリンの巣穴を発見。行動を考えていた最中にネフライトが倒れる。
  原因は大雨。ちなみにゴブリンにも見つかった。
5:ネフライトをかばい、必死の逃走劇。→宿前で発見される。
6:2日後、口喧嘩→なぜか勢いで告白
7:推して知るべし×3
8:現在に至る。

振り返るとそうとうこっぱずかしいもので、おもわず頭を抱えるアンバー。一方の許嫁、ネフライトは頬を赤く染めたまままた眠りの世界へとはいって行った。

※ちなみに二人とも何も纏っていません。

 ここは冒険者の宿『水繰の剣亭』。普段ならばもっと多くの冒険者が寝泊まりしているのだが、今朝は違った。いや、そう仕組まれた……と言った方が正しい。
「まー、これであの奥手許嫁コンビも晴れて素直になれたってことで、いいじゃねぇか」
そう言っているのは白い猫耳としっぽを生やした頑健そうな青年。因みにどこか浮かれているのは口にしているアーシウムの白の所為だけではない。パールはどこか満足げにグラスを傾ける。
「ふふ、若いっていいわよねぇ」
と、いうのはピンクの髪をミディアムボブにした貴婦人。トルマリンもまた上機嫌でアーシウムの白を口にする。ほろ酔いなのはパール同様だ。
「てか、アンバー……予想に反して3回初っぱらからは……やるな」
なんてほざいているのは翡翠色の髪と瞳の青年。別の宿に所属する冒険者、ソウキュウはどこか真剣な顔で天井を見つめた。
「いや、そこは突っ込みいれとこうよ」
そう言っているのは彼の肩に止まっている一羽の猛禽類。別の宿に所属する冒険鳥、スズキは毛づくろいしつつもソウキュウの頬もつつく。
「ジャスパーに頼んでお子様たちを教会に行かせておいて正解って奴だね」
と、黒い瞳をこすりつつ言うのは堕天使の女の子。コーラルは紅茶を入れ、それにブランデーを垂らしながらため息をついた。
「オニキスとヒスイはアンバーたちの依頼のフォローでいない。娘さんは気を利かせてか旅行。うん、流石ソウキュウ。こういう事はぬかりないね」
「親父さんもあの後すぐ娘さんと合流。明後日までは帰ってこない。ん、たっぷり愛をはぐくめばいいさ~」
パールとソウキュウはそういいあい、笑い合って肩をたたき合っている。どこか達成感を覚えつつあるメンバーをしり目に、一人物凄く複雑そうな顔をした男がいた。狐の耳としっぽを生やし、紫色の瞳…だが糸目の男。
「ネフライトがたった一人の妹ってのは分かってるぜ、アメジ。でも一種の門出なんだから喜んでやろうよ~」
スズキがアメジと呼んだ男、アメジストは機嫌が悪そうに狐耳をぴくつかせた。
「ああ……。妹が愛する男と結ばれたのは喜ばしい。だが・・・…」
そこまでいい、言葉を切るアメジスト。その場にいるメンバー全員が、ごくりと息をのんだ。
「だがな……たかが村一番の…いや、最近じゃあここいら一番の踊り手ごとき若造にな、手塩にかけてそだてた妹に傷をっておもいとなあ!!」
「まて、アメジスト!!なんか言葉違うから!!」
だん、とテーブルに拳を叩きつけ吠えるアメジストにすかさずつっこむスズキ。よくみると彼の足元にはアーシウムの白の瓶が7、8本転がっている。
「・・・…見た目じゃわからないけど、こいつ相当・・・・」
またゴクリ、と息をのむソウキュウ。なんか「ざわ・・・ざわ・・・」とか一気に聞こえてきそうな空気が張りつめ、アメジストはゆらりと立ち上がる。
「……とりあえず、一発殴りにいくぜ!!」
そういい、彼はどこからともなく一本の聖鎚を担ぐとゆらり、階段を上っていく。なんか雰囲気的に何も言えなくなっていたメンバーはこれから起こる事にそなえることにした。
「てかさ、あれって……」
「何も言うな、パール」
因みに、あれはシナリオ『惨劇の記憶』ででた聖鎚で、「不心得者」だと悲劇が起こる。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
全員が押し黙った。

 しばらくして、なんかしたが騒がしいと思いつつもアンバーはもそもそと下着とジーンズをはいた。まぁ、普段から寝る時は上半身裸なのだが。
(あとでネフィの部屋を掃除しよう。なんだかんだで汚しちまったからなぁ…シーツも洗わないと、娘さんに殺される)
なんて思っているとノックが聞こえた。
(だれだろ?)
そう思いながら…でも殺気を覚え、警戒しつつ開く、と…鬼のような形相とワインの香り漂うアメジストが聖鎚を振りかざしていた!?
「お、おい!?」
「この(放送禁止用語)!よくも俺の妹に手ぇだしやかったなーっ!!!」
振り下ろされる聖鎚!!が、しかし、それは自然とアメジストの脳天へと落ちていた。しかもすとん、と。そして、アメジストは目を回し、廊下に倒れてしまった。
「……そういやぁ、アメジの兄貴、神様なんか信じてなかったな……」
そうおもいつつ、アンバーは彼の介抱をするために1階へと降りた。そして、「やっぱりな」という顔をする面々と顔を合わせるのであった。

 ちなみに、ネフライトはこの2時間後に起き、アンバーと甘い休日を過ごすのであった。

(終)

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元ネタ
『旅路の果てを夢見て』(名も無き喪男)

このリプレイ(もどき)は、上記のカードワースシナリオをプレイし、その結果と感想を元に書き上げております。シナリオ本来の著作権は各シナリオ作者さんのものです。また、リプレイに登場したスキルの著作権は、各シナリオの作者さんに既存します。

後書き

ネタです。 シリアスっぽいけど、シリアスじゃない。
ただ単にアメジストに被害をこうむらせたかったんだ、あれで。 フーレイ
by jin-109-mineyuki | 2009-06-20 23:53 | 冒険者の宿【水繰の剣亭】