ある野良魔導士の書斎

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おそくなりましたがガールミールレディで (メロウとラティーシャ、会わせたかった)


冒険者の宿【水繰の剣亭】:54
深き森の少女たちと深き淵の咎人たち (後)

 アンバーに埋め込まれた不思議な鱗。それを押えると聞こえてくる潮騒の歌。それからひらめいたアンバーは精霊たちの力を借り、どうにかメロアとマーレウスと連絡が取れないか実験をしていた。そして……それは成功した。

 アンバーによってメロウとマーレウスが紹介され、オニキスからペジテ村の住人が紹介されると最初はおずおずと、次第に穏やかに会話が始まった。クインベリルは近くの椅子に座ると村人から借りたギターをそっと奏で始めた。青々とした海をイメージさせる、穏やかな曲だ。それで援護をしようとしているのがラティーシャやジャスパーたちには解った。
「……アンバー、体は大丈夫なのか?」
心配になったマーレウスが問うも、アンバーは小さく苦笑する。
「大丈夫。オニキスも手伝ってくれているし何よりアルヴァもいますから」
アルヴァというのは西風の精霊『ゼファー』の1人で、アンバーの悪友的な存在だ。彼の支えもあって彼はこの魔術を使う事が出来たのである。今も彼は「しょうがないな」というような笑顔でアンバーの傍にいる。
「まぁ、これは応用ですから。あまり長くはできないかと……」
「でも、話せるのね……」
オニキスの見解に頷きながらもメロウは小さく微笑む。彼女の優しい顔にアンバーたちもまた安堵する。
「きれい! ふしぎ! 水の精霊のともだち!!」
「そうだな……。海にもこういう人たちが暮らしているんだなぁ」
カッツェルもラティーシャも素直に驚き、感動しているようだ。ぽつりと、「アルマもくればよかったのに……」と呟いて残念がっているとサードニクスがおずおずとメロウ(の映像)に歩み寄った。
「メロウさん…、もう寂しくない?」
「今は、ね。マーレウスもいるし……アンバーもこれから時々は……話しかけてくれるみたいだから」
メロウは小さく微笑み、マーレウスも一つ頷く。説得するために禁を犯し、祠の番人となった元族長はあの時と変わらぬ頼もしい笑顔で彼女に寄り添っている。
「そういえば、あの大きな番人は?仲良くなれるなら一緒に遊びたいんだけどなぁ」
クインベリルがギターを奏でたまま問いかける。大きな番人、というのはメロウがかつて嗾けた大きなサメの事だ。名はスクァルスといい、あの時の戦いでも容赦無くオニキスたちに襲いかかった。
「どうだろうなぁ……ん?」
マーレウスが苦笑していると、2人の背後からのっそりと一匹の大きなサメが姿を現した。忘れるはずもない、スクァルスだ。彼はどうやら僅かに聞こえてきたギターの音色に引かれて来たらしい。愛らしい目でメロウとマーレウスを見……目の前に広がった光景に驚いたようだった。彼(?)の巨体が翻り、僅かな間ではあるが、画面が揺らぐ。
「うわっ!! でかい!でかいサカナ!!」
「あれはサメよ、カッツェル。名はスクァルスといって、戦った相手なのよ」
驚いて身を竦ませたカッツェルを抱きとめ、ジャスパーがくすくす笑う。パールはというと何時の間にか手にした武器を構え、猫らしい笑顔を向けていた。
「くっ、まってろよスクァルス!!今度こそゲイボルクの餌食にしてやるぜ!!そんでもって新鮮なうちに喰ってやる!!」
「それは困ります、パールさん!!」
思わず突っ込むメロウの後ろでスクァルスが威嚇動作をする。どうやらそっちもやる気満々らしい。それをマーレウスがなだめている。すっかり猫モードとなってシャー、と唸っているパールを見、ラティーシャは肩をすくめた。
「……あの青い竜を倒した時は凄いと思ったが、こうして見ると……子供っぽい…」
「なっ、ラティーシャ!」
パールの耳がぴくっ、と動きそれに小さなエルフの少女はくすくす笑う。頬を赤く染め、あたりを見渡せばいつの間にかアンバーたちも笑っているしスクリーンの向こうにいる大きなサメも笑っている(ように見える)。
「一本取られたな、パール殿」
マーレウスの言葉に、さらに赤くなるパールはぷいっ、と背を向け、
「俺、アルマとユーディを連れてくる!!」
と、部屋を後にする。そんな姿にまた笑いを漏らしてしまう一同。ラティーシャはそれにまたくすくす笑っているとメロウがふと、声をかけた。
「愛らしいお嬢さんね。耳がとがっていて…この子はエルフなのね」
「そうだ。ええと…水棲族だったか?あなたがたも個性豊かなのだな…」
2人は互いを興味深そうに見、アンバーは笑いかける。この二人の何かが似ている気がした。だからどうしても話させてみたかったのだ。メロウはそっと微笑み、ラティーシャもぎこちなく…そして、ゆっくり笑顔になる。
「直には会えないけれど…こうしてまた陸の民の話せてうれしいわ」
「うん。わたしも、海の民と話せてうれしい」
2人が微笑みあっているとドアが開く。パールがアルマとユーディを連れてきていた。良く見るとノイエも一緒にいる。
「悪い、ちょっと立て込んでてさ。で、その二人は?」
ノイエの問いにパールは少し尻尾をくねらせる。
「さっき説明したろ?アンバーが世話になった水棲族のお2人さ。精霊術の応用で会話を楽しんでるとこってさ」
「じゃあ、食事を早めに済ませたのはその準備のためだったのね」
アルマは納得したのか、手をぽん、と打ちアンバーは少しだけ照れる。オニキスや精霊達の協力がなければここまでできなかったのだ。
「ま、ともかく!あたしたちも話そう。クインベリルが奏でるいい感じの曲に合わせてね♪」
ユーディも頷き、画面の奥ではスクァルスがギターの音色に目をうっとりさせている。あまり長い間は話せないだろうが、アンバーとオニキスは顔を見合せて微笑みあった。作戦は成功したらしい。
(これを機に、あいつらの寂しさも生まればな)
アンバーはメロウとラティーシャを見つめ、愛しげに瞳を細めた。

その夜、精霊の力をかなり使ったアンバーとオニキスは泥のように眠った。かなり披露するらしいが、その顔はどこか穏やかで嬉しそうであった。

しかし、ふとオニキスは目覚める。
そして……ひとり静かに呟いた。
「……貴女にも会わせたかったですね……」
懐から取り出したのは、

(終)
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今回遊んだシナリオ(敬称略)
深き淵から(cobalt)
深き森の民(NINA)

このリプレイ(もどき)は、上記のカードワースシナリオをプレイし、その結果と感想を元に書き上げております。シナリオ本来の著作権は各シナリオ作者さんのものです。また、リプレイに登場したスキルの著作権は、各シナリオの作者さんに既存します。

後書き
えー、ネタがわいてしまった及びオニキスの意外な事実。
二週間連続でオリジ設定をだしてしまいました。何よ、あの通信。とりあえず今後アンバーはメロアやマーレウス(元族長)とあの術で連絡が取れます。おもいっきりあかんやん!とかいわないように。あの寂しそうなメロウを見ていたら少しでも救いがほしくなったんですよ。確かにマーレウスがいるから寂しさはちったぁぬぐえるだろうけど……。
そしてスクァルスに関しては「死んだんじゃ?!」とか思う人もいるかも。けど、番人さん殺っちゃうのはまずいだろうし、その前にそう簡単に死なないだろ?ってな訳で生きています。勝手なイメージですが普段はのんびりしてるんかもしれない、と、言う事で。

あと、素朴な質問。
『深き淵から』のボス戦に出るのって……ジンベイザメだよね??
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by jin-109-mineyuki | 2009-05-11 13:16 | 冒険者の宿【水繰の剣亭】 | Comments(0)