ある野良魔導士の書斎

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最後だ! (フユノ、エンゲット、陸、舞上がれ!)


 鋭い蹴りが地面をえぐり、カマイタチが鬼械を襲う。そして炎が巻き起こりニードルがそれを裂く。4人のマイスターが狼の鬼械と激戦を繰り広げるその姿を、ディートたちは見守る。もし、彼女たちが死ねば自分たちも共に死ぬ。が、そんな事は考えなかった。
「僕らのオトメだもん。きっと勝ってくれる!」
ディートは両手を拳にしていい、咲乱とウィズムも頷く。
「ああ。そして学園長だって有能なオトメだ。あいつなんか倒してくれるさ!」
「そうなのら!あの4人がいれば大丈夫なのらっ!!」
周りから無人の鬼械が襲いかかるも、陸の鞭が唸って飛ばされる。ぬけたかと思ってもエンゲットの剣やフユノの拳、スロウスのロッドが薙ぎ払う。それぞれが連携して親玉と雑魚を攻撃していた。
(絶対に、負けないで……フユノちゃん)
ディートの思いは、ちらりと瞳を合わせた彼女に届いていた。フユノは一つ頷き、一気に狼との間を縮める。
「死にに来たか、小娘!」
「ちげぇよ!」
瞬間、彼女の掌からまっ白い光が毀れた。

お芝居SS『舞―乙HIME アナザー☆フェザー』
10:決着からのリ・スタート!!!

美力の高ぶりを覚えたラジェルシードはすぐさま回避を試みる。そして無人鬼械達に邪魔をするようにと命令信号を発信させる。が、それらは全く来ない。どうやら、度重なる攻撃で壊れたらしい。
(ちぃっ!)
内心舌打ちしつつも転がり、フユノの一撃を交わす。が、衝撃波がすぐに襲いかかった。
「ったく、しぶといなっ!」
陸の鞭が発するそれが執拗に彼を攻める。そして真上からスロウスがロッドを振り下ろす!本来ならばありえないだろう大きなへこみを生みだし、ショックで一瞬動きが止まる。
「今だ、エンゲット!!」
「もっちろんっ!」
チャンスを逃すはずがない。エンゲットはスロウスの声に応え剣を構える。美力を纏った剣を矛へと変え、音速を超える!
「って衝撃波でてるから!!」
陸のつっこみもおかまいなし!エンゲットの一撃が派手な音をたてて鬼械へと突き刺さる!
「くっ……ここまでか?!」
鬼械の破滅を悟ったラジェルシードはそのまま脱出ボタンに手をかけ……そのまま手を落とした。体へと跳ね返ったダメージが思いのほか大きく、気を失ったのだ。
「! 動きが止まった」
咲乱の声に、全員が動きを止める。鬼械には稲妻が走り、徐々に黒い靄を発しながら解けていく。やがて、音もなく鬼械は消え去りあとに気を失った1人の男だけが残された。
「……ドクター・ランタノイド。僕を誘拐した張本人だよ」
ディートの言葉に、全員が彼を見る。判断を仰いでいるのだ。
「こいつ、どうする? 始末したっていい」
「が、学園長?!」
スロウスの言葉に思わず陸が声を上げる。ディートもえっ、というような顔になる。
「王として立つ人間は、刑に関しても携わる。そして、こいつはお前の一生を狂わせた張本人だ。死刑にするのに値するぜ?」
フユノもまたポツリと口にし、ゆっくりとディートに歩み寄った。明らかに戸惑っている幼い主。咲乱も険しい表情でフユノを見ていた。しかしウィズムは穏やかな表情で1つ頷く。
「ディート君、君次第だよ。君には皇子として裁きを与える権限がある」
つまりは、自分もまた人の運命を左右する事ができる、ということ。ディートは事の重大さに気づき、息をのむ。
(確かに、僕の人生を狂わせたヒト。でも……そう簡単に殺しちゃっていいわけがない)
顔を上げる。そして、オトメとなったフユノを見る。
「……パトスさんに、連絡を取って」
「えっ? ぱ、パトスって……アスワド最高顧問じゃねぇか……」
「うん。僕を保護してくれた人だよ。その人に……ドクター・ランタノイドを預けようと思う」
ディートの一言に、オトメたちは頷き、フユノはパトスが来ているか探しに出かけた。その背中を見つめ、ウィズムと咲乱はそれぞれディートの頭を撫でたり肩に手を置いたりするのだった。
「……なかなかの決断だと、俺は思うよ」
咲乱はそういい、瞳を細める。ウィズムもまた頷きながら微笑む。
「黒科学については黒科学の世界がある。彼らの法に基づいた方がいいのかもしれないのら」

 一息付いていたパトスたちアスワドとクルーエ、ギーエルたち警察はふと、何かが飛んでくるのを見つける。
「……あれは…マイスターか?」
パトスの言葉にギーエルが顔を上げる。彼女とクルーエにとっては見覚えのある顔だった。そう、あの時であったコーラルの子だ。
「なっ、お前……マイスターになったなぁ~ん?!」
「おうっ! ディート・マシロイ・ヴィントヴルーム殿下のオトメになったんだ。で、殿下からパトスさん…いや、アスワド最高顧問パトス・ピースリング・ソフィ様に伝言を届けに参りました」
フユノは少し緊張した面持ちでパトスに向きなおり、跪く。パトスは白衣を正し、静かに言葉を待った。
「…我々が捕えましたシュヴァルツ頭領、ラジェルシード・ランタノイドの身柄を貴殿に預ける、との事です。処分は黒科学の法に基づき与えて下さい」
「……わかった。報告ありがとう…マイスター・アトツキ」
フユノは少しだけ頬を赤くした。が、すぐにきり、とした顔で一礼した。クルーエはそんな新しいマイスターの姿に優しい顔になる。
「新しい時代の始まりかな?」
そういいながら、彼女は飛び立つ新米マイスターの背中を眩しそうに見つめていた。

 首謀者たちは確保され、再びガルデローベに平穏が訪れた……ように思えた。が……、学園長の前には新たなマイスターが3人とヴィントの皇子、ヤマト連合国の皇太子、グラウゼル・ガルサの国王がいる。
「コーラルでマイスターになるなんて何年ぶりか?
 今回の場合は五柱ばらばらだったし、教師たちを足してもマイスターは足りなかった
わけだし、結果オーライなのだけど……」
「もちろん、このままコーラルオトメとして勉強に励んでもらわないとなぁ?」
フィクロルクが眼鏡を正してフユノ、エンゲット、陸を見る。
「んー……ここで勉強続行のディートや近くのアカデミーに通っている咲乱様は別に大丈夫だけれども……」
フユノが言っているのはオトメのありかた。普段、オトメは主の秘書的な役割も持っているのだ。が、それについてはウィズムが口を開く。
「一度エンゲットちゃんを連れて国にいくのら。で、戴冠式とマイスター任命式を行って、終わったらエンゲットちゃんをガルデローベに戻すのら。きっちりお勉強して、立派なマイスターになって、グラウゼル・ガルサへ戻ってきてほしいのら~」
「うん。あたしちゃん、ウィズム様の為にがんばるよっ!」
エンゲットがやる気満々な笑顔で答える傍ら、咲乱が少し考える。彼は皇太子の身分。父王の許しもなくマイスターを持ってしまっていいのだろうか、と。しかしその点に関しては陸がすっ、と何かを手渡す。
「ん? 何これ?」
「先ほど学園長がヤマト連合国国王陛下へと連絡をとりましたところ、特例として私のことを認めて下さいました。ご安心ください」
そういい、彼女は咲乱の父親からの伝言を渡す。それを読んだ咲乱は表情を険しくした。そして、ディートはフユノと向かい合っていた。
「……ごめんね。僕のせいでガルデローベをめちゃくちゃにしちゃって…」
「そんなことないよ」
フユノはそういい、ディートをぎゅっ、と抱き締める。そして頬を寄せて笑いかける。
「それよりも、もう…無茶はしないでくれよ、殿下」
「うん。僕、フユノちゃんを頼りにするよぉ」
幼い皇子と幼いマイスターの微笑ましい光景に、2人は優しく微笑んでいた。

(終)
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あとがき

 よ、ようやく完成つかぐだぐだ・・・・(土下座)。ごめんなさい、みなさん。でも、最後までかきあげることができました。まぁ、これに関しての感想とかあったらどこでもいいので書き込んでください。

自己満足で始めた企画だけど、やりきれてよかったです。

そいじゃ、また。 フーレイ
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by jin-109-mineyuki | 2009-04-21 20:49 | 閑人閑話図書館 | Comments(0)