ある野良魔導士の書斎

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ごめん、まとめられなかったよ (フーレイ、がっくし)

―少しだけ時間を遡る。
 一方、傷ついたオトメたちを避難させていたミィニャとリリンにも危機が迫っていた。大体の避難が終わった、と思った頃……一つの影が一行目がけ落ちて来たのだ。
「! あぶないっ!!」
咄嗟にミィニャがコントラバスを鳴らし、衝撃波を放つ。と、それは姿を現した。鷹の鬼械である。
「ふふっ、殿下はどちらなのかしら? もしかしてここかしら?」
妖艶な女性の声に誘導していた2人は表情を険しくする。が、1人、制服姿のパールがその後ろからゆっくりとあらわれた。唯一白い制服を纏うパール……ユイエである。
「ユイエ! 休んでないとだめだよっ!」
「心配ありがとう、リリン。でも、俺は戦わなくちゃいけないんだ」
駆けよるリリンに、ユイエは小さく微笑む。そしてゆっくりと歩きながらピアスに手を添える。戦闘の疲れはだいぶ取れている。今ならまた戦える。だから再び戦衣を纏う。
「マテリアライズ」
静かに呟くと、制服が純白のローブへと姿を変えた。どこからともなくエレキベースが現れる。
「ミィニャ、リリン。一緒に戦おう。殿下をこいつらに渡すわけにはいかないんだっ!!」

お芝居SS『舞―乙HIME アナザー☆フェザー』
9:信じる!

 無人の鬼械が徐々に減っていく。いや、待機しているようにみえた。狼の鬼械がフユノ、エンゲット、陸、スロウスを睨み銃口から炎の玉をはき出してくる。鋭い眼光でラジェルシードは叫んだ。
「ディート殿下を渡せ!さもなくばガルデローベだけでなくヴィントそのものを蹂躙する!王子は私の研究素材だ!!」
「させないっ!」
エンゲットが動いた。エレメントを奮って美力を発動させ、『虚』へと火の玉を送る。
「誰がディートを渡すもんか!こいつは……俺のご主人さまだ。
 このヴィントを背負って立つ、未来の国王陛下を貴様なんかに渡してたまるか!!」
フユノが叫び、突撃していく。それを追いかける無人の鬼械を陸とスロウスが足止めする。二人はそれぞれのマテリアルでそれらを押し返し、エンゲットがフユノの援護に回る。その様子を見、ディートはやきもきした。
「みんな、大丈夫かなぁ……何もできないってじれったいんだよぉ」
「あいつらに任せてみようぜ。懐さえ潜り込めばきっと……」
咲乱はそういってディートの頭をなでてやる。傍らではウィズムが手を握ってくれていた。
「僕らが彼女たちを信じないでどうするのら?僕らは信じて待つのら」

 一方、虎の鬼械と戦っていたロルクは懐に潜り込み、美力を発動させていた。激震が鬼械を襲い、ハクビは息をのむ。
(くっ、ここまでかよ?!)
「覚悟しな、坊主! 本気にさせようとした事を後悔しろ!!」
ミシミシミシミシミシッ!!
鬼械に走る亀裂。命の危機を覚えたハクビはすかさず脱出ボタンを押し、外に出る。が、既にパールとコーラルのオトメたちが待ち構えている。爆音が響き、鬼械は消滅する。ハクビの手にあった破片も霧散し、彼は両手を挙げた。
「……いっつもこうだ。今度こそオトメたちにひと泡吹かせられると思ったのに……」
悔しげに吐き捨てるハクビに、ロルクはため息をついて歩み寄る。そして腰に下げていた救急箱から道具を取り出すと、いつのまにか出来ていた顔の傷に治療を施し始めた。
「?! おい……俺は敵なんだぜ?」
「馬鹿野郎。医者の前では関係ねぇ」
ロルクの見事な手つきにきょとん、となりながらもハクビは小さくため息をついた。

「しぶとくってよっ!!」
ジェムフラウが叫ぶ。彼女の鬼械が羽根を模したカッターを飛ばすも、音を操るマテリアルを操る3人のパールは次々に技を繰り出して翻弄する。
「しぶとくなきゃ……将来仕える主を守れねぇっ!!」
ユイエの叫びが音に混じり、空間を割く。衝撃波となるそれをどうにか避けたと思ったら、真横から別の音が聞こえる。
「トリアスは学園の自治を任されている重要な位置。私たちがしっかりしないと……他の仲間を不安にしちゃうんだっ!」
自分を叱咤するように、リリンは叫ぶ。そしてくるっ、とターンすると再びタンバリンを鳴らす。同時に鬼械が動きを止め、ミィニャの声が響いた。
「一気に仕留めるですっ!!」
響き渡る重低音。コントラバスとエレキベースが結界を作り、タンバリンがしゃん、と鳴く。
「っ!?」
一瞬だけ、全ての音が消える。が、静寂を割く一閃。まっ白い光の刃がタンバリンから発生しまっすぐに鬼械へと突き進む。
―美力発動、音ノ磔刑!!
身動きが取れず、ジェムフラウは歯噛みした。どうにか脱出キーを押す事で衝撃と爆破からのがれる事は出来たが、これで無人鬼械の動きはあらかた止まるだろう。
(オトメの卵と侮っていたのが敗因ですわね……)
爆風からは逃れられず、煤けた身で逃げようとしたが目の前に別のコーラルたちが待ち構えている。仕方なく両手を上げて降参の意を示し、ため息をついた。そして、トリアスの三人は互いに顔を見合わせると、小さく微笑みあった。後は全てをあの子たちが……。

 ガルデローベ周辺。避難は終わりあらかた鬼械の始末も終わっていた。パトスたちアスワドのメンバーとクルーエ、ギーエルの警察官たちも一息付いていた。
「それじゃあ、シュヴァルツの人間が見つかり次第そっちに連行でいいかなぁ~ん?」
「その前に謝罪をしないとな。俺達黒科学を持つ者たちの構想に堅気の衆やガルデローベを巻き込んだ責任がある」
ギーエルの言葉にパトスは苦笑する。黒科学を研究する者としてはシュヴァルツをどうにかしたいと思っているものの、考えの違いから争い……今回のような事を招いた。それが、彼にとって悲しいのである。少し悲しそうな彼の肩をクルーエはぽん、と叩く。
「元気だして、ドクター。きっといつか…彼らにも思いは伝わるよ」
その言葉に、パトスはだといいな…、と呟いた。

(続く)

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前回、「次回で最終回」と書いておきながら終わりませんでした(滝汗)
いや、終わるはずが長くなりそうだったので切りますわ。こんどこそ次で終わらせます、はいっ!!ぐだぐだ長いとか突っ込みはしないでーっ(涙)。
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by jin-109-mineyuki | 2009-03-12 15:23 | 閑人閑話図書館 | Comments(0)