ある野良魔導士の書斎

fureinet.exblog.jp
ブログトップ

当初の計画より押してます (フーレイ、……ちょいと頭痛)


「……解放されたか」
不意に、ハクビは顔を上げる。通信で響くラジェルシードの声に、それが何を意味するのかしばらく解らなかったが……次に飛び込んできたジェムフラウの言葉で目を見開く。
「久方ぶりに、『蒼天の青玉』のオトメが現れましたわね……楽しいことになってきましたわ」
「ってことはあの王子さま、学園の誰かと契約したってことか!」
つまりは、あらたにマイスターが1人増えたということである。そして、迂闊にはディートに触れられない……。
「誤ってオトメを殺してみろ。ディート殿下も死んでしまう。それは……最終手段だ」
ラジェルシードは声を震わせ、表情を険しくした。

お芝居SS『舞―乙HIME アナザー☆フェザー』
8:激突ッ!

―光。まばゆい光が3つ、鬼械を怯ませる。
 そのうちの一部は、その光に戸惑い、自ら壊れていく。

空のような青が、その肢体を包み込む。
雪のような白が、その肢体に牙を与える。
炎のような赤が、その肢体に力を注ぐ。

「こっ、これがマイスターGEMの力…」
フユノが両手にはめた手甲を見つつ呟く。どうやら、彼女のマテリアルらしい。エンゲットの手には一本の剣、陸の手には鞭が握られている。
「なんか、すっごく体が軽いや!」
エンゲットが軽くジャンプしてみる。感触が軽く、先ほどまでの疲れもすべてなくなったようだ。そして、どことなく呼吸も楽になった気がする。
「……でも、溺れないようにしないと、ね」
陸がくぎを刺すようにそういい、鞭を握りしめる。フユノとエンゲットも頷き、3人は無人鬼械をにらみつけた。
「いくぜっ!」「やっちゃうよっ!」「参るっ!」
三人がそれぞれ叫び、手当たり次第にマテリアルを振るう。その姿を見、スロウスは小さくほくそえんだ。
(あいつら、やっぱりそうしやがったかっ!)
即位が決まったウィズムは何の問題もない。ディートも諸問題さえ解決すれば父王からのお咎めもないだろう。しかし、咲乱は違う。いくら皇太子となったとは言え、成人していない。成人しないと確定しないのがヤマト連合国だ。
(しかし……今回は仕方のないことなのかもしれない)
そう言っている間にも、スロウスへと鬼械が迫る。それをロッドではじき返していると、大きく雪崩れて行くのがみえた。
「うっしゃあっ! お前らなんて目じゃねぇぜっ!」
フユノが手甲をはめた手を交差させる。闘気と美力が巻き起こり、両腕から発射される!
―美力発動! 魂破壊乱気流(ソールブレイクストーム)!!
めきめきと嫌な音をたてて飛んでいく鬼械の先、狼のようなシルエットが見えた。どうやら、博士と呼ばれた人間が操縦している鬼械らしい。
「近づけさせないっ!」
前へでたエンゲットが剣を振るう。と、同時にそれが双剣へと姿を変えた。自分の中にある力をそれへと宿らせ、一気に踏み込む!
―美力発動! 消失の悪夢(レムレス・ザ・イレイズ)!!
空気が漆黒に染まった。いや、そこに『虚』ができ、そこへと鬼械が吸い込まれていく。そして、彼女の傍を抜けて陸が鞭を撓らせた。
「そこを、どけっ!」
―美力発動! レイジングウィング!!
発生したカマイタチが一気に狼の鬼械まで届く。突然の攻撃にラジェルシードは防御するのが精いっぱいだった。
「くっ、さすがマイスターになれただけあって強力だな。しかしっ!」
ラジェルシードの言葉に続き、鬼械の腕からガチョン、と筒が姿を現す。そして、獣が獲物へ飛びかかるのと同じ体制で、背中からもアームのようなものを取り出した。警戒した4人はすぐさまディートたちの前にでる。
「ディート殿下を、手にしなければならないっ!」
ラジェルシードは叫び、狼の鬼械は吠え、銃器をぶっぱなした。

 一方ハクビはというと…一人のオトメと対峙していた。学園の様子を見に来たフィクロルクと鉢合わせし、そのまま戦闘になったのだ。
「……ふん、こんどはちぃっとマシなもん持ってきやがったか」
襲いかかる虎の尻尾をマテリアルで受け止め、どうにかひっくり返す。が、虎もまた軽い体さばきで元に戻る。必殺技である魅力技も避けられてばかりだ。
「あれ? 保健医さん、調子悪いんじゃねぇの?」
ハクビの挑発に、ロルクはふん、と鼻を鳴らした。と同時に手にした蛇腹剣を鞭モードから剣モードへと変える。
「いいや?」
そう言いながら、虎の爪から発せられる衝撃波を巧みにかわす。様子を見ながら、彼女は機械の弱点を探っていた。

(続く)

……次で最終回です。 うわっ、1月過ぎたよ。
[PR]
by jin-109-mineyuki | 2009-02-04 16:13 | 閑人閑話図書館 | Comments(0)