ある野良魔導士の書斎

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ブラックジャックとかダークエンジェルもそうだよなぁ (六珠、決断の時?)


冒険者の宿【水繰の剣亭】:47
やっぱ来たよ高額請求。

 サードニクスの治療にあたる、とジョーカーは部屋へ入った。
「申し訳ありません。
 皆様に雑霊や魔性がついていないとは限りませんので立ち入りは…」
ナナミの言葉に、アンバーたちは素直に従う。が、ジャスパーが口を開いた。
「風の精霊が換気の為に残っているの。彼女も退出しなければならない?」
「ええ。お願いします」
ナナミにいわれ、オニキスはしぶしぶルサリィを呼び戻す。彼女は心配そうに一度部屋を振り返り、すう、と消えた。
「じゃあ、よろしくお願いします」
アンバーの言葉に、ナナミは頷いた。

 部屋に入るなり、ジョーカーはため息を突いた。目の前に横たわっている存在が【何】か、彼には一目でわかってしまったのだから。
「ホムンクルス……人工生命体なのですね」
「……?」
サードニクスはそういわれ、きょとん、とした目でジョーカーを見つめる。それで、彼はこの少年が自分をどんな風に認識しているのか、理解した。
(かわいそうに、この子は自分の種族を知らなかったようだな…。そして、酷く魂まで脅かされ…)
彼はすぐさまナナミに空間の浄化を頼む。少女の施した浄化はそれほど強いものでなくてよかった。ルサリィの力のおかげである。しかし、ナナミが浄化を施したとたん、サードニクスは全身の悲鳴に瞳を閉ざした。
「全身の霊脈が汚染されている…。魂もエーテル部からアストラル部まで侵食されかかっている。存在元素の35パーセント消滅…やや危険域だな」
片目を瞑り、筒状の器具でサードニクスの体を診察する。そして、それが魔神トアメルのものだと確信した。
「……わかった、の?」
「ええ。魔神トアメルのものだと。そうでしょう?」
「う…ん。そう、だ、よ…」
サードニクスが精一杯答える。ジョーカーはそれに頷き、ナナミに鎮痛剤を用意させた。

 診察が終わり、ジョーカーは案の定大金を吹っかけてきた。
「30000sp、ですか」
オニキスが冷静に呟く。その意外性にジョーカーはほぉ、と吐息を漏らす。
「今は確かにお支払いすることができませんが…」
クインベリルがそういうが、ジョーカーは首を横に振る。
「生憎私は分割払いを受け付けていないもので」
「……あっそ」
パールはそういって暫くの間考えをめぐらせていたが、最初に再び口を開いたのはオニキスだった。
「……闇の世界では天使の翼や血はかなり高く売れるそうですね」
「よくご存知で」
オニキスの言葉にジョーカーが頷き、一同が目を見開く。彼が何を言わんとしているのか直ぐにわかったのだ。
「まさか、その翼を切り落とすつもりか?
 だったらやめてくれ、オニキス…。金は俺たちで工面しようよ」
アンバーが厳しい表情でいい、いつのまにかそこにいたアメジストがあいかわらずの井出たちで…それでいて鋭い目でジョーカーを見据えていた。
「俺たちからも頼む。どうにか金は作る。レベルは低いが……龍とか倒せばそれぐらいの金はできるから…」
そのやり取りにジョーカーは暫く思考を巡らせていたが、やがてそっと言葉を紡ぎだした。
「では、こうしましょう。幸いあなたたちは冒険者でありますから…」
「なるほど、依頼形式ね!」
まってました、とばかりにジャスパーが笑う。彼女はふふ、と瞳を細めると神に感謝の意を表した。傍らではリーダーが不敵な笑みをこぼしている。
「そうこなくっちゃな。それならば、俺たちにだってやれるさ」
アンバーはにやり、と笑いその情報をジョーカーに求めた。
「さあ、何をすればいい?あの子のためならば、俺たちはどんなことでもするぜ!」

 宿から北へ半里。その洞窟にすむノスフェラトゥの元へ治療費の未払い請求に行く。それがジョーカーからの依頼だった。六珠メンバーと共にナナミも行動している。
「……なんか、やっていることってさ」
不意にパールが口を開いた。
「患者を助けたかったらうちの病院を手伝えって言ってるのと同じだよな」
「……そうだな。つか、シリアス度を下げるコメントありがとう……」
アンバーが僅かにがく、と項垂れた。けれど少しは楽になれたかもしれなかった。その傍らではナナミがぼんやりと呟いていた。
「しかし、人間の形をしたホムンクルスとまた出会うなんて」
その言葉にオニキスがふむ、とため息をつく。アンバー以外のメンバーは少しだけ驚いた。ホムンクルスは珍しい存在なのだ。
「サードニクスがホムンクルスである、とはうすうす気づいていましたが……」
オニキスの言葉にナナミは言葉を続ける。
「錬金術の三禁の中に『人間そのものを作ってはいけない』というものがあります。彼のマスターは、それを犯したことになるのです」
「……でも、事実サードニクスは人間の姿をしているよ」
クインベリルが呟き、ナナミは頷く。
「私が知る限り、2人目です。1年前に別の症状で人間と瓜二つのホムンクルスを治療したことがあります。男性型ホムンクルスで名をシオンさんとか…」
「「……ええっ?!」」
それには、全員が驚いていると……パールが一つの村を見つけた。

(続く)

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今回遊んだシナリオ(敬称略)
命の対価(理のQ)

引き続きチーム・バチスタ……ではなくてサードニクスの瀬戸際を。
今回は今後出すシオンのSSにも酷く関わる言葉をジョーカーの台詞に追加させていただきました。【存在元素】という単語です。これについては次週ナナミたんとオニキスで後書きにてちょっと語ろうかとか考えています。あと、何気に自前リンク~。
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by jin-109-mineyuki | 2009-01-31 21:07 | 冒険者の宿【水繰の剣亭】 | Comments(0)