ある野良魔導士の書斎

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やってしまった (サードニクス、どうなる?)


冒険者の宿【水繰の剣亭】:46
サードニクス、倒れる。

 ブリズガルムの魔法院で出会った一人の女性から、アンバーたちは『邪悪なる呪術師を倒す』という依頼を受けていた。お金で多くの人間に呪いをかけてきた男だ。

―どうかあの呪術師を倒し、私を自由にしてくれまいか。

呪いをかけられた女性は息も絶え絶えにそういい、アンバーたちは二つ返事でそれを受けた。呪術師の使い魔を払い、罠を壊し、一行はその呪術師を追い詰める。
「さあ、観念しな。逃げられないんだぜ?」
パールがいい、獲物をつきつける。アンバーたちも武器を構え、臨戦態勢に入った。呪術師はどこか切羽詰った声を上げる。
「お、俺は頼まれた呪いをかけただけだ。復讐するなら俺を雇ってきたやつらじゃないか?」
「……それも一理ありますね。しかし、呪いの大多数はあなたの命が尽きれば解けるそうで…。そうも参りません」
オニキスが冷徹な笑みでそうこたえ、呪術師は小さくため息を突く。
「ああ、金か。貴様らは冒険者だものなぁ。金をやろう!見逃してくれたら金をやる!それでどうだ?」
(それもそうね。こういう人間はごまんといるわけだし……)
ジャスパーは少し心が揺れ動き、つばを飲み込む。
(お金なんて要らない。害は減らしておくに越したことないでしょ?放っておけるわけがないよ!)
一方サードニクスは呪術師を睨み付け、ナイフを握り締める。そして傍らのジャスパーの足を今でもちょっと踏んで正したい、と思ってしまった。
「2000spで、どうだ、冒険者ども!」
「そっ、それは……(依頼人の倍じゃない!)」
ジャスパーは思わず依頼金額をいいそうになり、サードニクスに足を踏まれてとどまった。ただでさえ、その言葉に怒りを覚えていたのだ。こんなやつを野放しにしては多くの人が泣きを見ることになる。その様子をみたのか、アンバーはゆっくり口を開いた。
「交渉決裂だな」
「そのようですわね。さ、おとなしくやられてくださいませ」
クインベリルがいい、全員が呪術師に襲い掛かった。

……戦いは直ぐに終わった。
しかし、止めを刺そうとしたサードニクスに、男はトアメルの呪いをかけた。

 一行は宿に戻っていた。アンバーたちの表情は暗い。ベッドの上ではサードニクスが荒い呼吸を繰り返している。熱を出しているのか顔を真っ赤にして。
「サードニクス……」
アンバーが手を握り、フライマンバが治療を試みる。もちろんジャスパーも呪いを解こうと頑張ったが、上手く行かない。ジャスパーの師匠である女性を頼ったものの、彼女から言われたのは絶望的な答えだった。
『こんな酷い呪いは初めてだな……。大司教クラスの人間でなければ解けないだろう』
しかし、サードニクスがそこまで持つか、わからなかった。
「…噂がありますね。
 どんな病でも治すという、闇医者の噂が」
不意に、オニキスが口を開く。彼の傍らに寄り添う風の乙女がくれた噂だ。いまも彼女は看病を手伝い、空気から邪気を追い払ってくれている。
「ナーデシアが言っています。『莫大な費用と引き換えに、命を救う存在がたしかにいる』と」
「どこにいるか、わからないわよね?」
ジャスパーが疲れた声で問うが、クインベリルは首を横に振った。
「希望は捨てないで、ジャスパー。サードニクスは生きたいって頑張っているんだもの。その声が届けば着てくれるんじゃないかしら?」
「俺は…どうなってもいい。ただサードニクスがまた元気になってくれればそれでいいんだ」
アンバーがぽつりとつぶやいていると、パールが部屋に駆け込んできた。
「…アメジストたちも『闇医者』の噂を知っていた。つか、霜の精霊の親父曰く『前に、ここの近くで治療を受けた男がいる』らしいんだ。で、金の工面は手伝うともいってる」
その言葉に、全員の顔が少しだけ明るくなった。

 サードニクスは、朦朧とした意識の中でただ、冒険の日々を思い出していた。路上で凍える自分を助けてくれたアンバー、いろんなことを教えてくれたオニキス、やさしくてあったかなジャスパー、からかったりするけど、頼もしいパール、素敵な歌を聞かせてくれるクインベリル…。まだ【六珠】でやりたいことがある。だから…生きたい。どうにか、生きたい。その想いが、言葉を紡がせる。

たすけて…

 ふと、パールが顔を上げる。馬車の蹄が猫の耳に聞こえてきた。彼は風のように窓から飛び降りる。と、目の前に馬車が止まっていた。遅れてアンバーたちが駆け寄ると、黒い衣服を身に纏い、サングラスのようなものをかけた男がたたずんでいた。
「……あなたが、お医者様か?」
「……ええ。必要とする者の声に導かれたもの。
 たとえるならば道化……魔医師、ジョーカーと申すものです」
サングラスをはずし、赤い瞳を見せた男にクインベリルが同属の気配を感じつつも見つめる。
「ナナミ、おりてきなさい」
と、彼は馬車の中の人間にそういい、そこから小柄な少女が降りてきた。彼女がナナミだろう。少女は大きな鞄を持っていたので、咄嗟にパールが手助けする。
「医療道具は繊細って聞いたからな。重いだろう?」
「いいえ、お気遣いなく」
ナナミはそういい、一礼する。そしてジョーカーと共に宿へと入るのだった。

(続く)
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今回遊んだシナリオ(敬称略)
命の対価(理のQ)

このリプレイ(もどき)は、上記のカードワースシナリオをプレイし、その結果と感想を元に書き上げております。シナリオ本来の著作権は各シナリオ作者さんのものです。また、リプレイに登場したスキルの著作権は、各シナリオの作者さんに既存します。

 えーと、ジョーカーの口上およびナナミへの行動はちょいとパーティーにあわないっつーか、こいつらならこうする、という動きの元かわったりしてます。ご了承くだされ(汗)。

ちなみに、物語に出てきたナーデシアとはオニキスが連れているルサリィ姉さんの名前です。
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by jin-109-mineyuki | 2009-01-24 22:13 | 冒険者の宿【水繰の剣亭】 | Comments(0)