ある野良魔導士の書斎

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ごたごたしています (フーレイ、延長しちまった:涙)


「時間がないな……」
スロウスはエンゲット、フユノ、陸、ディートを見てつぶやいた。背後にいた青年二人はにっこりと四人を見、一礼する。
「簡単に説明すると俺はヤマト連邦国皇太子の水繰 咲乱。隣りのはグラウゼル・ガルサの次期国王ウィズム・フォス・アヌビス。ちょいと野暮用でこっちにきていたんだ」
咲乱と名乗った長身の青年はそういいつつ歩きだし(前ではスロウスがすでに歩いていた)。ウィズムと紹介された青年は自分より背が高い四人に少々しゅん、としつつも一緒に歩きだした。
「で、陸、フユノ、エンゲット。私と一緒に3人を……」
スロウスがそう言ったとき、前方からカマキリのような機械が姿を現した。それも……数体も。

お芝居SS『舞―乙HIME アナザー☆フェザー』
6:激戦!?

 一方、舞闘場。そこで戦っていたユイエは息を切らせぬまま、虎、鷹、狼の機械を相手にしていた。マテリアルであるエレキベースをかき鳴らし、空気を振動させて動きを封じようとしてる。
「くっ、ちょこざいな!」
いったいどれだけ彼女と戦っているのだろう?そう、博士と呼ばれた男が思ったとき、わずかに隙が生まれる。
「ここだっ!」
振動と振動の合間をすり抜け、虎が駆ける。が、ユイエはそれを追いかけなかった。彼女はただ、楽器をかき鳴らし、歌を紡ぐ。特殊な音波となったそれが鬼械をすり抜けた直後に誤作動が起こる。
「っ! ハクビ、気をつけるんだ!」
「それにしても、おかしいですわ。ここで戦っているのは彼女だけ……?」
そう言っている間に、ジェラは一つのことに気がついた。人の気配はするのにそこにいない。これは一体?
 その外側。パールローブをまとったミィニャがマテリアルを展開していた。彼女のマテリアルはなぜかコントラバスなのである。それを巧みに奏で、音波の檻を作っていた。
(無人の鬼械を入り込ませない為にも、あいつらが3人を捕まえない為にも……僕にできることをするですっ!)
事実舞闘場のまわりには無人の鬼械が近づけず、ガルデローベの見習オトメたちが善戦している。破壊された鬼械は霧散し、傷ついた幾人かのオトメたちはマテリアラズを解かれ避難している。
(この美力、『重低音ノ鳥籠(ディープベースバードケイジ)』はまだまだ改善の余地ありです。だけど、ここは…)
ユイエが一人で戦っているが、大丈夫だろうか。恐らく鬼械の動きを鈍らせ、ある程度ダメージを与えてあの四人追跡を少しでも遅らせようとしているのだろう。
「ミィニャ!真祖様の方向からまた何か出てきたよっ!」
そう言ったのは同じトリアスでリリンというパールオトメだ。彼女は三日月型のモンキータンバリンをマテリアルとしている。それから発せられる衝撃波が敵を打つのだ。今も華麗なステップで敵を倒している。
「……そろそろなのかもしれないです」
ミィニャは覚悟をきめて技を緩める。と、同時に鬼械たちが近づき始めた。それにはリリンが絹練色とアイスブルーの瞳を研ぎ澄まして応戦する。
「僕もいくですっ!」
ミィニャもまた瞳を研ぎ澄まし、手にした弓に力を込めた。
「美力解放!『低音強弓(ベースバリスタ)』!!」
「美力解放……『メテオライトダンス』!!」
合わせてリリンも美力を解き放ち、モンキータンバリンを振り回す。音波の矢と鞭が敵を薙ぎ払い、一瞬にして鬼械が霧散していく。しかし、続けざまに鈍い破壊音がその場に響いた。同時に、見知った顔が砂煙から抜け出てくる。
「くっ……時間、どれだけ稼げたかな…」
傷だらけになったユイエがマテリアルを手に咳き込みながらやってくる。ミィニャとリリンが駆け寄ると、ユイエはがくり、と膝をついた。途端に、彼女のローブが消え元の制服姿に戻っていた。リリンが手を貸し、立ち上がらせる。
「大丈夫、ユイエ?」
「ああ、とりあえずは。時間稼ぎになったんならいいんだが……」
「僕は避難する子たちを助けるです。リリンさんも手伝ってくれますか?」
ミィニャがあたりを見渡して問うとリリンは頷いた。

 カマキリのような鬼械を相手に、三人のコーラルオトメとスロウスが奮戦していた。スロウスのマテリアルは身の丈もあるロッド。その一方は鋭いニードルとなっている。
「でりゃああっ!」
気合で一突きし、それに回転をかけると一撃で鬼械は霧散する。その一方で陸たちは三人で連携し合って敵を倒す。
「だーっ!? しつけぇなー、鬼械ってもんは!」
「でも、無人だなんて…聞いたことがない」
フユノの横で、陸が呟く。彼女たちの知識が正しければ、鬼械は契約者とともに行動するのである。
(……てことは、どこかに誰かがいる?)
エンゲットがあたりを見回し、様子をうかがう。戦う四人の姿を見つめながらディートたちは内心やきもきしていた。
「……俺達じゃ、かなわないっぽいな」
「ナノマシンがあるからこそ、対等に戦えるのかもしれないのら」
「でも、こういうのってすっごくじれったいんだよぉっ!」
咲乱、ウィズム、ディートの三人は守られながらもはらはらしていた。自分たちのために彼女たちは頑張っている。だから、どうにかしたいのに……。
(くそっ、俺たちにできることって……何かねぇのかよっ!)
咲乱はイライラしながらポケットをまさぐった。すると、その白い手に当たるものが。その冷たくもどこか脈打つような力を感じるものに、彼は酷く苦笑する。
(俺達のために無駄に命を散らすかもしれない……。でも、彼女たちのサポートがあるから、俺達『ご主人さま』も信念に基づいて腕をふるえる……)
彼はポケットから一つの指輪とピアスを取り出す。それは美しい緋色の翡翠……。
(俺にご主人さまの資格があるのなら……俺のオトメにこれを捧げ、背中を任せよう)
咲乱は顔を上げる。その手にGEM『孤高の紅翡翠』を握りしめて。傍らで、ウィズムが小さく頷く。
「どうやら、彼女こそが……僕のオトメなのら」
「……この力を、貸す時が来たのかな……ディゼロさん」

 そして、襲われるガルデローベへと駆けつける男女の姿が、そこにあった。
「くそっ、俺たちの苦労が水の泡じゃねぇか!!」
白衣を纏い、特大のメスを握った男、パトスが叫ぶ。その近くで警察が近隣住民の避難を誘導していた。
「全く、厄介なことになったね。まさかガルデローベを直接襲うなんて……」
「でも、俺達は俺達でやれることをするなぁ~ん!」
警察署の所長であるクルーエと相棒で警部補のギーエルは頷きあって人々を誘導する。それにパトスがにっ、と笑った。
「シュバルツに関しては俺達アスワドにも責任がある。ガルデローベばかりを批難しないでくれよ?」
「わかっているよ、ドクター・パトス。それにしても……ディート殿下の他にも咲乱殿下にウィズム陛下もいるんでしょ?」
クルーエは小さくため息をつき、煙の上がるガルデローベを見つめる。
「……なんだが、めちゃくちゃいやな予感なぁ~ん」
ギーエルは一人呟き、その煙をにらみつけていた。

(続く)

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年明けちまったよー(涙)
てなわけで今月水曜もがんばって連載します。今月こそは終わらせますっ!!
あとスレイブにあたるもの。機械っていってたけど鬼械とさせてもらいます。

ちなみにシュバルツとアスワドを分けているのは趣味です。
アスワド:ガルデローベや各国とも和解している。
シュバルツ:テロ集団
この二つはもち敵対しており、一般市民を巻き込まないようにどんぱちしてます。今回のラストでも出たように影ではシュバルツの連中とも戦ってるのよ。まぁ、編み目をぬけてガルデローベが襲撃されたって思って。あと、ナノマシンは解析できなくて、それを含む一部の古代科学技術(舞―乙HIMEの黒科学にあたる)はガルデローベでのみ研究されているって考えてね(大いなるご都合で:汗)。そうだったんだけど情報の一部が漏れて、ディートが「対オトメ兵器」として人体実験をされていたわけです。
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by jin-109-mineyuki | 2009-01-07 17:34 | 閑人閑話図書館 | Comments(0)