ある野良魔導士の書斎

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外は冬の雨 まだやーまぬー (六珠、北へ)


冒険者の宿【水繰の剣亭】:44
古城とランチと北の都

ここはいつぞやの古城……の周り。だだっぴろーい大地につづくお墓。そこでは今も1人の老兵が亡骸を弔い続けている。が、その日は1人ではなかった。ちらほらと見える4つの影が彼を手伝っている。グロアはそのうちの1人が、姿を変えていることに表情を和らげた。
「ほう、パールは元に戻ったのか」
「まぁな。おかげで漸くあんたの役に立てるってもんさ」
パールはそういいながら墓穴を掘っていた。その様子に昼食の準備をしていたジャスパーとクインベリルが微笑みながら手を振った。
「そろそろ食事にしましょう?」
「今日は特別に美味しいものを用意できたんですから!」
と、いうのも今日のランチはたまに行く教会でグレンの説教を聴くついでに買ったものだ(ジャスパーは時折グレンの手伝いもしている)。それとピナのパン屋でかったケーキもデザートとして持って言っている。
「レイオラさんの手作りランチってめちゃくちゃ美味しいんだよな」
「ええ。特に、チキンはみんなの好物ですから。それに、ピナさんのケーキは最高のデザートです。疲れを吹き飛ばしてくれるでしょう」
アンバーとオニキスがそれを思い出して空腹を覚えているとサードニクスは僅かにくすくすと笑う。
「苺のパイもあるとよかったんだけど、予算がなかったんだよね。まぁいいや」
「それはまた別の時に。そんなにたくさん食べられないでしょ?」
ジャスパーはそういいながらフライマンバが暇そうに漂っているのを見つめた。彼はやることがないので見張りを兼ねて漂っているが、その口からは「暇だ」という言葉しか出てこない。
「フライマンバ、ご飯だよー」
「おっ、やっとメシかよーっ!!」
クインベリルの声に反応し、フライマンバがふよふよと一行の下に飛んでいく。グロアはそれを面白そうに見つめながらお茶を口にした。オニキスが用意するお茶は、乾燥した喉を優しく潤し、疲れを忘れさせる。彼はたまにやってくる【六珠】の一行を少しだけ家族のように思い始めていた。

【六珠】の一行は時折ではあるがグロアのもとを訪れてはこうして墓づくりを手伝っている。最初、古城で雨宿りをしたときは一晩の宿のお礼だったのだが、いつのまにかこうなった。
「まぁ、たまには技を学びに来るといい。最近はお前たち以外の冒険者がたまに顔を出すことがあってな、そんなに静かではないが」
そういいながらチキンに口をつけ、苦笑しているとアンバーが目を輝かせる。
「へぇ!俺たち以外にも冒険者がくるんだ!」
「このあたりで安全に眠れそうな場所といったらここぐらいなものでしょう。
 貴方の事です。そんな冒険者と鉢合わせしたのではないですか?」
オニキスの問いにグロアは頷く。
「おぬしたちにとっては先輩にあたるだろうな。もしかしたら出くわすかもしれない。その時はその時だな」
「会えると良いな。強い奴と戦ってもっと鍛えたいし」
パールが意気込み、それをジャスパーは窘める。そうしつつもふと、思い当たる先輩冒険者がいて、ふぅん、と瞳を細める。
「だったら相当鍛えないと、ね。でも、貴方は人間性で既に負けていると思うけど」
「それは俺が未熟だからさ。いつかは越えてみせらぁ」
彼女の言葉にむっ、としつつパールが極めて冷静に返す。普段だったらもうちょっと怒るのだが、精神的な変化だろうか。グロアが僅かに思考を巡らせていると、クインベリルが彼にレアチーズケーキを勧める。
「ピナさんのケーキはすっごく美味しいの。私たちは『天使の食べ物』って呼んでいるのよ」
「ほぅ、『天使の食べ物』とはまた大きく出たな。ふむ……」
少女から渡されたケーキを手に取り、すぅ、と匂いをかいで見る。爽やかなにおいがするのはレモンのおかげだろうか。一口かじっていると、優しいチーズの舌触りと淡雪のように解けていく甘さに思わずため息が漏れた。
「……これはまさに……!」
「だろ? 俺はこのレアチーズケーキが一番好きなんだ。一度食べたらやめられない!でも、2個以上食べたら体が重くなって飛べないんだよなぁ」
それが悩みだ、とフライマンバが行っているとサードニクスがくすくす笑う。
「僕、5つは食べられるよ。でも、アンバーにとめられちゃった」
そういってぺろっ、と舌を出す姿は子供らしい。けれどこの少年は実力をつけてきた盗賊なのだ。そう思うとアンバーは少し誇らしい気持ちになった。

 食事が終わり、各々暫くのんびりしていたがアンバーたちは荷造りを開始した。ここからリューンに戻らす、依頼へと赴くのだ。そう聞いていたグロアは一行を楽しげに見つめる。
「アンバー、今度はどこへ行くつもりだ?」
彼の問いに、アンバーは小さく微笑む。
「ちょいと長い旅になるな。ブリズガルムまで出かけなくちゃいけないんだ」
「貴族の護衛なの。依頼人はオニキスの弟さん。
 今度ブリズガルムに暮らす貴族の令嬢とお見合いをするんだってね」
パールはそういいながらオニキスをつつき、お前はどうなんだというような笑みを向ける。が、オニキスはそれを無視して呟いた。
「私は弟のあとでいいのです。そうではなくてですね。ブリズガルムは結構寒いというので防寒具は私の家で準備させていただきますから。ああ、グロアさん。お土産買ってきますから、お楽しみに」
そういわれ、グロアは苦笑する。
「気を使うな」
「いいえ、いつもお世話になっている人ですから」
ジャスパーがそういい、サードニクスとクインベリルも頷いた。

 こうして、一行は古城を離れ一旦スターシア領へと向かう。その後オニキスの弟(スターシア侯爵)を護衛しブリズガルムへと向かうのであった。

(続く)

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今回遊んだシナリオ(敬称略)
古城の老兵(SIG)
ecclesia(Gaff*Sail)
Pina'sBakery(さよこ)
凍れる都 ブリズガルム(AD)

このリプレイ(もどき)は、上記のカードワースシナリオをプレイし、その結果と感想を元に書き上げております。シナリオ本来の著作権は各シナリオ作者さんのものです。また、リプレイに登場したスキルの著作権は、各シナリオの作者さんに既存します。

そして、現在さよこさんが作ったシナリオはレシェさんが代理公開していますのでお求めの際はレシェさんのHPへ行って下さい(多分、本家本元カードワースHPにいけばたどり着けると思うのでお手数ですが自分で調べてください)。

 あとグロアのおっさんが行っていた他の冒険者たちって……多分わかる人にはわかると思う。誰とは言わないけれど。思い当たるふしがある人はいるでしょう。本当はヒスイがグロアの弟子に……も思ったんだけれどもエルフである彼にはイメージ的に『焔紡ぎ』(作:Martさん)の話ディムさんのほうがいいと思いこうなりまして。いつかはグロアさんとワディムさんを合わせたいなー!(無理っぽいけど)。
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by jin-109-mineyuki | 2008-12-13 23:46 | 冒険者の宿【水繰の剣亭】 | Comments(0)