ある野良魔導士の書斎

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そして、戦いは始まった? (カモミール小隊、覚悟完了!)


(くっ、この光線さえどうにか耐えれば…)
ハッカの傷を、炎が燃やして塞いでいく。ジンジャーが舞で味方につけている風も微力ながら体力を回復させてくれる。しかし、力の差なのか…ビームで次々に倒れていく。風のおかげですぐに意識が回復するものの、焼け石に水の状態だった。何度も風が吹いてもビームで倒れてしまう。

カードワースシナリオ『ヘイトマシーン』(作:a-system)より
『俺らとヒゲと殺戮兵器』:7(著:天空 仁)

「な、何よ……このぐらいっ!」
「おらぁあああああっ!」
ベイジルが医療メスを握り締めて切りかかる。続けざまにハッカが雄たけびを上げながらアスカロンできりかかる。が、それでもあまりダメージを与えられない。
「頼むぜ、メルーナーッ!」
『わかりましたぁ~♪ お治しいたしますの~』
カモミールの叫びとともに、ふんわりと小柄なウンディーネが姿を現す。彼女の力を借りて治療をしつつも裏紫苑を手に軽やかなステップで切りかかる。
「っらあっ!!」
「合わせる!」
同時にジンジャーがミストルティンで斬り付け、更にはミントもまたブリューナクで追撃する。が、手ごたえはない。
「そんな……っ?!」
「かっかっかっ…そいつはヘイトマシーンをより素晴らしいものにする為に俺達が血潮
 流して開発した存在だ!そう易々と倒されてたまるか!」
ディックが叫び、同時にプリティ・ヘイト・マシーンが殺人ビームを放ってくる!
「きゃんっ?!」
「ぐあっ……」
最初に倒れたのはマルパッチョとベイジルだった。傍らにいたハッカとカモミールはどうにか踏みとどまる。しかし、手に力が入らない。
「へへ、赤いだけに三倍のパワーってか?!」
『カモミールさま、あぶないですぅ!』
そういい、メルーナがカモミールを押しのける。さっきまで彼がいたところに殺人ビームが刺さり、別の方向ではミントが力尽きていた。
「きゅぅ~……」
「くそっ……、メルーナ、俺はいいから皆をっ!?」
ミントを抱えようとしたカモミールが別の攻撃を受け、倒れる。同時にメルーナも姿を消し、ハッカもまた炎が尽きて倒れたしまった。そして…
「くぅ……」
最後まで残っていたジンジャーも倒れ、ついには全員が動けなくなってしまった。
「はははっ、最後は派手に行くぜぇ?『クラスター爆弾』だッ!
 ―発射ッ!」
ディックが叫ぶものの…何もおこらない。
「…あれ?どうした?…爆弾だ、ば・く・だ・ん!!」
ディックが何度も叫ぶものの、何もおこらない。
「フリーズでもおこしたのかしらぁ?」
ベイジルが笑う。プネウマはゆっくり起き上がるとその場を立ち去ろうとしたディックの肩を掴む。
「!」
「…待ちな」
「このまま逃がすかよ…っ!」
刹那、カモミールが腰の刀を抜く。ステンドグラスの光を反射し、煌きは一瞬にしてディックの目を貫き…
「!?……魔女ッ子…!!?プネウマさん魔女ッ娘!!?」
「ふっ、世迷言はあの世でいいなあっ!!」
瞬間、もの凄く鈍く、痛そうな音が響いた。見事に蹴り上げられたディックの股間。続けざまに眉間、喉仏…と人間の急所を貫いていく。
「…ロラント、相手を見くびるな。暗殺の鉄則だ。
 そして暗殺に失敗したものは己の死で償うのも…だったよな?」
ごめんなさい、たすけて、すみませんでした…という声が聞こえたものの、無視していた。一同がどうにか立ち上がるとカーターと司祭の周りに集まる。始末を終えたのか溜息混じりにプネウマも歩み寄る。
「司祭さんは?」
「大丈夫じゃ。応急処置はしてあるからの」
「それじゃ、いこうか…」
ハッカの言葉に一同頷く。そして、プネウマはさりげなくカモミールの隣に並んだ。
「さっき…刀の光を見たディックの様子がおかしくなった。
 あれは一体…?」
「あれは…こいつの力です」
カモミールは苦笑して腰の刀を叩く。
「こいつの力は、人間の奥底にある奇妙な欲望を引き出し、困惑させるものです。
 そして、ディックは恐らく…貴女がかわいい魔女っ娘に見えたんですよ」
そういいながら、彼は傷だらけの身体を引きずって教会から出た。
太陽の光が、やけにまぶしかった。

 リューンへの帰り道。カモミールたちが振り返ると、プネウマは何気なく空を見上げていた。それはどこか懐かしそうで、それでいて酷く悔しそうな顔に見えた。だから、そっとしておこうと思ったが、彼女の唇が動く。
「巻き込んでしまった、わね。完全に」
その言葉に、全員が微笑む。どれもコレも楽しそうな、希望に満ちた様子で。
「もう、最初から覚悟してたから」
幼い笑みで、マルパッチョが
「とことん、いっちゃいますよ♪」
可憐な笑顔でミントが
「……放って置いたら我々の活動にも支障が出る」
そっけなくジンジャーが
「こんなやり方は、俺達の性に合わなくてね」
がさつにハッカが
「まだまだデータが足りませんから……あいつらの事」
意味深にベイジルが笑う。
「……あなたたち……」
「そういうことだから、今後もよろしくですよ、プネウマさん」
カモミールはにっ、と笑って手を差し伸べる。それはこれからもともに戦う、という意思表示。
「……どうなっても、知らないからな」
そういいつつも、プネウマの口元はほんの僅かに綻んでいた。

(…to be continued? Yes!)

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『後書き』と書いて『はんせいぶん』と読む
 こんにちは、フーレイです。……まず、この場を借りて『暗黒魔導士シリーズ』の作者であるa-systemさま及び『暗黒魔導士シリーズ』のファンの皆さんに一言。

……こんなリプレイでごめんなさい。でも、続けます。

『ある宿の朝を覗けば』というSSから始まったわけですが、このまましばらくお付き合い願いますこと、よろしくお願い申し上げます(土下座)。

本当は伊達さんの『異形の心』でのワンシーンも入れたかったんですが間に合わなかったっす。ので、次回『眠れる狂気』のリプレイではちょっと関わりますんであの物語らしさが出せるよう、がんばります……。先に言っておくけど、ツァルトさんのファンなみなさんはすんまそんー(汗)。

それでは、また!
次週からは暫く未定。
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by jin-109-mineyuki | 2008-11-18 13:36 | 札世界図書館 | Comments(0)