ある野良魔導士の書斎

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基本、ギャグを目指します (フーレイ、シリアスにしたくない)

ガルデローベ・学園長室。
部屋の主であるスレンダーな女性は、紅茶を口にしながら書類に目を通していた。
「……これが事実だとすれば、ヴィントを混乱に招きかねない」
「だが、命を狙われているのは事実だ。
 この少年が死ねば、さらなる混沌が招かれることになる」
そばにいたもう1人の女性が眼鏡を正しながら呟く。そして、懐に入れていた携帯を
取り出し、どこかへと電話をかける。
「その少年、ここで引き受けよう。
 ただし、ガルデローベは『乙女の園』……男子禁制だ。わかってるだろうな?」
凛とした声が、朝の学園長室に響く。そして、眼鏡の女性は電話を切ると白衣を正した。
「……『彼女』を、守るぞ。
 この世界を揺るがしかねないお方を、な?」
「年齢は13歳、か。とりあえず性別がばれないようにする必要が、ある。
 『アスワド』の博士もそこはわかっているだろうな?」
「先ほど念を押している。聞こえただろう?」
二人はそんな言葉を交し合うと、ちいさく微笑みあった。

 一方、黒科学研究機関『アスワド』は慌しい空気に見舞われていた。保護した存在をガルデローベに預けることになり、それにあたっての処置で悩んでいるのだ。
「……ねぇ、どうして僕、女の子の服を着なきゃいけないの?」
痩せた少年が、不思議そうに首をかしげる。が、膝まで伸びた白銀の髪と愛くるしい灰色の瞳はどこからどうみても女の子である。そして、なによりぷにぷにとした桜色のほっぺが幼さをかもし出している。背はやや高めだが、『スレンダーな年頃の女の子』に見える。
「お前を守ってくれる場所は女の子だけの場所。だから、性別が男だとばれたら追い出される。だから、だ」
そういったのは、ピアスをつけた男だった。彼は白衣を脱ぐと軽く首を回しつつともに歩き始めた。
「更衣室はそこだ。中で女性スタッフがいろいろレクチャーしてくれる」
「何をですか、博士?」
「女の子の身だしなみについて、だ」
きょとん、とする少年に博士と呼ばれた男はにやり、と笑った。そして、小さく付け加える。
「いいか、ディート。絶対にアレは気をつけろよ?」

お芝居SS『舞―乙HIME アナザー☆フェザー』
0:白い羽は舞い降りた

 その日は、晴れていた。ふわふわとした白い雲が浮かぶ青空を、二人の少女が見つめている。1人は銀色の髪を短く切り、サイドにちいさな編みこみを施している。もう1人はコバルトブルーの髪を四本の三つ編みにしてぴんぴんとはねさせている。共通しているのは赤がベースの制服。これがガルデローベのものであると、多くの人がわかるだろう。
「しっかしよぉ、なんでまた俺たちが要人警護?」
「いいんじゃない?あたしちゃんはいい勉強になるとおもうけどね」
少女たちはそんなことを言いつつ、公園へとやってきた。そして、目的の人物らしき人を見つけると歩み寄った。
「お迎えにあがりました、ディート・マシロイ・ヴィントブルーム様」
そういって、少女たちは跪いた。
「あ、ありがとう……」
ディート、と呼ばれた少女…実は少年…はぎこちなく頭を下げる。オトメの存在は知っていたが、自分が彼女たちのお世話になる立場になろうとは夢にも思っていなかったのだ。
「俺はコーラルNo22のフユノ・アトツキだ。よろしくな」
「あたしちゃんはコーラルNo15のエンゲット・セイルーンだよ。よろしく」
そういい、二人は挨拶する。フユノはボーイッシュ……というより男勝りで勝気そう。エンゲットは明るくて天真爛漫。そんな印象をディートは持った。
「僕は、ディート・マシロイ・ヴィントブルームです。これからよろしくおねがいします」
ディートが挨拶すると、二人はさっそく学園へ、と彼と一緒に歩き始めた。

 何気なくあるくその姿は一見ガルデローベの生徒ふたりと、友達だろう一般の女の子に見える。が、ディートは要人なのである。
「ディートさまって、今まで療養してたんだよな?」
不意にフユノが問う。と、エンゲットはそうだよ、と頷いた。
「学園長、言っていたじゃない。姫様は病気がちだったから『黒の森』で療養していたって」
「んー・・・だけど見た感じ病弱に見えないんだ」
フユノはそういい、小さく苦笑する。が、森で体を鍛えたのだろう、と勝手に解釈する。そして窓の外を面白そうに見ていたディートの肩をぽん、と叩いた。
「ん?なぁに、フユノさん?」
「フユノでいいよ、ディートさま。
 安心して俺たちに任せてくれよ。でさ、時間が合ったら遊ぼうぜ!」
「あー、それはいいアイデアかもしれないけど、宿題はどーするの?」
不意にエンゲットが突っ込むが、フユノはどうにかなるだろ、と苦笑する。ディートは嬉しそうに顔をほころばせ、二人を見ていた。

 その三人を、じっ、と見る影があるともしらず。

(つづく!)
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by jin-109-mineyuki | 2008-11-12 23:24 | 閑人閑話図書館