ある野良魔導士の書斎

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ファイル名は『へいとまっすぃーん』だったりする (ジンジャー、とりあえず立場上……)


 次の日。ルーラルに戻った一行は当てにならないだろうが村長の元へ向かった。彼は仕事の手を止めて一行を見る。
「どうしたのかな?」
「…昨日話していたカーターという老人のことなんですが…」

カードワースシナリオ『ヘイトマシーン』(作:a-system)より
『俺らとヒゲと殺戮兵器』:5(著:天空 仁)

「おお、そうだ。みつかったのかな?」
プネウマの言葉を聴き、前に乗り出す町長。それにミントが頷いた。
「はい。川辺の宿屋町で一旦は会ったんです」
「でも、その宿屋で襲撃を受けて、カーターさんが連れ攫われてしまったんです」
ベイジルが言葉を繋ぎ、様子を伺うと町長は酷く慌て、急いで警備隊に連絡し、探させる事にしよう、と提案した。
「なにか、手がかりになるようなものは…」
「誘拐した相手は自ら『ディック=ロラント』と名乗りましたが」
その言葉に、町長の表情が強張った。明らかな変化に、一同が目を見張る。
「………ディ、ディック=ロラント…か」
「町長、なにか知っているのですか?」
すかさずプネウマが問うものの、町長は首を横に振り、名前は知らない、関係は無い、と必死に否定する。
(それが余計に怪しいのよね)
と、達観した目でベイジルはふむ、とうなる。プネウマは捜査を町長に頼むと一行を伴って外に出ようとした。すると、町長は彼らに言う。
「…一言だけ、いいか? この町から早く出て行ったほうがいい。言えることはそれだけだ」
「ありがとう町長さん」
プネウマはそういい、一礼する。が、カモミールが小さく苦笑する。
「けれど…そうもいかねぇんだ。こっちはよ…」
そういって、一同外に出る。念のために司祭様にも協力を仰ぎ、何と無く果物屋に入った。と、いうのも…『極北茶』を買うためである。しかし1000spだった為購入を断念した。
「…林檎を買わなければ買えたんですけどねぇ」
「ま、まぁ…研究は出来るだろう」
財布を預かるベイジルの言葉にカモミールは苦笑する。林檎がないことを聞くと、売り切れてしまったらしい。念のためにディック=ロラントについて聞いてみたが…彼女は知らなかったようだった。
「果物屋のおねえさんも司祭さまも知らない……。しかし町長は知っているっぽい。影で町を操ってるのかなぁ」
不意にマルパッチョが呟く。それにかもなあ、と相槌を打ちつつジンジャーが唇を噛む。考えに困ったときの彼の癖だ。一行は一旦宿に戻ることにし、道をいく。ハッカは少し落胆しているようだった。
「はぁ、結局今日は何も手がかりが無かったですね、プネウマさん」
「……まだ、あきらめるのは早いわ」
プネウマはそういいつつハッカの後頭部を軽く叩く。それに励まされた気がしつつ彼は顔を上げた。

 一行が宿に到着すると、ウネが出迎えてくれた。ミントが状況を説明する。プネウマは出されたお茶に口もつけず、帽子をとって軽く頭を振った。
「そうね…、これだけディック=ロラントについて情報が取れないとなると…」
「そういえば、町長さんは『早くこの町から出て行ったほうがいい』とか言ってたけれど何か知っているのかな…いや、あれは知ってそうだよな」
昼の事を思い出しつつハッカは言う。それに皆頷き、プネウマは肩をすくめる。
「おそらく、委員会とかもろもろの事を口止めされているのよ」
「ふふ、ありがちね。やっぱり町長さんは知っているのよね」
楽しげにベイジルが笑いながらプネウマを見る。それに彼女は頷き「委員会には誰も逆らえないし」と悔しそうな表情を見せた。
「で、その委員会というのは……何なのですか?」
ベイジルはいつもの冷たい笑みでプネウマに問う。『委員会には誰も逆らえない』という言葉が、どうも引っかかる。
「そうね…巻き込んでしまったからには少し知っておいてもらったほうがいいかもね」
といいつつ彼女は何処からとも無くフリップと赤ペンを取り出した。
「な、なんか用意周到だね」
「余計なことは言わない。時間が無いんだから。説明するよ」
マルパッチョの言葉をプネウマは切捨て、赤ペンのキャップを外す。
「簡単に言うと…『委員会』というのは『ゼネラル・フィッカーズ』という大商会の私兵よ」
と、『 』の部分に赤ペンでアンダーラインを引きつつ説明する。
「ぜ、ゼネラル・フィッカーズ?な、なんですかそれ?」
思わず手を上げつつ質問するジンジャーにプネウマはよいしょ、と何処からとも無く鋼鉄の箱を取り出しつつ
「これ…『ろけっとらんちゃ』って聞いたことある?」
「ま、まあ…カードワースユーザーなら…げふっ?!」
カモミールがそう答えようとしてハッカに殴られる。なんだか言いそうだとは思ったけど、と呆れ顔のプネウマを背後にハッカはぎりぎりとカモミールの首を絞める。
「いい加減にしろ、カモミール…。俺たちが言う台詞じゃねぇから!」
「…と、馬鹿は放っておいて。確かにビホルダーもやっつけちゃう凄い兵器ですよね。まぁ、見つけても大抵売るらしいですけど」
ジンジャーは答え、プネウマはそれなら説明が早い、と頷いた。
「ここにあるのはそのレプリカよ。『ゼネラル・フィッカーズ』はこういうものを扱っている会社だと思ってくれればいいわ。最も傭兵派遣から戦艦製造まで手広く戦争関係を請け負っているけれど」
「いわゆる…死の商人ってやつですか」
ハッカの言葉にそういうことね、と赤ペンを突きつけて頷くプネウマ。
「そのゼネラル・フィッカーズ…略してGFのために裏で活動しているのが『委員会』なのよ」
そこで今まで黙っていたウネちゃんが手を上げ、プネウマは「ウネちゃん」と赤ペンで指して発言を促す。
「簡単に言えば『ろけっとらんちゃ』とか作っているやばい人にカーターさんはつかまっちゃったんでしょ?普通の探し方じゃみつからないかも…」
「って…ウネちゃん。そこは俺の台詞…。柄の悪い奴ら締め上げて情報を搾り出せばいいわけだな」
ジンジャーが少ししょんぼりしつつも言いたい事を纏め上げる。プネウマもそうねぇ、と赤ペンを手で弄びつつ
「ウネちゃんはそのガラの悪い連中について何か知ってる?」
「そういう人が集まる酒場は知ってるよ。時々私も行くし」
ウネはそういい、プネウマたちは早速その場所を聞き出して言ってみる事にした。

 店に到着するなり、プネウマはふふ、と小さく微笑む。
「感じのいい店じゃない。気に入ったわ」
「俺も。こういうトコ好きだな~」
カモミールがにっこりしてカウンターに座る。酒、弱いくせに、とプネウマが苦笑しつつ後に続き、一行もそれぞれ席につく。
「マスター、とりあえずお酒ね。ジントニックを!」
「それは私が飲むわ。あんたたちは他のにして頂戴」
ハッカがそういうもののプネウマが手を上げてマスターに言う。ちょっとぐらい、いいじゃないですか、と不満げなハッカだったがどうにかミントがたしなめる。
「んじゃ…マスターのお勧めを」
気を取り直してベイジルが頼むとマスターは一行の顔を見て
「見慣れない顔だな。冒険者かい?だったらこれを薦めるさ。『北の果て』って銘柄なんだが」
と、マスターは一本のボトルを取り出し、グラスに注ぐ。一見白ワインにも見えたが、甘い香りは葡萄のそれではなかった。
「…いい匂い。これは?」
マルパッチョが顔をほころばせるとマスターがにっこりする。
「ルーラルのシャトーで限定生産している林檎のお酒さ。甘口だが、いけるぞ」
「へぇ…」
感心しつつ飲んでみると実に美味しい林檎酒だった。まろやかな甘みが口に広がり、なるほど…と思う。癖がなく、案外さっぱりしている。
「林檎の良さを引き出している。これなら人気が出るのも間違いはないな」
ジンジャーが頷いていると横からミントが情報について聞いていた。するとマスターは店の端で煙草をふかしていた一人の青年を呼び出す。どうやら、彼が情報屋らしい。
「…えーと、大した情報じゃないから近隣については100spでいい。…これは噂なんだが、最近『機械が町を襲って人を殺す』って事件が多発しているって聞いたな」
「どんな機械が町をおそった、とかは?」
プネウマがジントニック片手に問いかける。と、情報屋はそうだなぁ、と記憶を辿る。
「生き残った奴の話によるとでかいらしい」
「…ちっちゃい、じゃなくて?」
ジンジャーは少し目を見開くが、情報屋はそこまでは知らないが、かなりでかいと聞いている、と言った。続けてジンジャーが男の目を見つつ問いかける。
「んじゃ、続いてディック=ロラントについて」
「それは高いぜ。500sp貰う」
それに頷くと男はジントニックを飲む女性に目を向けた。
「もしかして、あんた…プネウマさんって人?」
「…そうだけど、何故私の名を?」
情報屋はふむ、と頷くとすっ、と目を彼女と合わせる。
「いや、本人からメッセージを預かっているんだよ。
 『今夜はショータイムの始まりだ』
 ってね」
「お前、ディック=ロラント本人に会ったのか!?」
ハッカが思わず乗り出し、男はそいつの部下から聞いたんだ、と首を横に振って答える。と、同時に……何かが発射される音が一同の耳に聞こえた。
「な、何!?」
ミントがブリューナクを握り締める。
「早く外へ!」
プネウマに促され、一同は外にでる。と、村長の家から音が聞こえた。
「…つか、何かでけぇものがこっちに向かってくるんですけど…」
眉根を寄せてカモミールが呟く。と、いうのも村長の家からなんか本当に鉄の塊っぽいものが一行に向かってくるようだった。
「迎え撃つぞ!」
ジンジャーに促され、一同は臨戦態勢に入った。
「とりあえず、魔法攻撃は控えよう。多分…効かないと思う」
カモミールの言葉に一同頷き、マルパッチョが魔法の鎧を皆にかける。一方ベイジルは
歌を歌って攻撃力を高め、ジンジャーがサポート的な術を使うために舞う。後のメンバーがぼこ殴りを決行したため、ジンジャーがビームを受けたもののすぐに倒すことが出来た。…が
「活動停止5秒前です。近くのみなさんは避難してください」
「って安全装置作動=自爆っぽいんですけれど!!?」
「とりあえず下がれっ!!」
カモミールの言葉を無視しハッカが首根っこ掴んで引っ張っていく。
「これってどくろなきのこ雲…あがるのかなぁ」
「いや、それはちょっと…」
ミントの呟きに思わず首をひねるジンジャー。そのすぐ後に妙な機械は爆発した。
「町長のところに!」
プネウマとともに町長の家に向かうと、そこには変わり果てた町長の姿があった。
「見事なまでに黒こげだね…。やっぱり…」
ミントたちは呆然となり、プネウマの表情も深く瞳を閉ざす。不意にジンジャーが手にした紙には

踊り方を忘れたか、プネウマ ロラントより

とだけ書いてあった。
「………ッ」
「! プネウマさん?!」
張り紙を見るなり、彼女はその場に崩れ落ちた。誰も何も言えず、ミントたちはその場に立ち尽くす。しかし、カモミールは灰をぎゅっ、と握り締めた。
「……くそ、ロラントの野郎め…さっさと姿を現しやがれってんだ!!」
酷く血が滾る。珍しく怒りを露にするカモミールの姿をベイジルたちはただ黙って見つめた。

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後書きとかいてはんせいぶんとよむ

えーっと、ここで言うことではないとは思いますが、『眠れる狂気』のリプレイ完成であります。そして、『蛇の王』のリプレイもぼちぼちと。念のために『ブルーラインズ』をやったらなぜかリーダーがマルパッチョ、熱血くんがカモミールだったのでそこは微妙に修正します。

まぁ、『ブルーラインズ』の前に『水晶の姫』をやる所存ですけどね(ぇ)
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by jin-109-mineyuki | 2008-11-04 11:09 | 札世界図書館 | Comments(0)