ある野良魔導士の書斎

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因みに、極北茶はあとから買いました (ミント、ちょっと腰を抜かす)


 その内容をジンジャーは一人聞いていた。そして、小さく溜息をつく。
(確かに、騎士団が動かないのはおかしいな。つーより…あの一件をクリウス商会で調べていたのか。プネウマさんの言うとおり原因を作った奴らが騎士団に手を回しているとしか思えない)
だからこそ、北部地域の消失についての事実関係がつかめない。そんな気がしたジンジャーは推測があたらなきゃいいけど…と思いつつ部屋に戻った。そして、仲間たちと同じように眠りについた。

カードワースシナリオ『ヘイトマシーン』(作:a-system)より
『俺らとヒゲと殺戮兵器』:4(著:天空 仁)

…のだが、三十分もしないうちに、振動で目覚める。
「……!?」
まず、カモミールが寝ぼけ眼で跳ね起きる。続けざまに全員がおきると、中に球体が浮かんでいた。なんか足のようなものが生えている。
「なんだ、こいつら!? 空中に浮いてやがるっ!」
「こんな魔物、みたことないぞ…。みんな、気をつけていけっ!」
カモミールが注意を促し、6人はすぐさま襲い掛かってきた球体と戦った。それぞれ攻撃していく傍からベイジルが冷気の魔術を使う。が、効果が無い。
「くっ、魔法が…」
「しょうがない、力で叩き伏せるんだ!」
歌で動物を呼び寄せたハッカが皆に注意する。ジンジャーが変な光線に当たりつつも組紐で縛り、ミントがブリューナクで叩き潰す。かと思えばマルパッチョの鋭い蹴りで落ちた奴もいた。
「ふう…なんとか倒したな」
「それにしても、こいつらは一体…」
ジンジャーとハッカは的の残骸を踏みつけつつも首を傾げる。が、そこではっ、となる。
「カーターさんたちが…っ!」
「急ぎましょう!」
ベイジルの言葉に全員が頷いて走り出す。と、すでにプネウマが外に出ていた。彼女も例の奴と戦っていたようである。
「プネウマさん、大丈夫ですか? カーターさんは?」
「…油断するな! まだ連中がいるよ!」
その声に全員が身構える。と、さっきと同じ物体がふわり、と浮いて…なんかキュイーンとか音を発している。
「ビ、ビーム!?」
「黙る、そこ!」
カモミールにゴス、と拳を叩きつけるプネウマ。すると同時に丸い奴から男の声が聞こえた。それに戦慄するプネウマ。
『誰かと思えば、なんとあのストレッチ様じゃないか。情報では死んだと聞いていたがこーんなところで生きているなんてなぁっ!』
「いきなりしゃべりましたね」
冷静に観察するベイジルの横でプネウマがきっ、と睨みつける。
「貴様、誰だ!」
『あれ?あれあれ?わかんないかなー、この声聞いても』
「…知り合いですか?」
思わず問いかけるハッカ。丸い奴から聞こえる声の主は、どうもプネウマを知っているようだが…プネウマは答えない。
『ほれ、「第二委員会」のディック=ロラントだ!!』
「ディック=ロラント…だと?」
なんかシリアスなムードが漂ってきたな、と思いつつ一同はとりあえず警戒する。他の奴らが襲い掛かってくるとは限らない。
『わかったかなぁ?さすがのストレッチ様も物忘れが進んできたのかなぁ?』
その言葉に、プネウマの表情が一変した。さらに鋭い顔に、僅かな焦りが浮かんだ。
「貴様が何故こんなところにいる?!」
『ハハ。それはこっちの台詞だ!なんでまた、かの有名な空間魔術師ストレッチがこんなトコ』
「その名で呼ぶな!」
一瞬、悲鳴にも思えるような声をプネウマが発する。思いもしなかったそれにカモミールは表情を研ぎ澄ます。軍人としての勘が、危険信号を発していた。
「私はもう委員会の人間でも、ストレッチという名前の人間でもない!」
『ハハハ、なるほど。自分の過去は捨てた…ってことねぇ。どおりであんたから蚊ほどの魔力も感じないわけだ』
その言葉に、ベイジルが目を細める。魔術師である彼女もプネウマから魔力を感じていなかった。押し黙るプネウマに、丸い奴はさらに言葉を続ける。
『ま、いいや。直接会おう、スト…いや、プネウマさん。ああ、そうそう。あんた達の仲間のじーさん、あずかったから』
「「はっ……?」」
ついでに、というように発せられたその言葉に、一同は眼を丸くする。
『いや…はっ、じゃなくて。あんたらのお仲間のあのヒゲは預かったってんだよ。んじゃ、再見(ツァイチェン)!!』
「ヒゲーっ!!????」
「やっぱそうくるとはおもったよ!?プネウマさんじゃなくてヒゲが浚われる気がしてたさ!」
姿を消す丸い奴に頭を抱えるマルパッチョと若干青くなるハッカ。呆然となったミントはぺたん、とその場にくずれる。
「な、なんだったの?? あいつ」
「そんなことよりカーターさんは? ウネちゃんは??」
「立て、ミント!探すっきゃねぇだろ!?」
ベイジルが辺りを見渡し、カモミールがミントを立ち上がらせて一同を散らばらせる。しばらくしてウネは見つかったがカーターは何処にもいなかった。
「やっぱヒゲ…そうか、ヒゲ狙いだったのか…」
悔しげに壁を殴るジンジャーを見つめ、プネウマはただ乱暴に背中を叩く。そして一同は先ほどの場所に集まった。ウネは少し身を縮めていた。
「こ、怖かった…」
「大丈夫ですか?あの変な魔物に襲われたりしませんでしたか?」
怪我の有無を見つつ問うと、その点は大丈夫だ、と答えた。
「…あれは魔物じゃない。人が作った『機械人形』だと思う」
プネウマは細めた目のまま、すっ、と切り出す。機械人形という言葉に一同はある依頼を思い浮かべる。そういえば、彼は元気だろうか?
「それじゃあ、ゴーレムみたいなものですか?魔法使いの魔力によって動くような…」
ハッカが問うと魔力は感じないがそんなものね、とプネウマは頷く。ジンジャーは一歩踏み出し、顔を上げる。
「プネウマさん、お聞きしたいことがあります。ディック=ロラントとか、委員会についてとか…」
「それには一つずつ答えるよ。…ディック=ロラントは昔の…性質の悪い知り合いね。なぜカーターを連れ去ったかは…わからない」
プネウマはそういい、若干苛々したように頭をかく。そして苦々しい表情で再び口を開いた。
「委員会については…んー、世の中には知らなくていい事と悪いことがあるけれど…それについて、知っていいことは一つもないわね。悪質な連中、とだけ覚えておいて」
(それはちょっと気になるな…)
言葉を濁されたような気がしたジンジャーだが、とりあえずこれからどうするか、を問う。と、彼女はどうしようもないので明日にしよう、と提案した。一同はそれに同意した。

 さて、そのころ。当のディック=ロラントはなにやらごそごそと通信をとっていた。
「あ、どうも。ディック=ロラントです。夜分遅くに済みません、『プリンス』様」
「…今何時だと思ってるんだ。深夜2時だぞ…お化けがでる時間なんだぞ!?」
「いや、それは十分承知…って何故お化けなんですか」
プリンスと呼ばれた男は微妙におちゃらけた声でいうも、ディックはとりあえず軽めに突っ込んでおく。
「冗談はおいといて…何の用だ、ロラント。こんな時間に通信を取るからには何かあったんだろうな? まさか…『ヘイトマシン計画』になにか起こったのか?」
その問いにディックはそれではない、と首を横に振る。
「誤作動以外はなにも。しかし予想外のことが起こりまして。先日から『ヘイトマシン計画』の拠点であるルーラルにあのストレッチが入り込んでいるんですよ!目的は不明ですが」
「ほう…まだストレッチが生きていたか」
プリンスと呼ばれた男はどこか懐かしそうにそう呟き、くす、と笑う。
「とりあえず、まだ手を出すな。魔力を残している可能性がいある。ただし」
そこで一端切り…少々凄んだような声で続ける。
「奴が計画を阻止するようなことがであれば、容赦なく消せ。
 奴は、もう委員会として用はないからねぇ」
「…了解。では…」
ディックは頷き、通信を切った。

(続く)

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現在、続編である『眠れる狂気』もリプレイ製作中。
順を追って『蛇の王』のリプレイも開始いたしますんで、こうご期待!
……と言えるほどのリプレイじゃないんですけれどねぇ(汗)。

最近、プレイしつつ即リプレイという方法でリプレイをやってますが、それって
やっぱりなんか違和感があるのかなぁ。
書いていて「これでいいのかな?」って思ってしまうんですよ。
やっぱりやってしまってから即書いたほうがいいのかな……?

とりあえずこいつら【カモミール小隊】の活躍をよろしく。
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by jin-109-mineyuki | 2008-10-28 14:41 | 札世界図書館 | Comments(0)