ある野良魔導士の書斎

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ぼちぼちといろいろ (ジャスパー、少し悶々)


冒険者の宿【水繰の剣亭】:40
(食用?)蛙と特大鼠と魔光都市

 【六珠】の一行はアンバーの父、トパーズの依頼で彼を魔光都市ルーンディアへ向かっていた。アレトューザからルーンディアまでの道のりはやや長く、その間トパーズはアンバーが幼なかった頃の話などをしてくれた(それにアンバーは酷く赤くなったりした)。反対に【六珠】のメンバーは自分たちの体験した話をしていた。
「ああ、そういえば……このあいだ蛙になったな」
ぽつりともらした一言に、オニキスたちは苦笑する。
「蛙に、ですか?何故また貴方が蛙に?」
「実は宿にやってきた老魔術師さんが、魔術の実験をしたいといいまして。それでアンバー
が引き受けたのです」
オニキスはそういいながら思い出し、噴出しそうになる。サードニクスも笑いをこらえているようだった。
「それでおじいさんの魔法によって蛙になったんだよ。それはもう大きな蛙でね、僕の両手ぐらいじゃなかったかなぁ」
「……とりあえず、美味しそうな食用蛙に見えたっ!」
「んだとっ?!」
パールが親指をおったてて笑い、アンバーがにらむ。
「術を解くには口付けが必要だったのよねぇ。確かに昔から術を解くのに有効だとは言い伝えられているお手軽で意味深な方法だわ」
ジャスパーは納得したような顔をするがクインベリルは憮然とした顔になる。
「でも『好きな相手や異性でなくてもOK』ってあたりが美しくありませんっ!」
吟遊詩人としては、そういうのが納得できないらしい。そして、アンバーは小さなため息をついた。
「俺もそこは同感。しかも服が案の定脱げてたな。んー、許婚がいる身で女の子にキスを頼むのは心苦しかったが……」
「困ったときはお互い様だし、しょうがないと思ってよ」
クインベリルはそういって顔を赤くする。そのときはクインベリルがキスをして元に戻したのである。それを見ていたジャスパーは少しだけ面白くないなぁ、と思い出して若干むくれる。
「でも、あの蛙は本当に美味そうだったぜ。手早く捌いてじっくりローストすれば…」
「パール君、それは困りますよ。私の大切な息子なんですから」
トパーズが苦笑して嗜め、オニキスとサードニクスもうんうんと頷いて同意した。オニキスはじっくりと焼いたサラミをなれた手つきでパンにはさみ、トパーズに手渡す。
「うわぁ、美味しそう!」
「まってくださいね。皆の分も出来ますから」
サードニクスが目を輝かせるとオニキスが丁寧に手を動かしながら嗜め、その光景にトパーズとアンバーは瞳を細めた。そうしていると、ジャスパーがイル・マーレを二人に勧める。
「このサラミにはこのワインが合うのよ♪」
「ああ、ありがとう。オニキスさんといい、ジャスパーさんといい、気が利きますね」
「パールやサードニクス、クインベリルだってそうさ」
アンバーの口が、自然と綻ぶ。そのどこか誇らしげにイル・マーレを飲む姿にトパーズもまた微笑を浮かべた。
「その次にいったのが巨大鼠退治でしたね。……案外てこずりました」
オニキスが苦笑しつつパンを口にする。あの時もサラミをはさんだパンを持っていったが、休憩なしだったので洞窟の外で食べた事を思い出しつつ。サードニクスも思い出し、口にしていたのを飲み込んでから口を開く。
「あの時、アンバーが一度休もうって言ってくれたのにパールが大丈夫だって言ってそのまま強行したんだよね?」
「そうそう。その後『運命の歯車』を連発してその内当たったのは2発だっけ?」
「それを言うな。あれはまだ修行中の技なんだよ」
ジャスパーが茶化すように笑い、パールがそっぽ向く。
「アンバーより大きい鼠でしたわ。ボスなんか、パールと同じぐらいだったんですよ?」
「それは相当大きい鼠ですねぇ。一度見たかったものです」
クインベリルが両手を広げて説明し、トパーズも興味深そうに目を輝かせる。
「その上あいつらときたらすばしっこいし。なめた目つきをしやがった」
「まあまあ。でも、倒せたからいいではないですか」
戦闘で攻撃があたりにくかったのを思い出したのか、アンバーが眉間にしわを寄せる。それをオニキスが窘める。側にはサードニクスとクインベリルがおり、二人はお茶をのみながらくすくす笑う。パールとジャスパーも笑顔でその様子を見ていて……。
「ふふ、本当にいい仲間に恵まれましたね……アンバー」
トパーズは、小さく微笑んだ。その目は小さな光で少し濡れていた。

 翌日。一行はルーンディアの入り口である無知の門までくる事が出来た。話には聞いていたが、物々しい雰囲気でソルジャーが入る人々を検査している。
(こういうのが嫌なんだよなぁ)
アンバーが苦々しい顔をしていると、トパーズは小さく微笑んだ。
「どうしたのです、アンバー」
「いや、俺は聖海教徒だろ?噂では『聖海・聖北・聖東教徒は入国禁止で、追い出される』って噂聞いたし……」
「あら、それだったら隠せばいいのよ」
ジャスパーはそういってくすくす笑う。彼女自身、聖北の神官なのだが踊り子のような衣服を纏っている。たまにロザリオを懐から出すぐらいで、愛用の武器である聖槌も一目では宗派がわからない。アンバーはそうか、と手を打って首にしていたロザリオをかばんに直した。
「どうして?」
「元々この国が、それらから迫害されているためなんだ。今も仲が悪いよ」
クインベリルの問にサードニクスが情報を元に答える。オニキスとパールは顔を見合わせると苦笑しあう。
「私も、こういうのは苦手です。でも……しかたないですからね」
トパーズはそういい、小さく苦笑する。と、一行をみたソルジャーが近寄り、止まるように指示をする。職業と出身地を明かさなければならない……らしい。仕方なく、一行はそれぞれ名乗りだすのであった。

(続く)

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今回遊んだシナリオ(敬称略)
老魔術師のお戯れ(丸平お園)
鼠の穴(NifQ)
魔光都市ルーンディア(ロキ)

このリプレイ(もどき)は、上記のカードワースシナリオをプレイし、その結果と感想を元に書き上げております。シナリオ本来の著作権は各シナリオ作者さんのものです。また、リプレイに登場したスキルの著作権は、各シナリオの作者さんに既存します。

言い訳的後書き
……しまったーっ?! ルーンディアに入る予定がーっ!?
とか思っていたらどうにかつなぐことが出来ました。フーレイです。
因みに、次の話はこれにかかわるおまけでありますんで、よろしくー。
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by jin-109-mineyuki | 2008-10-25 23:59 | 冒険者の宿【水繰の剣亭】 | Comments(0)